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【誰でもわかる! 低音理論のオハナシ】第2回 – そもそも“コード”って?

  • Text:Takeshi Yamaguchi

新しく始まったわかりやす~い理論講座「低音理論のオハナシ」。今回はみんなが知ってる言葉“コード”についてふれていこう。

コードって何?

前回で“コードは複数の音で成り立っている”と述べたね。“あれ? そんなこと書いてあったっけ?”という人はもう一度読み返しておこう。ではここで簡単なクイズに答えてほしい。

【問題】いくつの音があれば“コード”と言えるでしょう?(“コード”と呼ぶためにはいくつの音が必要か?)

“複数の音で成り立つんだから、ふたつあれば成立するんじゃないの?”と思った君、素直でよろしい。でも、この先をちゃんと読んでね。

【答え】ふたつ(あるいは3つ)

“「あるいは」って、そんなのありかよ!”と思う人も当然いるだろう。まあ落ち着いて聞いてちょうだいな。

そもそも直訳すると“コード”とは“和音”のことだ。前回も書いたけど、このぐらいは(なんとなくにせよ)みんな認識してるんじゃないかな。では、このコード(=和音)はどういうものかといえば、“高さの異なる複数の音が同時に響いて得られるもの”ということなんだ。

なので、コードを言葉どおりにとらえれば、先ほどの答えは“ふたつ”でも正解というわけだ。

コードの仕組み、教えます

クイズの答えはみんなわかったかな? 簡単だったよね? では、音の数が増えるとどうなるのか、そのあたりを見ていこう。

まずは下の譜例を見てみよう。

【譜例1】は単音なので明らかにコードとは言えないのはわかるよね。で、次の【譜例2】のふたつは複数の音 (2音)なので確かに和音ではある。特に右のルート+5度(“度”についてはこのあと詳しく述べる)という形は通称“パワー・コード”といって、ハードロックなどでよく用いられる形なので覚えておくと何かと便利だぞ。

しかし!  ここからが重要なんだけど、僕らが一般的に音楽で“コード”を論じる場合は、3つの異なる音でできた和音、つまり“三和音をコードの原型とする”というのが一般的なんだ。

これは、理論的にコードを分類していくうえで、便宣上必然的にこのようになっているものなので“そういうもんだ”と認識しておこう(話を進めていくうちに追い追いその意味もわかると思う)。

これがさっきのクイズの“あるいは1つ”という意味なんだね。したがって、【譜例3】のような“三和音”がコードの基本であるということと、そしてさらに、この三和音のことを“トライアド”というので、これらをここでまずしっかりと覚えておこう。

“度”とは?

三和音の具体的な話に入る前に先述の“度”という言葉を説明しておこう。みんなはこの言葉、知っているかな? 結論を言えば“度”とは、ある音から別の音までの音程を表わす単位のことだ。したがって、下の【譜例4】【図1】に示すように、シはソの3度、レはソの5度にあたるというわけ。

ちなみにこれを英語では“何番目”を意味する“~rd”や“~th”で表記するので【譜例5】を参照して把握しておこう。

長・短・増・減ってなんのこと?

さて、いよいよ三和音(トライアド)の話に入るわけだが、少しでも楽器をやったことのある人なら“メジャー”とか“マイナー”という言葉を聞いたことがあると思う。実はこれらを日本語で言うと“長”(=メジャー)“短”(=マイナー)というだけのことなんだ。

さらにもう少し詳しく知っている人なら“オーギュメント”とか“ディミニッシュ”という言葉も耳にしているかもしれない。こちらも同じく、“増”(=オーギュメント)“減”(=ディミニッシュ)ということ。

これらがいったい何を表わすのか、それぞれの持つ意味については次回に触れることにするが、ここでは簡単な関係を表わした【譜例6、7】【図2、3】をもとにそれぞれの関係を考えておいてもらうことにして(宿題!?)、現時点ではこういう言葉があるということだけ覚えておこう。

なんだかややこしい言葉が出てきて難しそうな気配がするかもしれないが、言葉さえ知ってしまえば内容はそれほど難しくはないので安心してほしい。

そしてなによりも、今出てきた4つの言葉、“長(=メジャー)”、“短(=マイナー)”、“増(=オーギュメント)”、“減(=ディミニッシュ)”の4種類にすべてのコードの基本的な働き(性格)が分類できてしまう、という衝撃の事実を次回は説明するのでお楽しみに!

今回のまとめ:コードの基本は三和音(トライアド)!

◎講師:山口タケシ
東京都出身。小学生の頃ギターを弾き始め、中学生でバンドを作り、ベースに転向。大学在学中にCBS/SONY(当時)よリバンドでデビューした勢いで、新聞記者か小学校教師という進路を変更、親の反対を押し切り就職活動もせずにプロの世界へ。その後はバンドのライヴ活動と同時にスタジオ・ワークやツアー・サポートなどを始める。卒業後、自己のバンドや、数々のアーティストのツアー、レコーディングヘの参加とともに、『ベース・マガジン』誌への執筆や、入門書、教則CD、教則ビデオ制作といった活動も続けている。