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【誰でもわかる! 低音理論のオハナシ】第5回 – “テンション”とは

  • Text:Takeshi Yamaguchi

スタジオに入ったときに“それ、テンションじゃない?”と言われ、“……あ、そうそう”なんて知ったかぶりしたことはないかな? 今回はそのテンションについてふれていこう。

“テンション”って何?

今回で5回目を迎えるこの連載ページ、みんなちゃんとついてきてるかな? ちなみにこれまでに取り上げてきた内容は、ルート”“コードとは”“三和音(トライアド)”“四和音、というものだった。すべてが非常に基本的、かつ重要な事柄なので、ひとつひとつをしっかり理解していないと、先に進むにしたがって次第に“これってどういう意味だっけ?”な~んてことになりかねないぞ。もし、なんだかよくわからない、という状態に陥ったら、前の回を読み返してみることをおすすめしたい。

で、これまでの流れをくんで今回取り上げる内容は“テンション”だ。というわけで早速、次の問題に答えてもらおう。

【問題】“テンション”とは何か?

なんともまあ、そのものずばりの問題だが、これが次のように完璧に答えられた人はかなりのものだぞ。

【答え】

①弦の“張力”のこと。

②曲につける抑揚のなかで、“緊張”と“弛緩”のうちの“緊張”の部分。

③“テンション・ノート”のこと。

このなかで①が最も聞き覚えがあるのではないだろうか。②はちょっと難しいかもしれないが、表情豊かな演奏をするには多少なりとも必要なものだ。ちなみにこれが答えに出てきた人は相当な実力者かも!? しかし、今回覚えておいてもらいたいのは③の“テンション・ノート”だ。先に“これまでの流れをくんで”と書いたとおり、三和音→四和音、と進んできて、今回はそれ以上の音数を持った和音、というわけで、そこに登場するのが“テンション・ノート”ということなんだ。

それでは“テンション・ノート”というものを具体的に見ていくことにしよう。

三和音と四和音の構成音

例えば、ルートがCの場合のトライアド(=三和音)は、【譜例1】のようにルート(=1度)+3度+5度、すなわち“ド・ミ・ソ”という3つの音によって構成される和音であるということは、もう何度も述べてきたことなのでわかっているよね。

次に、四和音の場合はその3音に、6度か7度の音のどちらかひとつを付加音として加えたものだ、ということは第4回目で学んだぞ【譜例2】。しっかり確認しておこう。

ベーシック・コードって?

ところで、ここまでに出てきた4種類のトライアドと、それら4種のトライアドをもとに作られる四和音のうち、通常用いられることの多いコードのことを、基本的なコードの総称として“ベーシック・コード”というので覚えておこう。具体的には【譜例3&図】に示す6種が一般的だ。

そして、いよいよここからが今回の本題。それはつまり、四和音にさらに別の音を加えて5音以上のコードを作る場合、どんな音が使えるのか、ということ。非常に大まかに結論を言うと、このベーシック・コードで用いられていない音、ということになるのだが、ここで大事なのが、トライアドがコードの基本であることからもわかるように、コードの音の積み重ねというのは、ある程度の間隔をもたせないと、美しい響きが得られにくいものだということ。

例えば、1度+3度+5度+7度、などといった積み重ねに比べると、1度+2度+3度+4度、といつた積み重ね方では音がグシャッとにごって聴こえてしまう、ということなんだ。

では、実際に【譜例2】で使われていなかった2度や4度をどのようにして用いるのかというとそうではなく、下の【譜例4】のようにオクターヴ上げた音、すなわち、9度や11度として使おう、というわけ。

ちなみに、C6やCm6の“6th”は“コード・ト―ン”(=ベーシック・コードを構成する音)に準じたもの(CやCmと同じようなもの)と見なされるのでここでは度外視し、6度のオクターヴ上の13度を用いることができる、というわけなんだ。ちょっとややこしいが、ここではとりあえずそのように覚えておこう。

というわけで、これらの四和音に加えることができる音、すなわち9度、11度、13度、というのが基本的な“テンション・ノート”ということなんだ。ただし、ここにも例外があるので、それについては次回でふれていきたい。テンションの意味はわかったかな? しっかり覚えておこう!!

今回のまとめ:テンション・ノートの基本は、9度、11度、13度!

◎講師:山口タケシ
東京都出身。小学生の頃ギターを弾き始め、中学生でバンドを作り、ベースに転向。大学在学中にCBS/SONY(当時)よリバンドでデビューした勢いで、新聞記者か小学校教師という進路を変更、親の反対を押し切り就職活動もせずにプロの世界へ。その後はバンドのライヴ活動と同時にスタジオ・ワークやツアー・サポートなどを始める。卒業後、自己のバンドや、数々のアーティストのツアー、レコーディングヘの参加とともに、『ベース・マガジン』誌への執筆や、入門書、教則CD、教則ビデオ制作といった活動も続けている。