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プロの宅録環境 – BM RECOMMEND AUDIO INTERFACE revisited

  • Product Description:Kohsuke Nakamura(Recording Engineer)

ESI
U22 XT cosMik Set

ヘッドフォンとマイクも付属する
お得なスタートセット

SPECIFICATIONS [U22 XT]
●接続:USB2.0●入力端子:マイク・インプット(XLR/TSRコンボ)、Hi-Zインプット(フォーン)、インプット(RCA L/R)、アウトプット(TRSフォーンL/R)、ヘッドフォン(標準ステレオ)、USB(Bタイプ)●電源:USBバスパワー●外形寸法:約175(W)×45(H)×120(D)mm●重量:約480g●価格:¥25,000(U22 XT cosMik Set/税抜) 
※U22 XTは単体でも購入可能。単体の価格は¥16,000(税抜)

メーカー・サイト


 ESIはもともとドイツのオーディオ・インターフェイス開発を専門とする会社で、現在はドイツ本社でオーディオ・インターフェイスやモニター・スピーカーなどの製品開発を行なっています。予算を重視するカスタマー向けに、高品質な製品を提供するのをモットーとしており、本製品はホーム・レコーディングをこれから始める人には最も導入の敷居の低いスターター・キットとなることでしょう。特に現在は何も機材がなく、これからすべてを揃える予定の人には、最も低価格で必要な機材をひととおり手に入れられるパッケージだと思います。オーディオ・インターフェースのU22 XTのほかに、コンデンサー・マイクのcosMik 10と専用の卓上マイク・スタンド、XLRマイク・ケーブル、ヘッドフォンのeXtra 10が同梱されており、付属するDAW“Bitwig Studio 8-Track”(8-Trackからフル・バージョンへの特別アップグレード版も用意されている)を使用すれば、PCさえ持っていれば税込2万円台でいきなり制作環境が整ってしまいます。オーディオ・インターフェイスの入出力は2イン/2アウトと必要最小限ですが、Hi-Z端子も装備しているのでベースを直接接続できますし、通常の宅録作業で特に困ることはないと思います。多機能な高級機が電源を必要とすることが多いのに対して、本機はUSBバスパワーで駆動するので場所を選ばずに使え、持ち運び用途に向いています。

“弾いてみた”動画を作りたい人にお薦め

 本製品を特にお薦めするのは、ベースを“弾いてみた”動画(試奏動画)をこれからネットに投稿したいと考えている方、もしくはベース以外にも歌やアコギなど生音を録音してみたい方です。ベースがメインでおしゃべりも要所に入れたいようなケースだと、オーディオ・インターフェイスのほかに別途マイクやマイク・スタンドが必要になりますが、単体購入するとそれなりの価格になってしまい、気軽に試すことはできません。それが一度に手に入るのは大きなメリットでしょう。

コンデンサー・マイクとヘッドフォンが付属

 読者のなかには高級なイメージのあるコンデンサー・マイクが、安く手に入りすぎることに逆に不安を覚える方もいるかもしれません。コンデンサー・マイクの特徴は繊細な音まで捉えられ、奥行きのある音を収録できることで、ある程度の価格帯までは“どこまで細かい音まで拾えるか”と値段は比例します。プロのエンジニアは高級なものを使いますが、それが本領を発揮するのはルーム・アコースティックが完璧な場合で、一般的な環境で使用するときには逆に音が悪くなってしまうことがあるのです。繊細に録音できるということは、PCのファンのノイズやエアコン、冷蔵庫の唸りなどの生活音も含めてキャプチャーできてしまうということで、奥行きを捉えられるということは部屋の広さまで感じられる音で録音されると言うことなので、普通の部屋で録音しているのが丸見えになってしまうと言うことでもあるのです。このようなノイズが入らない環境を作るのは生活を録音中心にしない限りかなり難しく、また録音してしまったものを後処理で消すのは別途高額なソフトが必要です。そのため、最初からそれらが入らずに録れるほうが有利なことも多いのです。

 低価格と高級マイクの一番大きな差は距離が離れたときに出て、近距離で正面から収録するのであればどちらも比較的良い音で録音できます。一般住宅での配信でデスクトップに置いて使うような場合では、むしろ好ましい結果になりそうです。高級機と比較して書いてしまいましたが、こちらのマイクも1インチの大型ダイアフラムを搭載していますし、セルフ・ノイズも低いので、ホビー用途で購入する読者の方はかなり良い音だと感じるはずです。

 また現状スマートフォンなどで録音したり、ベースをラインで録音しているだけのユーザーのなかには、ヘッドフォンがなくても特に困っていないと思っている方もいるかと思います。しかし、マイクを使って声やアコギなどを録音する際に、スピーカーからモニターすると音がかぶったり、ハウリングを起こしてしまうので、ヘッドフォンまで付属しているのは非常に親切と言えます。この辺りはオールインワン・セットの強みですね。

  • U22 XTのフロント・パネル

●亜沙(和楽器バンド)によるU22 XT cosMik Setレビュー

これから始めたい人にとって、すごくいいセット。

━━亜沙さんがオーディオ・インターフェイスを選ぶ基準は?

 まずは安定性ですね。次に音質、最後がチャンネル数かな。安定性っていうのは、オーディオ・インターフェイスってドライバーがしっかりしていないとパソコンとの相性で動作が不安定なことがあるんです。音質はマイクプリ、AD/DAの性能ですね。

━━その点、U22 XTをどう評価しますか?

 ドイツ製ってことなんですけど、僕の経験上、ドイツ製のものってドライバーが優秀なものが多い気がするんですよ。そういう意味で安定性も高そう。音質は、若干高音域に特徴があって、それもあってけっこうクリアなタイプに感じますね。プラグインのかかりも良かったし、もっと価格が高くてもおかしくないクオリティ。価格帯的に初心者の人もターゲットにしていると思うんですけど、僕がDTMを始めた頃からは考えられないくらいで、今の人が羨ましいですね(笑)。

━━入出力は2イン2アウトですが、ベースの宅録では充分ですよね。

 そうですね。初心者の人だったら、Hi-Z端子にそのままベースをつないで1系統で録音してもいいだろうし。僕の場合は、ベースからDIに行ったところで信号を2系統に分けて、片方がアンプ・シミュレーターのKemperに行ってからオーディオ・インターフェイス、片方はラインの音でそのまま録るっていう方式でやることが多いんです。レコーディング・スタジオでも、ラインとアンプのエアーの2系統を録ることが多いんですけど、それと同じような感じで録音する。U22 XTでも、それにももちろん対応できますね。実は、ちょうど和楽器バンドのレコーディングをしていたので、U22 XTを使って録ってみたんですけど、全然問題ないなと思いました。

━━そのほかの機能はいかがですか?

 入力端子がフロント・パネルとリア・パネルにあって、どちらを使うかを選べるボタンがついているのが、意外と便利なんじゃないかな。というのも、配線をずっとつないでおきたい場合ってあるんですよね。あとはミックス・ノブ。入力された音がそのままヘッドフォンに返ってくるようになっていて、DAWの再生音とのバランスをここで簡単に調整できるのは、あまりDAWの設定に慣れていない人にも直感的でいいと思います。こういうちょっとしたことって、実際に作業をするうえでけっこう重要なんですよね。

━━バンドルのマイクとヘッドフォンはいかがでしたか?

 “付属”って、“おまけ”なのかなと思っていましたけど、両方ともしっかりしていますね。ヘッドフォンは、これは好みですけど、密閉性が高くて、ちゃんと密着してくれるのがポイントが高かった。あと、僕は音が近いほうがテンションが上がるから好きなんですけど、その点でもいいなと思いましたね。マイクに関しては、U22 XTと同じようにクリア寄りで雑味がない感じ。クセがなくて使いやすいんじゃないかな。

━━本製品はどういった人にお薦めでしょうか?

 価格的にも、やっぱり初心者、特に学生の方ですね。DAWソフトもついていて、これから始めるっていう人はひとつずつ個別に買うよりも安いと思うし、かといって品質が悪いわけじゃないですから。マイクにはスタンドもついているから、動画配信をやってみたいという人にもいいかもしれませんね。これから始めようって思っている人にとっては、すごくいいセットだと思います。

PROFILE
亜沙
あさ●詩吟、和楽器と洋楽器を融合させたハイブリッド・ロック・バンド、和楽器バンドのベーシスト。2020年3月25日にベスト・アルバム『軌跡 BEST COLLECTION Ⅱ』をリリースした。亜沙はソロ・アーティスト/ボカロPとしても活動している。

和楽器バンドOfficial HP 亜沙Official HP

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