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【ZAZEN BOYS × Fender American Ultra II】MIYAが弾いたMeteora Bassの感想は…? 向井秀徳もベースを語る!
- Interview:Shutaro Tsujimoto (Bass Magazine Web)
- Photo:Hiroki Obara
原宿の〈Fender Flagship Tokyo〉にて、ZAZEN BOYSを迎えたスペシャル・イベント〈FenderNews Public Recording with ZAZEN BOYS〉が2025年2月27日に開催された。抽選で選ばれた来場者を前に、バンドはFenderの新シリーズ“American Ultra II”を携えて、8曲にわたるライヴ・パフォーマンスを披露。
そのなかでベーシストのMIYAが手にしたのは、注目の新モデル“American Ultra II Meteora Bass”だった。独自のフォルムとハムバッカー×2基というパワフルな仕様をもつこのベースを、MIYAはどう受け取ったのか。
本記事では、MIYAのライヴ直後のインプレッション、そしてそのプレイをステージ上でともに聴いた向井秀徳(vo,g)の言葉を、それぞれの視点で語ってもらった。
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ノイジーな美しいサウンドを出させていただきました。
Comment from MIYA (ZAZEN BOYS)
最初にこのベースを見たとき、“ブーツィー・コリンズみたいな色だな”と思いました。ソーラーフレアというカラーらしいんですけど、パッと目を引く華やかさがあって印象的です。
私はずっとフェンダーのアメデラ(American Deluxe Precision Bass)を使っているんですが、このMeteora Bassを構えた瞬間に“あれ、同じリーチかも”と思って。実際にストラップをつけて弾いてみたら、まさにその通りでした。自分の身体にすごくフィットしていて、偶然とはいえ嬉しかったですね。
弾いてみた印象もとても良くて。立ち上がりもピッチ感も自然で、ピック弾きでも輪郭がしっかり出る。とにかく安定感があるので、ライヴでも安心して使えそうです。形状的にネックが下がるんじゃないかと心配していましたが、実際はまったくそんなことはなくて。構えたときのバランスも良い一本だと思いました。
それに、全体の作りがしっかりしていて、“これ、壊れなさそうだな”と思ったんです。ネックの強度も十分で、ある程度ハードな扱いにも耐えてくれそうな安心感があります。私みたいに楽器をわりと激しく扱うタイプにはありがたいですね。
音に関しては、ハムバッカーが2発載っているのもあって、“ワルい音”が出る。最近は歪み系のエフェクターをあまり使っていないんですが、素のままであれくらい歪んでくれるのは気持ちいい。そういう意味でも、パワーがある楽器なんだと思いました。
私が持っているアメデラはアクティヴのベースですけど、普段はパッシヴとして使っていて。今回このMeteora Bassではアクティヴで試してみたんですけど、パッシヴから切り替えても音のキャラクターやヴォリュームが急に変わることはなくて。自然な変化のなかで、EQを使って音を追い込んでいける感じもよかったです。
この話をいただいたとき、最初は“初心者の方にもオススメの楽器なのかな”と思っていたんですが、実際に触れてみて、“少し違う自分に出会ってみたい”と思っている人に向いているんじゃないかと感じました。私みたいに長くベースを弾いてきた人が、変化を求めるタイミングで出会う一本として、とてもいいと思います。今日はノイジーな美しいサウンドを出させていただきました。(MIYA)

フロントマン・向井秀徳が体感した
MIYAが弾くAmerican Ultra II Meteora Bass

今日ライヴで音を出してみて、やっぱりいつもとは明確な違いがあると感じました。Meteora Bassは、MIYAが普段使っているAmerican Deluxeのプレシジョン・ベースとは構造からして異なっている。ぶっといハムバッカーが2発ついておるわけで、当然キャラクターも変わってきます。
もちろん、どちらが優れているとかいう話ではないですけどね。私は“新物好き”でして、新しければ新しいほどテンションが上がる。そういう意味でも、Meteoraの音はすごくフレッシュで、そこに触発される部分が多くあるんです。“これはいろんなベースのリフが出てきそうだな”と思える。そういう楽器ですね。
ただ、音の印象は違えど、鳴らしているのはMIYAですから。出てくる音はやっぱりMIYAの音だし、それが非常によく似合っていると思いました。
Meteora Bassのサウンドはアグレッシヴでありながら、非常にピッチが良くて安定している。コード・アンサンブルのなかでの収まりもいい。その一方で、MIYAが20年近く使っているアメデラのほうは、もう“時空が歪んでる”ような楽器で、それがまた魅力だったりする。
私の使っているテレキャスターもそうなんですが、長年使っていると、人間性が音に染み込んでいくんですね。そうなると、自然と音が歪んでくる。新品の楽器にはまだそれがないぶん、素直に鳴る。でも、それが悪いわけじゃない。むしろその素直さが今の自分には気持ちよく響くんです。
そして、こういう新しい楽器も、いずれは歪んでいく。使い続けていくうちに、演奏者の人間性が少しずつ乗り移っていくんですよね。楽器って、そういうものなんだと思います。(向井秀徳)
American Ultra II Meteora Bass

American Ultra II Meteora Bass(Ultraburst)

American Ultra II Meteora Bass(Texas Tea)

American Ultra II Meteora Bass(Solar Flare)
Meteoraは2018年に数量限定生産されたParallel Universeシリーズから、ギターのニュー・モデルとしてデビューし、ベースは2022年にリーズナブルなPlayer Plusシリーズからラインナップに加わった新しいモデル。独創的なデザインの流線型ボディは厳選されたアルダー材で、2基のHaymakerハムバッカー・ピックアップを搭載するアクティヴ・ベースだ。21フレット仕様のネックはジャズ・ベースと同じナット幅38.1mmで、アノダイズド・ピックガードのほか、ハードウェアは概ねシリーズ共通のモダンなスペックとなっている。ボディ・カラーは3色がラインナップされ、テキサス・ティーとウルトラバーストはエボニー指板、ソーラー・フレアはメイプル指板となる。
Specifications
American Ultra II Meteora Bass
●ボディ:セレクト・アルダー●ネック:クォーターソーン・メイプル●指板:エボニーorメイプル●スケール:34インチ●フレット数:21●ピックアップ:Haymakerベース・ハムバッカー×2●プリアンプ:オリジナル3バンド(9V電池×2)●コントロール:マスター・ヴォリューム(兼アクティヴ/パッシヴ切り替えスイッチ)、ピックアップ・バランサー、ミッド/パッシヴ・トーン(2連2軸)、トレブル/ベース(2連2軸)、ミッドレンジ・フリケンシー・セレクター(325Hz/750Hz)●ブリッジ:4サドル・アジャスタブルHiMass●ペグ:フェンダー“F”ライト・ウェイト・ヴィンテージ・パドル・キー・ウィズ・テーパード・シャフト●カラー:【エボニー指板】テキサス・ティー、ウルトラバースト、【メイプル指板】ソーラー・フレア(写真)●価格:オープンプライス
市場想定売価:374,000円(税込)
ZAZEN BOYS Profile
ザゼン・ボーイズ●元ナンバーガールの向井秀徳(vo,g)を中心に2003年に結成。硬質なカッティングをくり出す向井と、予測のつかない変則的フレーズで魅せる吉兼聡(g)のギター・アンサンブルが魅力だ。松下敦(d)、MIYA(b)の鉄壁のリズム体に、独自の詞世界と説法のようなヴォーカルが合わさり唯一無二の曼荼羅を描き出す。MATSURI STUDIOを拠点に活動し、2024年には12年ぶりとなる6thアルバム『らんど』をリリースした。
◎Information
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