コロナ禍の影響により、ライヴハウスが閉店してしまうというニュースが度々届く。そんな危機的状況を救済すべく、Crystal Lake、NOISEMAKER、SHADOWSというラウド・ロック・シーンで名を馳せる3バンドが結託し、ドリーム・チーム“FUTURE FOUNDATION”を結成。2020年6月にシングル「DAWN」を配信し、その売り上げの一部をライヴハウスに還元するというピースフルな試みが行なわれた。そんな彼らが「DAWN」を含めた新作EPを2021年6月2日にリリースする。

　EP『TRINITY』には「DAWN」に加えて「FUTURE FOUNDATION」「WHO WE ARE」「GETAWAY」、さらにエレクトロ・ユニットの80 KIDSによるリミックス曲「DAWN(80KIDZ Remix)」の5曲が収録されている。ラウド・ロックやパンクの王道を行くバンド・サウンドに乗せられた現状打破を鼓舞するメッセージが痛快で、こんな時代だからこそレベル・ミュージックの真価が胸に突き刺さる。各バンドからのメンバーが参加する本プロジェクトだが、ベースを担当するのはNOISEMAKERのYU-KIだ。ミクスチャー・ロックのマナーも感じさせるヘヴィ・グルーヴな「FUTURE FOUNDATION」では、ラップのフロウとギター・リフの合間に生じる隙間で的確なパンチラインを繰り出し、スピーディなビートがスリリングな「DAWN」のグロウルで歌うパートでは、バキバキに歪んだベース・サウンドでセクションのアグレッシブさを助長するなど、楽曲の印象を決定づける重要なベース・アプローチを披露している。

　ライヴハウスで育ち、そこから飛躍して名を広めていった彼らが、原点となるライヴハウスに対する思いを忘れず、このような試みを行なっているということに胸が熱くなる。初心を忘れず、ライヴハウス・シーンを盛り上げ続ける彼らの発信からは、目が離せない。