NOTES

UP

【第94回】“パーム・ミュート+親指弾き”で音数が多いフレーズを弾きたいけど無理!  石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

  • Text:Jun Ishimura

2022年最後のエピソードです!

例えば譜例Aみたいな音数が多くて速いフレーズがあるとします。

普通に指弾きしてもいいけど、これを“パーム・ミュート+親指弾き”のサステインの短いコモった音色で弾きたい場合がありますよね。ゆったりしたテンポならいいけど、テンポが速くなるとやはり親指だけだとスピードに限界がある。

細かい音が2個連続するだけだったら、1本指でもある程度のスピードまで対応できるんですけど、細かい音が3個とか4個以上連続する場合は、そこまで速くは弾けないですよね。こういう場合、僕は親指(t)に人差指(i)とか中指(m)を組み合わせて使います

譜例A2のフレーズみたいに1本の弦で音が動く場合、中指は使いづらいので親指に近い人差指を使います。もちろんこのフィンガリングは一例で、自分に合う手順で弾けばいいと思います。

次に、譜例Bみたいな複数の弦を使うフレーズを弾いてみます。例えばこういうフィンガリングになります。

これも親指だけで弾くのは大変だから人差指(i)も使いつつ、それに加えて親指の連続を減らすための工夫もしています。

ひとつ目のポイントは、繰り返し弾いているときに4拍目最後の4弦のC♯音から1拍目最初の3弦のE音を親指でレイキングしていることです。両方ピッキングしてもいいですが、親指が連続するよりもレイキングのほうが楽。普通の指弾きやピック弾きと同じで、レイキングしたほうが弾きやすかったりニュアンスが合うところはそうします。

ふたつ目のポイントは、2拍目アタマのゴーストノート。もちろんピッキングしてもいいですが、ここでは親指を弦に触れてミュートすることでゴーストノートを出して、そのまま次のBの音を弾いています。これも、親指のピッキングが連続しないほうが楽だなあ、という感じですかね。

4弦から1弦に音跳びする場合(譜例C)とか、1音ずつ弦が変わる場合(譜例D)は、中指も使います。

こういう音数の多いフレーズはだいたい盛り上がった曲調だったりするので、それなりの音量が欲しいですよね。ということは、まず大前提として前回お伝えした弾き方を身につけていないと、音量が小さかったり、音量はいいけど音色が激しくなってしまってこの奏法をしている意味がなくなっちゃったりします。特に人差指は親指よりも細い音だし、強く弾けば弾くほど親指との音色の差が目立ってしまうので、大事なポイントですね。ぜひ前回の記事もチェックしてください。

ということで、年末年始にパーム・ミュート+親指弾き+αにじっくり取り組んでみてはいかがでしょうか? 2023年も楽しく ベース弾いていきましょう! 石村順でした!

石村順
◎Profile
いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライブや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

◎Information
HP Twitter facebook Instagram