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【第108回】ベース演奏の基本中の基本、できていますか? この方法でセルフ・チェック! 石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

  • Text:Jun Ishimura

“フレーズがうまく弾けない”“速く弾けない”“リズムが悪い”“音色が良くない”“手が疲れやすい”“手が痛くなる”――。これら問題のおもな原因のひとつが演奏中の力みです。楽器はできるだけリラックスした状態で演奏するのが基本中の基本。そしてこれはベースに限らずどの楽器にも当てはまります。力みは第1回で取り上げたテーマですが、とても大事なテーマなのでまた取り上げます。

リラックスして演奏するのが基本、ということは、裏を返すと力んで演奏するといろいろ問題が起きるということです。自分ではリラックスしているつもりでも実は力んでいる、ということも結構あります。 力みを取るのに一番良いのは、日々の練習のバック・グラウンドで常に動いているアプリみたいな感じで、演奏しながらいろいろな筋肉に注意を向けて、緊張していないかどうかチェックし、緊張を見つけるたびに緩める、というセルフ・チェックを怠らないこと。ですが、これを習慣にするのは時間がかかるので、手始めとしてもう少し簡単に力んでないかどうかをチェックする方法をいくつか紹介します。

チェック・ポイント① 

左手をチェックします。弾き慣れたフレーズを演奏しながら鏡を見て、いろいろな角度からネックを見てください。ネックが動いてませんか?

たまにほんの少し動く程度なら全然問題ありませんが、もしコンスタントにネックがそこそこ動いてるなら、左手に力を入れすぎている可能性が高いです。ネックが動くということは、その方向に力が加わったということ。でもネックが動いても、出てくる音やフレーズには関係ないですよね? ということは、そのネックを動かした力は、いるかいらないかで言ったら“いらない力”です。言い換えると、押弦するのに必要のない筋肉を使っているか、あるいは押弦に必要な筋肉だけを使っているとしても必要以上に強い力で押さえているか、このどちらかだと思います。 必要最小限の力で押弦できるようにしていきましょう。

チェック・ポイント②

指弾き時の右手をチェックします。弾き慣れたフレーズを演奏しながら、鏡で正面から右手を見てください。1~3弦あたりを弾くときに、右手の親指を4弦などに乗せて弾く人も多いと思いますが、その親指を乗せた弦が強く押し下げられてませんか?  だとすると右手で無駄な力を使っています。このように弦をたわませても、出てくる音に関係ありませんよね? ということは、要るか要らないかで言ったら“要らない力”です。親指を弦に乗せる目的は①開放弦をミュートすることと、②右手のボディとの位置関係を安定させること、の2点なので、弦がたわむほどの力で親指を弦に押しつける必要はまったくありません。

チェック・ポイント③

左手をチェックします。弾き慣れたフレーズを演奏しながら、いろいろな角度からヒジや手首を見てください。ヒジの位置や手首の角度が固定されてませんか?

もし、ヒジがほぼ動いていないとか、手首がほぼ同じ角度のままだとしたら、腕全体の力を使わずに指だけで押弦している可能性がとても高いです。だとすると、指にすごく力を入れて押さえてしまっている場合が多く、指や手が疲れやすかったり痛くなったりしがちです。肩・ヒジ・手首を固めずに柔軟に使って、指だけじゃなく腕全体で協力して押弦するようにしましょう。

力みを取るためには、まず力みに気づくのが第一歩ということで、日々の練習中にこういう感じで何度もチェックして力を緩めましょう。石村順でした!

石村順でした!

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石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

◎Information
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