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Limetone Audio JACKAL MIDNIGHT ADD CBF×山田貴洋 (ASIAN KUNG-FU GENERATION)

  • Product Description:Daisuke Ito
  • Photo:Chika Suzuki

ベーシストにとって“定番”とも言える存在となったコンプレッサー“focus”をはじめ、考え抜かれた高品位な製品ラインナップで注目を集める国産ペダル・ブランドLimetone Audioより、最新モデル“JACKAL MIDNIGHT ADD CBF”が11月11日に発売される。4月に発売された同社初のベース専用機“JACKAL MIDNIGHT”の機能をブラッシュアップさせた本機は、同じく人気国産ペダル・ブランドKarDiaNとのコラボによって誕生した逸品であり、巷に溢れるプリアンプ/ドライブ・ペダルとは一線を画す機能を備えている。今回はブランドを主宰する今西勇仁氏へのインタビュー、そして山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)による試奏レビューをとおして本機の実力を検証する。

Limetone Audio/JACKAL MIDNIGHT ADD CBF

ベーシストの可能性を飛躍させる、多機能ドライブ/プリアンプ・ペダル

 Limetone Audioは、サウンド・エンジニアの今西勇仁氏が2017年に発足させた国産エフェクター・ブランドだ。これまでにも楽器やアンプの良さを引き立てつつもキャラクターを持ったブースター・ペダル“irodori”や、プレイヤーの視点に立った明快なコンロール・パネルを持つコンプレッサー・ペダル“focus”など、痒いところに手が届く製品群で注目を集めてきた。そんな同社でさらなる話題を集めたのが歪み系ペダルの“JACKAL”で、アンプとエフェクターの良いとこどりを意識し、ハイゲインでしっかり歪むサウンド・キャラクターを備えている。また3バンドEQにより幅広い歪みが得られるほか、過激に歪ませてもコード感を失わず、ギタリストを中心に人気を博した。そのベース版として今年4月に発売されたのが、当記事で取り上げる製品の前身モデルとなる“JACKAL MIDNIGHT”。プリアンプ/ドライブ・ペダルとして機能し、豊かな低域を持った独特の歪みは、ベーシストだけでなくギタリストからも高い評価を獲得している。

 今回紹介する“JACKAL MIDNIGHT ADD CBF”は、筐体上部にあるコントロール類はJACAL MIDNIGHTと同様にレベル、トレブル、ミドル、ベース、ゲインの各ノブに加え、ブライト・スイッチとプリアンプ・モード・スイッチという構成。同じく音作りのメインとなるのもゲインと3バンドEQで、多彩なミドル~ハイゲインなドライブ・サウンドを出力する。ゲインをかなり上げても音の芯が潰れないのが特徴だ。またプリアンプ・モードはクリーンから少し歪んだサウンドまで、多彩な音色を作ることが可能だ。

 本記事で紹介するJACKAL MIDNIGHT ADD CBFのポイントとしては、筐体側面に国産ハンドメイド・エフェクター・ブランド、KarDiaN製のADD CBFを搭載している点にある。ADD CBFはいわゆるクリーン・ブースター回路で、原音のブレンドに加えてローパス・フィルター、クリーン・ヴォリュームを搭載し、エフェクトを通した際に生じる原音の減衰を調整できる。これによって従来のJACKAL MIDNIGHTでは得られない、エレキ・ベース本来のクリアな低域をプラスすることが可能となり、より緻密にサウンドを作り込むことができる。低域の量感や質はベーシストにとって最重要ポイントであり、その調整幅が格段に広がったのがJACKAL MIDNIGHT ADD CBFなのだ。

Specifications
●コントロール:レベル、トレブル、ミドル、ベース、ゲイン、ブレンド、クリーン・ローパス・フィルター、クリーン・ヴォリューム、ブライト・スイッチ、プリアンプ・モード・スイッチ、オン/オフ・スイッチ●入出力端子:インプット、アウトプット●電源:9Vアダプター●外形寸法:117(W)×100(D)×56(H)mm●重量:380g●本体価格:44,000円(11月11日発売予定)

サウンドに煌びやかさを付与する“ブライト・スイッチ”。EQセクションの高域とは違ったニュアンスがあるので、用途によって使い分けることができる。
プッシュすることで“プリアンプ・モード”に切り替わり、クリーン系サウンドを作ることができる。ゲインの効きもガラっと変わり、タイトな音色を得られる。

ADD CBFとは?

 人気国産ペダル・ブランド、KarDiaNによるADD CBFモジュールのコントロール部分。blendのツマミでJACKAL MIDNIGHTのみの音からクリーンのみの音まで、ドライ/ウェットを可変できる。c-volではクリーン側のヴォリュームを調整する。c-lpfは高域のカットをコントロールするローパス回路のツマミで、これによりクリーン側は低域成分のみ、エフェクト音の肝となる高域をクロスさせてブレンドできる。

 3つのツマミを用いることで、エフェクト・サウンドへの原音の足し方を細かく追い込むことが可能だ。JACKAL MIDNIGHTのEQとは異なり、ベーシストが求める“芯”の部分をADD CBFで作ることで、ワンランク上のドライブ・サウンドを得ることができる。

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