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プロの宅録環境 – BM RECOMMEND AUDIO INTERFACE revisited
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- Product Description:Kohsuke Nakamura(Recording Engineer)
IK Multimedia
AXE I/O
ベーシスト/ギタリスト“専用”とも言える充実機能
SPECIFICATIONS
●接続:USB2.0●入力端子:Hi-Zインプット(フォーン/インスト、ラインに対応)×2、インプット(XLR/TRSコンボ:ライン、マイクに対応)×2、コントローラー・イン×2、アウトプット(TRSフォーンL/R、TSフォーン3/4)、ヘッドフォン(標準ステレオ)、リアンプ・アウト(TRSフォーン)、MIDIイン/アウト、USB(Bタイプ)●電源:DCアダプター(付属)●外形寸法:238(W)×53(H)×211(D)mm●重量1.3kg●価格:オープンプライス(市場実勢価格¥45,000前後/税抜)
IK Multimediaはヴィンテージのエフェクター やアンプをシミュレーションしたプラグインで定評のあるブランドです。AXE I/Oは同社のプラグインをベースやギターで使うために、最も最適化されたソリューションと言えるでしょう。特にベースを接続するHi-Z入力は高級DI並みに多機能で、音色のバリエーションを入力段で作れるのは本機のほかに見当たりません。また、特殊なデバイスを必要とせずにリアンプできるのは大きな魅力。そのほか、フロント・パネルにはチューナーを装備しており、同社のアンプ・シミュレーター・ソフト“AmpliTube 4 Deluxe”も同梱されているので、購入したその日からすぐにベースの音作りに取り組めるでしょう。またAbleton Live 10 Liteやスタジオ・アウトボード系のプラグインもバンドルされているので、ベースを中心にした制作環境を一度に揃えられます。基本機能は変わらず、出力端子を減らしたコンパクト版のAXE I/O Soloもラインナップされています。
Hi-Z端子の多彩な機能
ベースやギターを入力するHi-Z入力には、パッシヴ/アクティヴとJFET/PUREのふたつの切り替えが付いており、4つの音色バリエーションを楽しめます。パッシヴ/アクティヴはベースのピックアップによって選択します。ピックアップがパッシヴの場合、大きな増幅が必要になりますが、アクティヴの場合はピックアップ側で増幅しているためそこまで大きな増幅は必要ありません。そのためアクティヴ側に設定したときには、不要になるゲイン・ステージをバイパスすることで、よりクリーンな音色を得ることができます。JFET/PUREでは原音に忠実な音色にしたいときにはPURE、味つけのある音にしたいときにはJFETを選びます。クラスAのディスクリートJFET回路を通ることにより、倍音が付加され中域がエンハンスされたキャラクターに変化します。DIによってかなりの音色差があるのを経験している読者も多いと思いますが、本機ではこの切り替えによって、複数のDIを所有しているのと同じような使い方ができるというわけです。
Z-TONEサーキット
入力インピーダンスを可変させるZ-TONEサーキットでは、さらに音色の微調整が可能です。このコントロールでは、インピーダンスを1MΩから2.2kΩまで連続可変することができ、それによって高域までフラットなサウンドから、高域がなだらかに減衰した太いサウンドまでキャラクターを変化させることが可能です。ベースは楽曲中でアンプを通さずにラインのサウンドを採用することも多いので、不要なエフェクトを使わずに音色を作れるのは大きなメリットでしょう。あとからEQなどで高域をカットするよりも、音抜け感を保ったまま音色を太くできるはずです。また、アンプは1MΩなど高い入力インピーダンスに設定されていることが多いですが、コンパクト・エフェクターなどはより低い値に設定されていることもあり、それ込みで音色のキャラクターができあがっていることもあります。例えば、ペダルの接続順の前後を変えただけで音が変わるエフェクターがありますが、それは信号の受け渡しのインピーダンスが変化している影響が大きいです。ペダルのシミュレーションが忠実に行なわれたプラグインでも、インピーダンスによってかかり方が異なるので、それを補正する意味でもこの機能は有効でしょう。
リアンプ用のアンプ・アウト
バンドルされたAmpliTube 4 Deluxeには3種類のベース・アンプとキャビネットが収録されており、9とおりのバリエーションが楽しめますが、それでも手持ちのベース・アンプを使いたいとか、空気を通した音色を録音したい方もいると思います。録音済みの音をベース・アンプに通したい場合は通常、リバースDIと呼ばれるDIと逆の機能を持ったデバイスを使用します。本機にはそのための専用アウトが装備されているので、特別な準備の必要なく、直接ベース・アンプに入力、マイクで録音することができます。
●AXE I/OをYudai(Survive Said The Prophet)がチェック!
ミュージシャンに寄り添って作ってくれたんだなって。
僕は、基本DTMにおいてのベース録音は、何も味付けしない素の音が良く録れれば、あとはどうとでもできると思っていて、その“良く録れる”インターフェイスだと思いました。レコーディングに没頭すると忘れがちなチューニングも思い出させてくれる目視チューナーも装備していて、アナログ派のベーシストにも直感的に扱いやすいように設計されていると感じます。
入力の際に選る“JFET”と“PURE”の2モードは、ギターよりもベースで比較したほうがわかりやすい機能だと思いました。あくまで好みですが、PUREモードはいい意味で“そのまま”。JFETはマイルドになって、味付けで例えるならカレーの隠し味に豆乳をほんの少し加えるような感覚。はい、わかりづらいですね(笑)。キャラクターが異なるプリアンプのような感覚で曲や好みに合わせて選択できるし、JFETモードは弾いた瞬間のマイルドさを考えると指弾き、PUREモードはアタック感がより際立つのでピック/スラップとわかりやすく線引きしても使えそう。
Z-TONEサーキットも嬉しい機能で、ドライの音の時点で“なんか少し違うんだよなー”というような小さい悩みを一気に吹き飛ばしてくれそう。余談ですが、僕はパッシヴ・ベースを使っていますが、弦を換えたてのぎらつき感があまり好きじゃなくて、音が落ち着くまでは実はトーンを少し絞っています。それに近い使い方ができるのはもちろん、雨の日だったり、湿度が高い日だったり、好きだったあの子に振られた日だったりと少しの環境の変化でベーシストの手元って変わってくると思うので、その日その日の自分のベースの鮮度が一番保たれる自分のインピーダンスに合わせて微調整できるのは最高なのではないでしょうか。
リアンプ機能があるオーディオ・インターフェースって今までなかったですよね。僕はリアンプ大好き人間なので基本的にリアンプしてレコーディングに臨みたいんです。ただ、“宅録環境で必要なのか?”というところに直面すると思いますが、ズバリ、必要。宅録環境でというわけではなく、ベーシストの音の追及に対して必要でありメリットでしかありません。自分のピッキングやクセを100パーセント再現できるうりふたつの人にベースを弾いてもらいながら客観的に音を調整することってなかなかできないし、自分が弾いたベース・ラインをリアンプしてキャビから客観的に聴いてみると、またベーシストとしてひと皮むけるでしょう。 宅録でライン録りしかしていなかったあなたのスタイルを、いい意味で変えてくれる機能なのかなと思います。
DTMでの音作りでは、近年、アンプ・シミュレーターの利便性はアナログでは味わえない感覚があります。AmpliTube 4 Deluxeで僕が“マジか!”と思ったのはアンペグのシミュレーター。正直、これは本物と聴き比べても遜色がない出来映えなのではないかと思います。メーカーさんとしても、AXE I/Oをギタリスト/ベーシストにライヴで使ってほしいと思っているんじゃないかな。そういうメーカーさんの“Musicians First”が感じられました。
あと、レイテンシー問題って本当にレコーデイングではシビアで、使うインターフェイスによって弾き手と微妙な差が生まれるから、僕はいっつもそれを加味して弾いているんです。あとで直したくないから! AXE I/Oは、その加味して弾く僕のクセをまんまと裏切って、出したいリズムをモニター環境から自分の耳に届けてくれました。実際にベーシストが弾いて、ベストなテイクがそのまま反映される。ミュージシャンにとても寄り添って作ってくれたんだなと、メーカーの愛を感じましたね。
PROFILE
Yudai
ゆうだい● 2011年に結成されたSurvive Said The Prophet、通称“サバプロ”のベーシストで、ヘヴィ・サウンドを軸にエレクトロ、R&B、ヒップホップも昇華したサウンドで人気を集める。最新作は2020年1月に発表した5thアルバム『Inside Your Head』。
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