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Black Smoker TRAD MASTER SERIES × 高木祥太(BREIMEN)

  • Photo:Takashi Yashima

Total Impression

最後に、試奏を終えた高木に今回のモデルを振り返ってもらった。自身のバンドのほか、アーティスト・サポート、セッションもこなすヴィンテージ・ユーザーである高木によるBlack Smoker評はいかに。

いろいろな関門をくぐり抜けてきた、厳選されたブランドだと思います。

 今回初めてBlack Smokerのベースをしっかり試奏させていただきましたが、ヴィンテージを彷彿させるルックスとサウンドでありつつも、随所に独自の考えが込められた完成度の高い楽器だと感じました。僕のまわりのBlack Smokerのベース・ユーザーにはセッション系の人が多くて、プリアンプとかコンプを極力使わずアンプと指だけでサウンドを表現するタイプのプレイヤーが多いんです。そういった意味で、ベース自体のレンジ感が広く、汎用性が高いサウンドのBlack Smokerの楽器はぴったりのチョイス。選ばれているのにはそういった要素もあるのではないでしょうか。僕自身も足下にはあまりペダルを並べないんですが、Black Smokerの楽器はそれこそアンプ直でも充分に戦える、即戦力のサウンドだと感じました。

 普段僕は4弦を弾くことが多いんですが、今回試奏した5弦モデルはどれも4弦のような感覚で違和感なくプレイできました。なので“4弦を弾いてきて、次は5弦を試してみたい”という人には特にお薦めですし、パッシヴだけどパワー感も充分、ローB弦もクリアに鳴るので、アクティヴ特有のサウンドが好みでない5弦ユーザーはマストでチェックすべきですね。5弦であってもどれも軽いのも嬉しい点だし、ヘッド落ちも感じなかったのでボディ・バランスもしっかり考えられていますね。

 JBタイプの2本はブーミーで粒立ち良く使いやすいサウンド。僕は5 弦のJBを持っていないので、一本欲しくなりました(笑)。PBタイプは両モデルとも王道でありつつ、一流の現場でも問題なく通用する音だと感じました。下の帯域がふくよかで、PB特有の美味しい部分が全部詰め込まれた楽器ですね。JB/PB両モデルともに木材は王道の組み合わせでありつつ、すべてパッシヴ・モデルというところが惹きつけられる部分。セッションみたいに、いろいろなプレイヤーと幅広いジャンルの曲を演奏する際もこの一本を持っていけば対応できそうです。

 今回はエイジド加工が施されたシリーズとのことですが、どのモデルも加工が本当に自然で、まったく違和感を感じませんでした。逆に言われるまで加工されていることを意識しなかったです(笑)。ノブとかブリッジのパーツ類にも同様の加工がしてあるのもこだわりを感じたし、流れ作業では絶対できない計算された加工だと思います。それをたったふたりの職人さんの手で一本一本丁寧に作っている。そういったところからも作りの良さが伝わってきます。

 長らく“王道の音=ヴィンテージ”っていう考え方があったと思うんですけど、Black Smokerの楽器はそれを更新していると感じます。なのでヴィンテージ志向の人にも抵抗感なく受け入れられると思うし、加えて現代チックなハイファイな部分もしっかり存在している。そういった部分から新たな王道であり、これまでに作られてきた楽器の延長線上にあるブランドだと感じましたね。いろいろな関門をくぐり抜けてきた、厳選されたブランドだと思います。

【Profile】
たかぎ・しょうた●1995年2月20日生まれ、神奈川県横浜市出身。音楽家の両親のもとで育ち、高校生の頃にベースを始める。その後、ブラック・ミュージックに傾倒し、ベーシストの後藤克臣に師事。2015年には6人組バンド、無礼メンを結成するも、2018年にヴォーカリストとドラマーが脱退。同年にkanno so(d)が加入して現編成となり、高木はベース・ヴォーカルを担当して、バンド名をBREIMENに改める。最新作は『TITY』。ほかにもスタジオ・プレイヤーとしても活動しており、これまでにTENDREやCharaなどの録音/ライヴをサポートしている。
https://breimen.amebaownd.com/

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