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    【動画連動】堀江晶太(PENGUIN RESEARCH)が体感するZOOM MS-60B+の実力

    • Text:Makoto Kawabe
    • Photo:HIroki Obara

    ベース用マルチ・エフェクト・ペダルの決定版として、ベーシストから圧倒的支持を獲得したZOOMのMS-60B。2013年に発売された本機の後継機として満を辞して登場したモデルがMS-60B+だ。人気を博し続ける先代機から10年のときを経て、MS-60B+はどのような進化を遂げたのか。そしてその進化はベーシストにどのようなインスピレーションをもたらすのか。本企画では、MS-60B+の実力を、PENGUIN RESEARCHのベーシストの堀江晶太の試奏レビューを通して徹底検証する。

    ZOOM MS-60B+ × 堀江晶太(PENGUIN RESEARCH)

    現代仕様に飛躍的アップデートを遂げた
    待望の後継モデル!

    ZOOM MS-60B+ MultiStomp

    【Specifications】
    ●同時使用エフェクト数:6●パッチメモリーユーザーエリア:100●入出力端子:インプット、アウトプット×2、USB(Type-C)●電源DC9V/専用ACアダプター(ZOOM AD-16)、単三アルカリ乾電池×2(動作時間:アルカリ乾電池で約7時間、ニッケル水素蓄電池で約6.5時間、リチウム乾電池で約14時間)●外形寸法:79(W)×133(D)×61(H)mm●重量:353g(ZOOM STORE販売予定価格:14,900円)

     コンパクト・エフェクター(ストンプ・ボックス)1台分の筐体に、本格的なマルチ・エフェクターの機能を収めた“マルチストンプ・シリーズ”から、ベース専用モデルMS-60B+が新登場。2013年発売の先代モデルMS-60Bから実に11年ぶりのフルモデル・チェンジとなるだけに機能や音色/音質のクオリティは大幅に刷新されている。

     スポーツ・カーのようなビビットなレッドとブラックのツートン・カラーが目を惹く本機の筐体デザインは、モデル名に“+”が付く同世代のマルチストンプ・シリーズと共通で、直感的な操作を可能にするコントロールとUIを搭載。ボタン機能を兼ねたノブは先代モデルの3つから4つに増え、フットスイッチを囲う4つのスイッチも大型化されて足先でも操作しやすくなった。大型液晶パネルのバックライトは選択したエフェクトなどによって7色に変わり、視認性も向上している。

     肝心のエフェクト機能はコンプレッサーをはじめとするダイナミクス系10種類、EQやオートワウなどのフィルター系14種類、ディストーションやファズなどのドライブ系13種類、コーラスやフェイザーなどのモジュレーション系11種類、オクターヴを含むピッチ・シフト系6種類、シンセ系3種類、ディレイ系7種類、リバーブ系6種類、ルーパーやフレットレス・シミュレーターなどのSFX系5種類と合計75種類を搭載。またプリアンプ/DIは、定番の実機モデリング8種類とZOOMオリジナル・モデル3種類の合計11種類、ベース・アンプ/キャビネットも実機モデリングが11種類で、搭載するアンプ/エフェクト・モデルの総数は先代モデルの58種類を大幅に上回る全97種類となっており、同時使用可能数も先代モデルの4台から6台まで拡張されている。

     ベース・アンプ/キャビネットのモデリングには従来のIR(特定の音量下でのみ測定した静的なデータ)ではなく、演奏の強弱に応じた動的な音色変化を再現しデータ化したZOOM独自の“マルチレイヤ―IR”を採用しており、これまで以上に再現性の高い音色表現を可能にしている。もちろんすべてのアンプ/エフェクト・モデルはベース用に特化しており実用性も高く、ブラッシュアップされたDSPエンジンや、フラットな位相特性を持つ新設計のアナログ入出力回路の効果もあり、バイパス音も含めて音色/音質クオリティが向上している。

     使用するエフェクト/アンプ・モデルの種類や接続順、各パラメーターの数値など、すべての設定データは1~100番までの100個のパッチ・メモリーに保存できるが、1~20番には単体のエフェクト、21~25番には複数のエフェクトを利用した複合エフェクト、26~85番には各年代の楽曲を演奏するのに適したエフェクト・セッティング(具体的な楽曲名で提示)がプリセットされており、初心者でもすぐに使い始められるほど実用面に優れ、各パラメーターの設定を自動保存する“オートセーブ機能”や、編集内容を元の状態に戻す“リバート機能”を搭載するなど、使い勝手にも配慮されている。

     マルチ・ストンプ・シリーズは本体だけですべての操作が直感的に行なえるのが特徴ではあるが、本機の世代からType-CのUSB端子に接続されたiPhone/iPadの専用アプリによる操作も可能となり、各エフェクトやパッチ・メモリなどの緻密な設定や編集の利便性が格段に向上している。USB MIDI機能により、外部機器からのパッチ・チェンジにも対応したことで、ほかのエフェクターを併用した総合的なエフェクト・システムにも導入しやすくなっている。

     出力端子はLRでふたつのチャンネルが装備されており、ステレオ効果のあるエフェクトをステレオ出力できるだけでなく、Rチャンネル出力の取り出し位置をパッチ・メモリーごとに設定することも可能(“R OUT POSITION”機能)。これにより、例えば、アンプを鳴らす回線とは別にPAに送るための回線をセット(一方だけキャビネット・シミュレータを通すなど)することも可能だ。チューナー機能ももちろん装備しており、フットスイッチを長押しすると起動する。ローB/ハイCといった多弦ベースやロー・ダウンの変則チューニングにも対応しており、チューニングが合うとバックライトの色が変化するなど視認性にも長けている。

    Pickup① ボタン機能を兼ねた4種のコントロール

    筐体中央には、ADD/DELETE/LIBRARY/MENUという4種のスイッチを搭載。これらはエンコーダー・ノブとしても機能し、一般的なストンプ・ボックスと同感覚で直感的に音色調整が行なえるだろう。

    Pickup② 機能を拡充させる操作性に優れた専用アプリ

    iOS/iPadOS用アプリ“Handy Guitar Lab for MS-60B+”では、USB接続されたスマートフォン/タブレットからエフェクトの追加、プリセット・パッチの入手、パッチメモリーの編集が可能。音色ライブラリの拡張としても機能する。【ダウンロード・ページ

    Pickup③ 完成度の高いZOOMオリジナル・プリアンプ

    ベーシストにとって特に重要度の高い音色となるプリアンプは、馴染み深い定番モデルが8種類、ZOOMのオリジナル・モデルが3種類搭載されている。ここではZOOMのオリジナル・プリアンプの中身を解説していく。

    DJENT PREAMP
    ジェント系ベーシストがDAW上で作り込むサウンドをエフェクト化したプリアンプ。帯域別に歪ませることで、歪まないローエンドと激しく歪んだハイエンドを両立。強く歪んでも低域がしっかり出力されるため、多弦ベースでの使用にも最適だろう。
    SUPER LOW PREAMP
    EQ、ENHANCE、SUB(1オクターヴ下)を駆使して、キックの下に潜り込む重低音が得られる。初期設定はレゲエ、ダンス・ミュージック向けの設定となっており、LO EQは25がフラット、50くらいで適度な低音が得られる。
    CLEAR DRIVER PREAMP
    歪み回路にリニアフェイズEQを使用し、原音とブレンドした際の位相干渉をを抑えることで、どの帯域にもノッチのない、クリアな歪みを演出する。またミドル部分の帯域に細かい調整が加えられ、幅広い音作りにも対応する。

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