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ユーフ(Yuuf)のアンソニー・ボートライトの愛用機材を解説。ギブソンSGベースとハーモニクスを生かす弓奏法、9台のペダルの使い方
- Text: Shutaro Tsujimoto (Bass Magazine Web)
- Translation: Tommy Morley
- Photo: Takashi Hoshino
ロンドンを拠点に活動する4人組インスト・バンド、ユーフ(Yuuf)。FUJI ROCK FESTIVAL’26での初来日公演では、アンソニー・ボートライトの力強いグルーヴと、弓奏法による幻想的な響きが印象を残した。ここでは、そのサウンドを支える愛用のSGベースと弓、9台のペダルを紹介する。
音楽的なルーツや弓奏法について語ったインタビュー篇はこちら。

PROFILE
アンソニー・ボートライト●ロンドンを拠点に活動するユーフのベーシスト。14歳でベースを始め、バンドやセッションで経験を積む。大学で出会った仲間と2022年にユーフを結成し、2024年に初のEP『In The Sun』を発表。2025年には『Alma’s Cove』『Mt. Sava』をリリースした。
Gibson / SG Standard Bass
愛用のベースは、ヘリテージ・チェリーの2012年製ギブソンSG Standard Bass。ショート・スケールの1本を長年使い続け、指弾きによるグルーヴから弓を使ったアンビエントな表現までを担う。手に取ったきっかけは、ジャック・ブルースへの憧れ。16歳か17歳の頃、音楽の専門学校への進学を考え、プロのミュージシャンを志した際に、父が“それならいい楽器が必要だ”と買ってくれた。その後、いろいろな仕事をして代金を返したという。

使用弦はダダリオのフラット・ワウンド、XL Chromes ECB81S(.045、.065、.080、.100)。研磨されたステンレス巻線による滑らかな手触りと、温かみのある落ち着いた音色が特徴だ。フラット・ワウンドを選ぶのは弓奏法のためではなく、もともとその音色が好きだから。ピノ・パラディーノ、ジェームズ・ジェマーソン、チャック・レイニーの大ファンだという。

弓奏法のきっかけは、コントラバス奏者のトム・ウィートリー(Tom Wheatley)にレッスンを受けたこと。ハーモニクスや独特の響きを生かす彼の演奏に刺激を受け、自身も弓で弾くことに興味を持ったという。奏法のポイントは、左手の親指で押弦し、同じ手の小指でハーモニクスのポイントに軽く触れること。例えば、親指で1弦2フレットのA音を押さえ、小指で1弦7フレット付近に触れた状態で弓を当てると、押さえた音の2オクターヴ上のA音が鳴る。本人によれば、エレキ・ベースでは親指で押さえるほうがラクで、そのままスライドすることも可能。ショート・スケールのSGに限らず、フルサイズのベースでも実践できるという。

Pedalboard
弓による幻想的な響きを形作るペダル・ボード


以下の番号は接続順を示している。
①TC Electronic / PolyTune 3 Noir(チューナー)
②Electro-Harmonix / Intelligent Harmony Machine(ハーモナイザー)
③Donner / Deluxe Looper(ルーパー)
④DigiTech / Bass Whammy(ピッチ・シフター)
⑤Electro-Harmonix / Deep Freeze(サステイナー)
⑥Tone City / Tiny Spring(リヴァーブ)
⑦TC Electronic / HOF Mini(リヴァーブ)
⑧NUX NDD-3 / Edge Delay(ディレイ)
⑨TC Electronic / Ditto X4 Looper(ルーパー)
2台のピッチ・シフト系ペダルは、②を5度上、④を5度下に設定して重ねて使う。単音のフレーズから独特の和音を生み出す仕組みで、アンソニーはその響きを“9thっぽいコード”と表現している。
ルーパーを2台置くのも、フレーズを重ねて展開させるためだ。まず③のDeluxe Looperと④のBass Whammyを駆使して和音を含むループを作り、それを⑨のDitto X4 Looperに録音。続いて③をリセットして新しいループを作り、⑨の別チャンネルに録音する。こうして用意したループを、それぞれオン/オフしている。
弓で弾く際の残響は、⑥のTiny Springで部屋鳴りのような短い響きを作り、⑦のHOF Miniで長いリヴァーブを加える。かけすぎず、音を少し持続させて空気感を出すのが狙いだ。⑧のNDD-3 Edge Delayは、取材時点では比較的最近入手したペダル。小型ながらタップテンポが使え、音色を切り替えられることや、手頃な価格も利点として挙げていた。
こうした音作りの背景にあるのが、アーサー・ラッセルへの敬愛だ。アルバム『World of Echo』で聴ける、エコーをかけたチェロの少し濁った、ドリーミーでシューゲイズ的なサウンドを好んでいる。レコーディングでも、弓を使うパートやアンビエントなパートにはディレイ、リヴァーブ、ハーモナイザーなどを使用。一方、通常のベース・プレイでは、基本的にシンプルでクリーンな音を大切にしている。

