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マイナー系スケール入門 | ペンタトニック/エオリアン/ドリアン/フリジアン/ロクリアン【ベース初心者のための知識“キホンのキ”】第47回
- Text:Makoto Kawabe
この連載では、“ベースを始めたい!”、“ベースを始めました!”、“聴くのは好きだけど僕/私でもできるの?”というビギナーのみなさんに《知っておくと便利な基礎知識》を紹介します。今回のテーマは、マイナー系スケール”です。
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はじめに
前回はメジャー・スケールとダイアトニック・スケールのうち3つのメジャー系スケール、すなわちイオニアン、リディアン、ミクソリディアンの各スケールについて解説しました。
ということで今回はマイナー・スケールのイロハと、 残りの4つのダイアトニック・スケールについて解説していきます。
・ エオリアン・スケール
・ ドリアン・スケール
・ フリジアン・スケール
・ ロクリアン・スケール
スケールについて書くと如実に閲覧数が下がる気もしますが(笑)、裏を返せばライバルに差をつけるチャンスなんです!
スケールが使えるようになると楽曲に対する理解も深まるし、演奏のバリエーションも豊富になりますよ。
マイナー・スケールは3種類ある
マイナー・スケールの“マイナー”はご存じの通り、“メジャー”と対になる言葉ですが、スケールの場合は上級と下級といった優劣ではなく、陰と陽、明と暗といった対比による分類で、メジャー・スケール(長音階)が聴感上は明るいと感じる音階なのに対し、マイナー・スケール(短音階)は暗いと感じる音階です。
で、“マイナー・スケール”って実は以下の3種類あるんです。
- ナチュラル・マイナー・スケール(自然的短音階)
- ハーモニック・マイナー・スケール(和声的短音階)
- メロディック・マイナー・スケール(旋律的短音階)
単に“マイナー・スケール”と表現すると、ナチュラル・マイナー・スケールのことを意味する場合がほとんど(逆に言うと“ナチュラル”を省略しがち)ですが、なぜ3種類あるのか、どういう違いがあるのか、については次回以降に詳しく解説したいと思いますので、ハーモニック・マイナー・スケールとメロディック・マイナー・スケールについては軽く触れる程度に留めておきます。
◎ナチュラル・マイナー・スケール
基準となる音(主音)から高い方へ“全半全全半全全”というインターバルで並べた7音で構成されるスケールで、最初の基準の音を“ラ”として相対的に各音の音階名をラシドレミファソと割り当てるのが通例です。
前回と同じように解説すると、Aの音から“ラシドレミファソ”と並べるとAナチュラル・マイナー・スケール(A、B、C、D、E、F、G)、Cの音から“ラシドレミファソ”と並べるとCナチュラル・マイナー・スケール(C、D、E♭、F、G、A♭、B♭)です。
ピアノだと、Cメジャー・キー(ハ長調)だけでなく、Aマイナー・キー(イ短調)も白鍵だけで弾くことができます。
ちなみに過去の連載でも書いていますが、Cメジャー・キーとAマイナー・キーのようにスケール構成音が同じ長調と短調のことを平行調と言い、Cメジャー・キーとCマイナー・キーのように主音が同じ長調と短調のことを同主調と言います。
平行調や同主調は兄弟やいとこのように関係性があることから転調先のキーとして利用されることが多い、ということを覚えておいてください。
※転調……曲中でキーが変わること
◎譜例(Aメジャー・キーとAマイナー・キーの違いを感じよう)
ナチュラル・マイナー・スケールの特徴が良く分かる1例として譜例を上げておきます。弾いてみてください。
◎メジャー・スケールとマイナー・スケールの比較
またメジャー・スケールとの対比として、マイナー・スケールの各音を度数で表記すると以下のようになります。

ナチュラル・マイナー・スケールをメジャー・スケールと弾き比べるとまったく別のスケールのように感じるかもしれませんが、メジャー・スケールと比較して異なる点は7音のうち3音(M3rd、M6th、M7th)が半音下がってm3rd、m6th、m7thとなり、3つの短音程を含んでいることです。
◎ハーモニック・マイナーとメロディック・マイナー
さらにナチュラル・マイナー・スケールと比較して、m7thをM7thに変更したのがハーモニック・マイナー・スケール、さらにm6thをM6thに変更したのがメロディック・マイナー・スケールです。
メロディック・マイナー・スケールのm3rdをM3rdに変更すると……メジャー・スケールになっちゃいますね。3種類のマイナー・スケールに共通するのはもちろん“3rdがマイナー(三度が短音程)”ということであり、m3rdがマイナー系スケールの共通点です。
ナチュラル・マイナー・スケール(=エオリアン・スケール)のポジション
ナチュラル・マイナー・スケールは“ラシドレミファソ”なので、ダイアトニック・スケールのうちⅥ番目のエオリアン・スケールとまったく同じです。
エオリアン・スケールはマイナー系スケールの基本形として頭に叩き込んでおきましょう。

前回と同じように各弦のチューニングを合わせてからエオリアン・スケールを目と耳でしっかりと覚えます。ベースの指板上におけるラシドレミファソラのブロック形状は筆者的には“右向きのワゴン車”です。4指4フレットのフィンガリングであれば人差指スタートと覚えても良いでしょう。
エオリアン・スケールをひとつ置きに並べると“ラドミソ”となり、マイナー・セブンスのコード構成音になります。逆に言うと、マイナー・セブンス・コードのときに使えるスケールのうちのひとつです。
ドリアン・スケールを覚えよう
Ⅱ番目のドリアン・スケール、“レミファソラシド”の各音の間隔は“全半全全全半全”であり、エオリアン・スケールとの違いは6個目の音が半音上がってM6th(長六度)になっていることです。
ドリアン・スケールをひとつ置きに並べると“レファラド”でマイナー・セブンスのコード構成音となるため、エオリアン・スケールと同じく、マイナー・セブンス・コードのときに使えるスケールのうちのひとつとなります。
スケールの各音をどのように配置しても5フレット分の幅に広がってしまうので、ダイアトニック・スケールのうちで唯一、4指4フレットでもポジション移動を強いられるスケールでもあります。

マイナー系スケールではありますが、M6thのおかげでちょっとした憂いのような響きがあり、エオリアンよりも明るさや希望を感じるスケールで、ジャズやフュージョン系のジャンルでメロディの根幹として活用(ドリアン・モード)されることも多いです。
また、ミクソリディアン・スケールとの違いがm3rdだけであり、ブルース系の楽曲でミクソリディアンにブルーノートを加えた体で演奏することも多いです。あくまで演奏ジャンル次第ではありますが、筆者的にはエオリアン・スケールよりも活用頻度が高い印象があり、個人的にも一番好きなスケールです。

フリジアン・スケールを覚えよう
Ⅲ番目のフリジアン・スケールの“ミファソラシドレ”の間隔は“半全全全半全全”であり、エオリアン・スケールとの違いは2個目の音が半音下がってM2nd(長二度)がm2nd(短二度)になっていることです。また、フリジアン・スケールの各音をひとつ置きに並べると“ミソシレ”となり、マイナー・セブンス・コードのコード構成音になるため、マイナー・セブンス・コードのときに使えるスケールのうちのひとつでもあります。

フリジアン・スケールの特徴はもちろんm2ndにあるわけですが、エオリアンよりもさらに暗さがありつつ、エスニックな雰囲気も醸し出します。現にフリジアン・スケールにM3rdを加えたスパニッシュ8ノート・スケールというスケールがあり、スパニッシュな楽曲で活用されます。
ロックやポップスではフリジアン・スケールそのものを弾く頻度はそれほど高くない印象がありますが、フリジアン・スケールのm3rdをM3rdに変更したフリジアン・ドミナント・スケール(別名ハーモニック・マイナー・パーフェクト・フィフス・ビロウ・スケール……長い名前ですがハーモニック・マイナー・スケールを完全5度から並べ直したスケールです)はマイナー・キーの楽曲で多用されます。
繰り返します。フリジアン・ドミナント・スケールはマイナー・キーの楽曲で多用されます……これ以上の解説は別のコード理論の知識が必要なので、いま書けるのはココまでです(笑)。
ロクリアン・スケールを覚えよう
“ロク”リアンなのにⅦ番目のロクリアン・スケールは“シドレミファソラ”、各音の間隔は“半全全半全全全”です。ロクリアン・スケールの各音をひとつ置きに並べると“シレファラ”となり、マイナー・セブンス・フラット・フィフス・コードのコード構成音になるため、マイナー・セブンス・フラット・フィフス・コードのときに使えるスケールのうちのひとつです。
エオリアン・スケールと比較するとm2ndとdim5thのふたつの音が変化していて覚えにくいスケールかもしれないですが、マイナー系スケールの中では最も利用頻度が低い印象もあります。

マイナー・ペンタトニック・スケ―ルを覚えよう
マイナー・ペンタトニック・スケールもメジャー・スケールと同じく“シ”と“ファ”を抜いた “ラドレミソ”の5音で構成されるスケールです。
マイナー・ペンタは“シ”と“ファ”、つまりナチュラル・マイナー・スケール(ラシドレミファソ)の2番目と6番目を抜いた“ニロ抜き”と覚えておきましょう(当連載第12回でも書いている通り、メジャー・ペンタがヨナ抜きだからといってマイナー・ペンタも4番目と7番目を抜いてはいけません)。
m3rdのポジションはルートから同弦上の3フレット先なので、1本高い弦の2フレット下ですね。
マイナー・ペンタトニック・スケールをベースで実演する際は、m3rd移動して等間隔のインターバルを保つフィンガリングが実用的かつ効果的です。

まとめ
マイナー系スケールの覚え方としては、まずは右向きのワゴン車、エオリアン・スケールを的確に覚えることが先決です。メジャー・スケールが確実に頭に入っている(M2nd、M3rd、M6th、M7th)なら、その変化音としてm3rd、m6th、m7thの位置関係を把握しておくのも良いと思います。
そして、右向きのワゴン車の基本形からm6th→M6thでドリアン・スケール、M2nd→m2ndでフリジアン・スケール、M2nd→m2ndとP5th→dim5thでロクリアン・スケールと覚えましょう。

何度も書きますが、マイナー・ペンタトニック・スケールは右向きのワゴン車ではなく、左右対称の菱形で2フレット分を移動するフィンガリングとポジショニングが実用的です。
また、メジャー・スケールを基準にすると、エオリアン・スケールは♭が3つ付きますが、ドリアン・スケールは2つ、フリジアン・スケールは4つ、ロクリアン・スケールは5つですね。筆者的にはこれを雨の降り具合で捉えてまして……。
♭♭ ドリアン・スケール 曇り、小雨、霧雨
♭♭♭ エオリアン・スケール 普通に雨
♭♭♭♭ フリジアン・スケール 土砂降り
♭♭♭♭♭ ロクリアン・スケール 台風
ちなみに
♭♭ ハーモニック・マイナー・スケール ちょっと例外
♭ メロディック・マイナー・スケール 天気雨?
あなたの感覚ではどうでしょうか?
スケールを指板上の図形で捉えつつ、耳でも感覚を掴んでみてください。
◎講師:河辺真
かわべ・まこと●1997年結成のロック・バンドSMORGASのベーシスト。ミクスチャー・シーンにいながらヴィンテージ・ジャズ・ベースを携えた異色の存在感で注目を集める。さまざまなアーティストのサポートを務めるほか、教則本を多数執筆。近年はNOAHミュージック・スクールや自身が主宰するAKARI MUSIC WORKSなどでインストラクターも務める。
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