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    寒さに打ち勝つ健康法!レトロゲームのウォーキング・ベース4選【クリープハイプ長谷川カオナシのレトロゲーム喫音堂】– 第9回

    • バナードット絵:石田芙月(株式会社.AC)
    • 挿絵:長谷川カオナシ

    2022年にメジャー・デビュー10周年を迎えたクリープハイプ。それを記念して始まった長谷川カオナシによる本連載コラムでは、多彩な趣味を持つ長谷川が特にハマっているという、“レトロゲームのベースの世界を案内します。

    いっぱい歩いて健康に!

    お世話になっております。

    今年もいよいよ大詰めですね!

    師走も佳境に差しかかってまいりました。

    日本列島は本格的な寒波に見舞われておりますが、お身体にご不調はございませんか??

    皆様が元気に新年を迎えられますよう、弊堂では健康法のひとつとしてウォーキング・ベースのプレイを推奨していきたいと思います!

    朝一番のウォーキング・ベースはセロトニンの分泌を促すと云われています

    ウォーキング・ベースとは。

    コードとコードの間を四分音符で進行していく、歩いているようなベース・ラインのこと。

    ジャズで使われることが多いため、曲中でこのアプローチをすると“どこかジャズっぽい”雰囲気にすることができます。

    和音数を食わずに表現することができるので、レトロゲームのBGMにもよく登場してきました。

    それでは今回は私が独断と偏見で選んだ、“ウォーキング・ベースが用いられているレトロゲームの曲”4選を喫音していきましょう。

    ①『アイスクライマー』(1985年/任天堂)(※1)

    GCのスマブラでは愛用してました

    人生で初めて親から買ってもらったゲームなので、個人的にも思い入れの強いソフトです。

    タイトル画面とボーナス・ステージのBGMがウォーキング・ベース。

    1度→3度→5度→6度→短7度→6度→5度→3度と進行していく、ブルースのお手本のようなベース・ラインです。

    8小節目(1番高い音の部分)のキメでメロディがE♭→Cと動くところ、ベースがA→Fという一風変わったハモり方をします。

    背景に徹しているようで、ここぞという場面でキラリとアクロバットを決めるところがカッコいいですね!

    ②『MOTHER』(1989年/任天堂)(※2)

    エンディングまで、泣くんじゃない

    今なお根強いファンの多い名作RPGですね。

    BGMもかなり緻密に作られており、ファミコンの和音数の制約のなかでさまざまなジャンルの曲が表現されています。

    戦闘BGMの種類も豊富ですが、特に“ねずみ”や“おじさん”、“ムカデ”らと戦う際にはジャズ色の強い軽快なBGMが流れます。

    “敵のコミカルさ”を演出しているのかもしれません。

    こちらの曲のベース・ラインはランニング・ベース(※3)

    使用する経過音がややトリッキーですが、法則性のある動きをすることによってポップな印象の曲になっています。

    ③「スーパーマリオUSA』(1988年/任天堂)(※4)

    ドキドキパニックと構図も一緒

    メインのステージBGMである「Enjoying the Land」。

    こちらは前半はコードに沿ったバッキングですが、途中からウォーキング・ベースに変わります。

    曲調こそ違いますが、『スーパーマリオワールド』の地上BGMも途中からランニング・ベースになっていました。

    いずれも作曲は近藤浩治先生です。

    もしかしたら、先生の得意とする演出なのかもしれません。

    全篇通してスタッカートとなっております。

    楽曲のテンポも速いので忙しくなります。

    弦を押さえるほうの指は、ピッキングの瞬間だけ力を入れるようにしましょう。

    余裕があれば、弾いた直後はピッキングした弦の上に指を置いてミュートするとメリハリができて美しくなります。

    ④『ドラゴンクエストVI』(1995年/エニックス)(※5)

    今月17歳の誕生日だったそうです

    最後にご紹介するのがスーパーファミコン・ソフトの“ドラクエ6”。

    カジノBGMである「ハッピーハミング」です。ファミコンと比べて使える和音数も音源も多いので、今回取りあげる曲のなかでも特に一聴して“ジャズっぽい”と感じる楽曲ですね。

    ベース・ラインは前半が1、3拍目をピッキング、2、4拍目は休符というゆったりとした進行ですが、後半でウォーキング・ベースに変化します。

    この後半の管楽器隊の盛り上がりが絶品です!

    ジャズらしいキメも入りますが、ベースはそこには参加せず淡々とウォーキングを続けます。

    まさにしんがりといったベーシストらしいプレイですね!

    さて今年最後の喫音堂はウォーキング・ベースを特集してみました。

    今回は動画にも特に力を入れたので、ぜひご覧いただけると幸いです!

    今回のGX-100のセッティングはこちら。


    ジャズっぽく聴こえるようクリーンを軸に作りつつ、スマホのスピーカーでも聴こえるようにオーバードライブも混ぜてみました。

    それではまた来年までご機嫌よう。

    (※1)
    ^ 音楽は中塚章人先生。『クルクルランド』、『エキサイトバイク』、『リンクの冒険』などファミコン黎明期から多くの作品に携わっておられます。『アイスクライマー』のテーマはスマブラでも今なおアレンジされ続けていますが、色褪せない名曲ですね。

    (※2)
    ^ 音楽は『ドンキーコング』や『ドクターマリオ』をはじめさまざまな任天堂サウンドを手がけた田中宏和先生と、はちみつぱいの鈴木慶一先生の連名です。本作のノイズ・トラックの使い方は芸術的です。

    (※3)
    ^ 歩いているような“ウォーキング・ベース”に対して、走っているようなものが“ランニング・ベース”といった認識で差し支えないと思います。

    (※4)
    ^ 内容は『夢工場ドキドキパニック』のリメイクです。ちなみに『夢工場』のほうでの本曲には後半の8小節がなく、ショート・バージョンとなっております。音楽は近藤浩治先生。喫音堂第1回第4回もご参照ください!

    (※5)
    ^ 音楽はすぎやまこういち先生。喫音堂第4回もご参照ください!

    ◎Profile
    はせがわ・かおなし●1987年9月23日生まれ。小学生でピアノとヴァイオリンを手にし、高校1年でベースを始める。クリープハイプは2001年に尾崎世界観(vo,g)を中心に結成。2009年に長谷川、小川幸慈(g)、小泉拓(d)を擁した現編成となる。2012年にメジャー・デビューし、2014年には日本武道館にてライヴを行なう。2021年11月に6thアルバム『夜にしがみついて、朝で溶かして』をリリースした。長谷川はティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズのグッズ収集家でもある。

    ◎Information
    長谷川カオナシ
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    クリープハイプ
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