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    村田隆行が徹底試奏! ペダル型コンプ七番勝負

    • Equipments Explanation:Naoya Idonuma
    • Photo:Takashi Yashima

    総評

    最後に、7機種のコンプレッサー・ペダルの試奏を終えた村田に今回の試奏を振り返ってもらった。
    多彩なジャンルに対応するテクニカル・ベーシストである村田の目に、7機種のコンプレッサーはどう写ったのだろうか。

    コンプにも個性や人格がある。 間違いないコンプ選びを!

     今回、7機種のコンプレッサーを一度に弾かせていただいて、それぞれの音の違いはもちろん、開発にあたっての思い──このコンプは“ここを目指しているんだな”というのがわかったことが収穫ですね。

     それから、コンプにも時代感があるということが、改めてよくわかりました。それは、単純にこれは古いとか新しいとか、良いとか悪いとかいうことではなく、音楽と一緒でコンプひとつにも80年代、90年代、2000年代といった時代の音がある。それを選ぶことは、ベース本体を選ぶのと一緒だなと感じました。コンプって、ベースに色をつけるのではなく、ベースの本質に関わるものだからこそ、コンプ選びは大事ですよ。

     コンプを選ぶときは、“自分はどんな音楽をやりたいのか”を大事にしてください。ベース本体を選ぶのと一緒で、まず音楽ありきです。そのうえで、コンプは、アタマからしっかり潰してくれるもの、輪郭を整えるもの、オーバードライブとは違う歪みを加えてくれるものに大別されると思うんです。例えばEmpress EffectsやSUMO STOMPは輪郭を整えるタイプだし、アンペグやLimetone Audioはしっかり潰してくれるタイプです。コンプにも個性や人格があるので、そこを分けて考えないと、コンプ選びはうまくいきません。ダークグラスやフェンダーの個性も、ほかでは代えが効かないものですよね。だから、“5,000円足りないから、こっちでいい”というのは良くないというか、だったら5,000円貯まってから欲しいものを買うべきです。そのほうが後悔しませんよ。

     あとは、自分の方向性とは真逆のものも試してみる価値があるなと思いました。例えばEBSなんかは僕にとっては新たな発見でしたね。以前の印象とは違って、“ああ、こういうときにこういう風に使えばいいんだ”ということがわかりましたし、きっとみなさんにも同じような発見があると思うんです。だから、本当は自分にとってのベストなコンプを一台だけじゃなく、少し方向性は違っても“こういうときにはこのコンプ”というものも持っていると、音楽的な幅が広がるんじゃないでしょうか。

    Murata’s Bass

     今回の試奏動画で村田が使用したベースが、こちらのメタリックのキャンディ・アップル・レッドが印象的な一本。村田が監修を務める、オリジナル新ベース・ブランド、“TAURAM(タウラム)”製のものだ。
     アルダー・ボディにメイプル・ネック、ローズウッド指板という木材構成で、ボディにはチェンバー加工が施されている。PBシェイプのボディにJBタイプのピックアップが2基搭載されているのが特徴的で、その理由を村田はこう語る。“僕はJBタイプのベースを弾く際、リア・ピックアップを絞ることが多いんです。そこでPBタイプを試したところ、見事に僕のプレイにハマってくれて。でもPBはそこまで音の汎用性が高くないことが難点。そこで、PBシェイプのボディにJBタイプのピックアップを取り付けることにしたんですよ。サウンド面での汎用性がグッと広がりますね”。
     もう一点特徴的なのが、一般的なPBタイプのものよりも厚みを増したネック形状。“ネックに厚み出すことで、倍音豊かで鋭いアタックが出る。ということは弾き手が楽になれるので、「サウンドから来る弾きやすさ」を再現しました。左手のフォームがしっかりしていれば、弾きにくさは感じないと思います”。
     製品版ではアッシュ・ボディにメイプル指板のモデルも発売予定でピックアップ、プリアンプにはタウラムのオリジナル製のものが搭載される。発売は2月〜3月頃で、価格は90,000円(税抜)。石橋楽器御茶ノ水店の独占販売からスタートとなる。“ギリギリまで値段を抑えたので、玄人の方はここから各種パーツを自分流にカスタマイズするのもアリ、初心者の方にはぜひ、鳴るベースの良さを体感してほしいですね“。村田のこだわりが詰まった一本であり、要チェックだ。

    【Profile】
    むらた・たかゆき●福岡県出身。10代の頃よりR&B、ファンク、フュージョン、ロックなどの音楽に憧れギターを始め、その後ベースに転向。鳴瀬喜博、IKUOとのベース・ユニット“THE CHOPPERS REVOLUTION”やJUON、白井アキト、JUNY-A、神田リョウとのバンド“SOLBAND”で活動する一方、小比類巻かほる、日野皓正、高橋みなみ、梁邦彦、KIYO☆SEN、今市隆二(三代目JSB)といったアーティストのセッション・ワークにも参加している。また、アーティスト・プロデュースや編曲・トラック制作、楽曲提供なども行なうほか、ラリー・グラハム、チャック・レイニー、マーカス・ミラーなど、ワールド・クラスのベーシストとの共演歴も持つ。
    http://takayukimurata.com/

    2021年1月19日発売のベース・マガジン2021年2月号では、本記事の内容に加えて、動画内で村田が使用した各モデルのセッティング図のほか、“コンプに関する基礎知識”も掲載しています。