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【ベース初心者のための知識“キホンのキ”】第18回 – フィンガリングの基礎テクニック
- Text:Makoto Kawabe
ここでは、“ベースを始めたい!”、“ベースを始めました!”、“聴くのは好きだけど僕/私でもできるの?”というビギナーのみなさんに《知っておくと便利な基礎知識》を紹介します。今回は“フィンガリング”について学びましょう!
はじめに
ベースは弦を押さえて(フィンガリング)、弦を弾く(ピッキング)楽器ですので、フィンガリングはまさに“キホンのキ”です! とはいえ弦を押さえることだけがフィンガリングのテクニックではありません。
演奏するフレーズによって押さえる弦とフレットが移動すれば、指の使い方もいろいろと工夫する必要がありますね。今回はおさらいも兼ねて、さまざまなシチュエーションにおけるフィンガリング方法を解説しますので、自分のフィンガリング・フォームは問題ないか検証してみましょう。
左手のフォームのおさらい
弦の押さえ方についておさらいしておきましょう。例えば3弦3フレットを押弦する場合に弦を押さえる場所は2~3フレットの間ですが、なるだけ3フレットのすぐ脇を、真上から力を加えて、指の腹で押さえるのが基本でしたね(連載第4回)。
フォームについては“握り込み”、“4指3フレット”、“4指4フレット”の3種類を紹介しましたが、動きのないフレーズであれば握り込み、動きのあるフレーズであれば(フレット間隔の広いロー・ポジションなので)4指3フレットのフォームが押弦しやすいかと思います。
フィンガリングの実践
4指3フレット、4指4フレットのフォームによるフィンガリングは、原則として“押弦する指を入れ替えるのではなく指の本数を増減するイメージ”で指を動かすのがオススメです。
具体的には開放弦を弾かない限り人差指は押弦したまま、中指を使うときは人差指と中指、小指を使うときはすべての指で押弦する、といった具合です。
このようなフィンガリングの狙いは、無駄な音切れを防止し充分な音価で演奏できる、というのが一番の理由ですが、そのほかにも、力の入れにくい薬指や小指の押弦が楽になる、フォームが安定する、フレットの間隔を正確に把握しフレット脇を的確に押弦することでミス・トーンが減る、などの利点があります。
上のGIFは、指の本数の増減でフィンガリングしており、人差指で押弦しているときもほかの指はなるだけフレット間隔を維持したまま弦の近くに待機させています。
下のGIFは指を必要以上にバタつかせており、瞬間的に音切れを起こしがちな悪い例です。
もちろん、楽曲のテンポやフレーズによっては推奨フォームではないほうが弾きやすいことも往々にしてあるので、臨機応変にさまざまなフォームを使い分けてください。
異弦同フレットを押弦するには?
異弦同フレット(弦跳びを含む)を押弦する方法は3つあります。どの方法にも優劣があるので、音価の確保と質感の均一性を最優先に考慮しつつ、手の大きさやフレーズなどによって臨機応変に使い分けてください。
①ひとつの指で2本の弦を押弦する(セーハ)
押弦は爪の真裏あたりの指の腹で行うのが基本ですが、指先から第1関節、場合によっては指の付け根あたりまでを使って一本の指で複数の弦を同時に押弦する手法です。
このような押弦方法をセーハ(またはバレー)と言い、コード演奏が必須のギターでは欠かせないテクニックです。
ベースの場合は単音で弾くことが多いので、セーハで押弦したとしても各音が重ならないように、鳴らさない弦に指を触れたままフレットから浮かすことで適切にミュートすることが重要です。
②ひとつの指を瞬間的に移動して各弦を押弦する
文字どおり瞬間的に移動するわけですが、弦から一旦離れて次の弦を押さえ直すのではなく、手首が主導して指を水平に移動させる感覚が理想です。
なるだけ弦に触れていない時間を作らないように、ややセーハ気味に水平に移動させつつ、ピッチが上ずらない(弦を横方向に押し出さない)ように心がけましょう。
③2本の指で各弦を押弦する
この方法では各指が密着してスペースがなくなるので、なるだけフレットのすぐ脇を押弦できるように、フレットに対して指を斜めに配置するとか、指を重ねるなどの配慮が必要です。
4指3フレット、4指4フレットのフォームは崩れますが、フレーズによってはこの押弦方法のほうが適していることも多々あるかと思います。
上記を踏まえて下記の譜例を弾いてみてください。
筆者的に弾きやすいのは、7フレットは人差指のセーハ、2弦9フレットは薬指、1弦9フレットは小指ですが、皆さんはどのような指使いが弾きやすいですか?
最後に
今回は以上です。楽曲やフレーズはフィンガリングの都合を待ってくれません。無駄なく美しいフォームでスマートな演奏を目指そう!