UP

【Vivie】OwlMighty Pro × 武田祐介(RADWIMPS)

  • Text:Gentaro Yamamoto
  • Photo:Takashi Hoshino
  • Shoot & Edit:Kazuki Kumagai
  • Sound Recording:Shohei Kasai

プロ/アマ問わず多くのベーシストから評価される新進気鋭のエフェクター・ブランド、Vivie(ヴィヴィー)。ペダル型プリアンプはベーシストの必需品と言える時代において同ブランドの代表モデルであるOwlMightyは大ヒットを記録し、その実用性の高いサウンドとプレイアビリティは大きな話題を呼んだ。そして、改良機であるOwlMighty IIを経て、よりプロ・ユースに特化したハイ・スペック・モデルとしてOwlMighty Proが発表される。フリケンシーの増設などより細かに配慮が行き届いたコントロール構成、楽器本来の良さを生かす歪みサウンド、XLRアウトなどの入出力系統の充実といったプロの現場でも役立つスペックを持つ本機の実力を、音楽シーンの最前線で活躍する武田祐介(RADWIMPS)とともに確かめた。

Vivie/OwlMighty Pro

Vivie/OwlMighty Pro

 国内外のメーカーが群雄割拠し鎬を削っているストンプ型ベース用プリアンプ・シーンのなかで、2015年の発足と歴史は浅いものの確固たる地位を築きつつあるメーカーがVivieであり、その牽引役となっているのがOwlMightyだ。そのOwlMightyの3世代目となる本機OwlMighty Proは、前身のOwlMightyとOwlMighty IIがプロ“も”愛用するプリアンプだったとしたら、プロ“が”愛用するレベルまでに進化したハイ・スペック・モデルと言える。

▼同シリーズのOwlMighty Ⅱの紹介記事も合わせてチェック!▼

需要にマッチする充実した入出力系統

 まず注目したいのは入出力系の拡充で、OwlMighty Proではプリ/ポスト、フェイズ、グランド・リフトなどが装備されたXLRバランス・アウトを搭載。“足下で音作りを固めてライン・アウト”という昨今の需要を考えれば、OwlMighty Proでの音作りをそのままポストEQでライン・アウトできるというのは大きなメリットだ。また、新たに設けられたチューナー・アウトも、スルー・アウトとして外部機器に接続できる信号クオリティを狙っており、拡張性も担保されている。オン/オフ・スイッチを長踏みするとアウトプットがミュートされるというのも実用的な改良だろう。

ボディ右側の側面にはインプットと電源の入力。9Vの電源入力は、内部で負電源を生成する±9Vの両電源仕様となっており、18Vの機器と等しいヘッドルームを実現する。
ボディ左側の側面にはチューナー・アウト、アウトプット、XLRアウト。プリ・ポスト、フェーズ、グランド・リフトといった、さまざまな現場で役立つスイッチ類も完備。オン/オフ・スイッチの長押しでミュートしている際にもチューナー・アウトからの信号は出力される。

スタイルに確実に寄り添う便利なマスターEQ

 次にOwlMightyシリーズの特徴であるクリーン/ドライブの2チャンネル構成だが、両チャンネルに作用するマスターEQがミドル可変の3バンドからベースとふたつのミドルが可変の4バンドに細分化。各帯域は、ベース・ツマミはそれぞれ、70Hzを±8dB(シェルビング・タイプのため20Hzで±16dB)、180Hzを±8dB(同じくシェルビング・タイプのため30Hzで±18dB)。そして、ロー・ミッドが180Hz〜1.6kHzを±18dB、ハイ・ミッドが500Hz〜3.5kHzを±18dB、トレブルが2kHzを±10dBと8kHzを±20dBとなっている。低音域の周波数帯を選べるというのはなかなか珍しい仕様だが、ボトム感の置きどころを調整できるという点で、例えば多弦ベース・ユーザーにも嬉しい機能だろう。また、1.8kHzを中心にブーストするブライト・スイッチや、1kHzを中心に中音域をカットするノッチ・スイッチなどのスイッチ類も、奏法に合わせた調整に便利な機能だ。

マスターEQは、左からベース、ベース・フリケンシー・スイッチ、ロー・ミッド、ロー・ミッド・フリケンシー、ハイ・ミッド、ハイ・ミッド・フリケンシー、トレブル、ブライト・スイッチ、ノッチ・スイッチとなる。-15dBのパッド・スイッチはアクティヴ・ベースを使用する際に便利だ。

よりワイドレンジなサウンドメイクを実現する2種類のチャンネル

 クリーン・チャンネルに関しては、これまで1コントロールだったコンプレッサー機能が、コンプ(スレッショルド)とアタック/リリース・タイムの2コントロールとなり、効きを掘り下げられるようになった。また、OwlMighty IIではドライブ・チャンネル使用時のコンプのオン/オフを内部のDIPスイッチによって選択していたが、本機では表のパネル面にコンプ・スルー・スイッチを搭載。頻繁に触るスイッチではないが、効果の聴き比べなどを考えると表に出したのは英断だ。

クリーン・チャンネルは左からレベル、コンプ、アタック/リリース・タイム。コンプ・ツマミで調整可能なスレッショルドは最大-34dBで、レシオは8:1。アタック/リリース・タイム・ツマミはアタックが約2ms~60ms、リリースが約50ms~500msの間で可変する。

 ドライブ・チャンネルはこれまでのカラー(トーン)コントロールが、150Hzを±7dBと40Hzを±14dBのベース・ツマミ、700Hzを±6dBと2.5kHzを±11dBのトレブル・ツマミという2バンドEQに分かれたのが大きな進化。歪み自体は大ヒットした同社製の歪みペダルRhinotesの音色を地盤に、前身モデルのOwlMighty Ⅱと比べてヴィンテージ風となったが、2EQでさまざまな表情を付けられるようになった。ちなみにブレンドでミックスされるクリーン・トーンはクリーン・チャンネルとは異なる、歪み用に調整された信号となっている。

ドライブ・チャンネルは左からコンプ・スルー・スイッチ、レベル、ゲイン、ブレンド、ベース、トレブルとなる。コンプ・スルー・スイッチをオンにすることで適用するコンプレッサーは歪み回路の前段にかかる。

▼同シリーズのOwlMighty Ⅱの紹介記事も合わせてチェック!▼

Specifications

●コントロール:【マスターEQ】ベース、ベース・フリケンシー・スイッチ、ロー・ミッド、ロー・ミッド・フリケンシー、ハイ・ミッド、ハイ・ミッド・フリケンシー、トレブル、ブライト・スイッチ、ノッチ・スイッチ【クリーン・チャンネル】レベル、コンプ、アタック/リリース・タイム【ドライブ・チャンネル】レベル、ゲイン、ブレンド、ベース、トレブル、コンプ・スルー・スイッチ【スイッチ】ドライブ、オン/オフ、プリ・ポスト、フェーズ、グランド・リフト、-15dB
●入出力端子:インプット、アウトプット、チューナー・アウト、XLRアウト
●電源:DCアダプター(9V/電池駆動不可)
●外形寸法:177(W)×105(D)×51(H)mm
●重量:680g

価格:¥44,800(税抜)

お問い合わせ:CygnusEntertainment メーカー・サイト

▼次ページでは、武田祐介(RADWIMPS)がOwlMighty Proについて語る!▼