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ターンスタイルが川崎を揺らした夜⸺CLUB CITTA’で体感した“飛びたくなる”グルーヴ
- Text : Shutaro Tsujimoto (Bass Magazine Web)
熱狂のCLUB CITTA’単独公演⸺
人が飛び続ける、その理由
BASSIST:フランツ・ライオンズ
●2026年7月22日(水) ●CLUB CITTA’
2026年7月22日、ターンスタイルが川崎CLUB CITTA’で単独公演を行なった。2024年のフジロックでは最終日のWHITE STAGEでトリを務め、その2日後にはZepp DiverCityで単独公演を開催。以降も世界各地の大型フェスで存在感を高め、2025年に発表した4thアルバム『NEVER ENOUGH』は第68回グラミー賞で最優秀ロック・アルバムを受賞。「BIRDS」も最優秀メタル・パフォーマンスに輝いた。
そんな彼らをCLUB CITTA’という距離の近い会場で観られる今回の公演はソールドアウト。会場の外ではチケットを求める人も見かけ、物販も完売していた。オープニング・アクトのTRUE FIGHT、SANDの時点からダイバーが次々と宙を舞い、フロアは本編前からかなりの熱気に包まれていた。

フェスで観るターンスタイルとは、オーディエンスの雰囲気も少し違う。フジロックとの客層とも重なるようなインディロック・リスナーに加えて、この日はストリート/スケートやパンクの空気をまとった観客が多く、単独公演ならではの濃度がある。彼らは2018年にもBLOODAXE FESTIVALでCLUB CITTA’に出演しており、その際もSANDら日本のハードコア・バンドと共演している。今回のサポート・アクトの顔ぶれからも、世界的なバンドとなった現在まで続くコミュニティとの距離感を感じた。
「NEVER ENOUGH」の幻想的なイントロからショーが始まると、冒頭から大合唱。そして、とにかく人が飛ぶ。視界のどこかには常にダイバーがいた。観ているうちに思った。これは、飛びたくなる音楽なのだ。

その感覚を生んでいる大きな要因が、ダニエル・ファングのドラムだ。なかでもスネアの存在感が強烈で、疾走するビートのなかでもバックビートの位置に音がしっかりと落ちる。ヘヴィなギター・リフのなかでは大きなウネりを作り、スネアとキックの強烈なアクセントが曲全体を大きく揺らす。
そこに重なるのがフランツ・ライオンズのベース。金属的でギザギザとしたアタックを持つマッシヴ感ある音で、力強いダウン・ピッキングによってビートをさらに前へ押し出す。巨大なスネアとベースのアタックが噛み合うたび、身体が一段持ち上げられるような感覚がある。あの疾走感に乗れば、どこまでも飛べそうな気になる。

フランツは楽曲の要所でもベースを印象づけていた。「I CARE」ではニューウェイヴ的な質感のなかでメロディアスなラインをうねらせ、「HOLIDAY」では冒頭のベース・フレーズだけで大きな歓声を呼ぶ。「MYSTERY」のブレイクで聴かせる、転がるようなフレーズも鮮烈だった。
一方、本編ラストの「LOOK OUT FOR ME」では空間が一変する。後半、ボルチモア・クラブ由来のビートと電子音が広がり、ミラーボールが回り始めると、それまでパンク・ライヴだったCLUB CITTA’が、そのままチルなクラブへ変貌したように感じられた。轟音で暴れることも、ビートに身を委ねて踊ることも、ターンスタイルにとっては地続きなのだ。

そして何より目を引いたのが、フランツ自身の姿だった。次々とステージを走り抜ける観客をアスリートのような身のこなしでかわし、ときには自らも飛び跳ねながら、演奏はまったく乱れない。
フランツはフェンダーのプロモーションにも起用され、GQではファッションや自身のスタイルについて語り、Guess Jeansのキャンペーンでは、ロサンゼルスのサンセット・ブールバードに掲出された大型広告にも登場している。だが、ファッション・アイコンとして注目される理由は、ステージ上の姿を見ればよくわかる。音、服装、身体の動きまでが自然に結びつき、ひとつのスタイルとして成立していた。
アンコールは「MYSTERY」「BLACKOUT」、そして「BIRDS」。最後にはステージ上まで多くの観客が押し寄せ、この日の熱狂はピークを迎えた。
フジロックで観たターンスタイルには、巨大な空間を巻き込むスケールがある。一方、この日のCLUB CITTA’には、彼らのルーツに近い場所で鳴らされる音楽の生々しさと親密さがあった。
ベースとドラムが生む強烈な推進力、ギターの切れ味鋭いリフ、ブレンダン・イェーツのどこまでも伸びるヴォーカル、そしてステージ上を駆け回るメンバー全員の身体性。そのすべてが噛み合うことで、ターンスタイルならではの熱狂が生まれている。あれほど人が飛び続ける光景もそう多くはないが、それを自然に引き出してしまうバンド・サウンドと音楽の力が強く印象に残った。身体が先に反応してしまうような、あの推進力と弾みは、ほかでは得難いものだった。
SETLIST
01 NEVER ENOUGH
02 T.L.C. (TURNSTILE LOVE CONNECTION)
03 ENDLESS
04 I CARE
05 DULL
06 DON’T PLAY
07 Real Thing
08 Drop
09 LIGHT DESIGN
10 Come Back for More (Intro) ~ Fazed Out
11 Keep It Moving
12 Pushing Me Away
13 SOLE
14 UNDERWATER BOI
15 HOLIDAY
16 LOOK OUT FOR ME
[Encore]
17 MYSTERY
18 BLACKOUT
19 BIRDS
TURNSTILE
HP Instagram
INFORMATION
ターンスタイルは8月28日(金)、『NEVER ENOUGH』のリミックス・アルバム『NEVER ENOUGH:VERSIONS』をリリースする。A・G・クック、オーケールー、ブラッド・オレンジ、シャネル・ビーズ、フォー・テットら豪華コラボレーターが参加しており、それぞれとの化学反応によって楽曲がどのように生まれ変わるのか、注目したい。
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