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日野”JINO”賢二が教える“ロジックとフィーリングの両面”

  • Text:Takahisa Kondoh
  • Photo:Takashi Hoshino

みんなの力になるような人間になることが、良いベーシストの条件。

──そのほかに教えていることは?

“曲を覚えよう”っていうことはよく言ってる。1ヵ月で3、4曲、1週間に1曲程度、覚えるといいよ、と。ただ、ベーシストって、ベース・ラインしか覚えない人も多いと思っていて。

──確かに、ベースを弾くからには、ベースに耳がいきますよね。

 そうだよね。でも、その曲のコードとメロディもちゃんとコピーしないと。例えるなら、3人編成のアンサンブルでベース・ラインだけを知っているということは、裏を返せば曲の1/3しか知らないっていうこと。“この曲を覚えた、ちゃんと完璧に弾ける!”と思ったとしても、コードとメロディができないっていうことは、曲に対して、1/3のことだけしかできていないっていうことなんだ。逆に、いざ自分にアドリブの番が来て、何をやっていいかわからなくなったときは、メロディを弾けばいい。なぜならメロディが曲の中で一番強いものだからね。そして、音痴でもいいからその曲のメロディを歌うことも大事。これはボイトレにもなるんだよ。ヘタくそでもいいから歌えば、絶対にうまくなるよ。

──そういったことは、ベース科という視点だけだと生まれてこない発想かもしれませんね。

 そうかもしれない。もし世界の99%のベーシストがそうだとしたら、コードとメロディ、そしてハーモニーまでちゃんと理解できている、残りの1%になればいいんだ。実際、ハーモニーを理解してアドリブができるプレイヤーや、歌心のある人は、ちゃんとメロディをコピーしてるから。そのうえで、その人ならではのニュアンスを加えればいい。

──なるほど。

 あとは“心”だね。人間が音楽をやっているわけだから、自分の体調が悪かったら良い演奏もできないし、何か痛みを抱えていても、その人の音楽に影響が出ると思う。逆に、いっぱい練習してうまくなったら、自信がついて、みんなに優しくできる心になるよ。そうすれば、未来は絶対に明るい。誰かからオファーが来たり“一緒に仕事をしよう”とか“一緒にバンドやろう”とかさ、“かっこいいから付き合ってください!”っていうことも起こると思う(笑)。でも、やらない限り何も始まらない。スタートはゼロであっても、ゼロから始めなきゃ!

──では、良いベーシストの条件とは?

 人間って“オギャア!”って生まれてから、犬に噛まれたり、蜂に刺されたり、世のなかには怖いものがいっぱいある。そして、それらを乗り越えることよって優しい人間になるんだ。そうやって、みんなの力になるような人間になることが、良いベーシストの条件。結果、バンドのなかで力になるベーシストにならないと。

──なるほど。人生で経た経験が、自分自身の基礎になるっていうことですね。

 あと、音楽って、一番素直なものだから。間違ったことをやっても、自分のなかで“皆さんごめんなさい!”みたいな謙虚な心を持ってれば尊敬されるよ。そのうえで、練習もちゃんとしないといけない。例えば、コンテストで自分のバンドが優勝できなくて泣いたとしても、“来年は頑張るぞ!”って頑張っていけば、徐々にでも成長して良い方向に進めるし、明るい未来まで到達できるから。そういった勇気もこの学校で教えないとね。ただ“お前はダメだ!”って言ってても成長にならないからさ。その人の良い部分をたくさん褒めてあげて“それいいよ、いいセンいってるよ!”っていうことを伝えたい。そして“山の上に立っている俺を倒さないといけない日が来るぞ!”と(笑)。

──今日、お話を聞かせていただいて、この学校では、ロジックとフィーリングの両面を学べると感じました。

 この学校で一番大切にしていて、俺が伝えたいのは“その人が理解できるまで、とことんまで教えたい”っていうこと。“キミはセンスないから”なんて絶対に言いたくないんだよね。せっかく俺を信じてくれて、うまくなりたいってこの学校の門を叩く人たちには、とことんまで教えたいって思う。プロになりたい人もいるし、趣味として技術を高めたいっていう人もいると思けど、教科書どおりにやるんじゃなくて、その人に合った教え方をしたいね。

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JINO’s School of Music
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