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    【Live Report】やまもとひかる – 2023年1月20日(金)/東京・Veats Shibuya

    • Report:Koji Kano
    • Photo:Takashi Konuma

    BASSIST:やまもとひかる
    ●2023年1月20日(金)●東京・Veats Shibuya

    無限の可能性を提示した、“新世代ベース・クイーン”の1stステージ

    YOASOBIやももいろクローバーZをはじめとしたアーティスト・サポートでも知られるベーシスト、やまもとひかる。彼女はサポート・ワークと並行し、これまでにソロ名義で5枚のシングルをリリースするなど、“ソロ・アーティスト”としても精力的に活動を展開している。“AM Vol.1”と銘打たれた、ソロ・アーティストとしての飛躍の狼煙を上げる一夜となった本公演は、“やまもとひかる”としての初ライヴ。当初2020年4月に開催が予定されていたが、コロナ禍に伴う延期・中止を余儀なくされていた。約3年越しとなる、さまざまな感情が交差するステージ上にて、やまもとひかるはソロ・アーティストとして躍動した。

    会場BGMが鳴り止み、暗転とともにまずは対バン相手の5人組、眩暈SIRENがステージに登場。叙情的かつスケールの大きな、疾走感を備えたギターロックで会場を沸かす。ベーシスト森田康介は、“ヘヴィ感”のあるサウンドの根底にしっかりと鎮座。また、ときおりメロディアスなフレージングも繰り出しながらアンサンブルを彩っていた。

    5人の力強いパフォーマンスで会場の空気が温められたあと、いよいよやまもとのステージへ。転換中のステージには、トレードマークでもあるアトリエZ製のブルー・カラーのオリジナルJBタイプが2本(4弦と5弦)がセットされる。記念すべきソロ名義初のステージを支えるそのほかの機材は、シンセ・ベースはモーグ製Subsequent37、アンプはヘッドにマークベース製BASS MULTIAMPとキャビネットにオレンジ製OBC410というコンビネーション。そして足下には、マルチ・エフェクト・フロアボード・システムのLine6製Helix Floorという、YOASOBIのステージでも目にするお馴染みの機材群がラインナップしていた。

    やまもとひかる

    転換終了とともにステージには、SEなしでやまもと、yu-ya(サポート・ギター)、仄雲(サポート・ドラム/眩暈SIREN)の3人が姿を現わし、暗転とともに乾いたギター・サウンドと強烈なドライブ・ベースが共鳴すると、2022年11月にリリースされた最新シングル「ナムネス」でライヴはスタート。5弦モデルを用いて指板を縦横無尽に旋回するメロディアスなフレージングに、やまもとのクリアなヴォーカルがこだまする。続いて4弦モデルにベースを持ち替え、高速スラップ・リフから始まる「DOGMA」をドロップ。彼女の楽曲のなかでも特にテクニカルなプレイを楽しめる一曲であり、Bメロではスラップをしながらの歌唱となるが、いっさい乱れることなく平然とこなしていく。yu-yaの奏でるカッティング・ギターとの絡みも絶妙だ。

    • やまもとひかる – 2023年1月20日(金)/東京・Veats Shibuya

    “はじめまして、やまもとひかるです。本日は“AM Vol.1”にお越しくださいまして、ありがとうございます!“とオーディエンスへの感謝を述べたのち、「Belladonna」を披露。ここではピック弾きに切り替え、ルートに忠実なダウン・ピッキングを繰り出す。サポート・メンバーと顔を向き合わせながら笑顔で演奏する様子が印象的で、Bメロやサビではオルタネイトを織り交ぜつつ、力強い低音を奏でていた。続く高速スラップのフィルインから始まる「ツキカケラ」では空気が一変。サビでの軽快なオクターヴ・フレーズなど、“ノリ”を生み出す表情豊かなプレイでフロアを盛り上げる一方、スラップと指弾きを切り替えながらのヴォーカルには脱帽だった。再び5弦モデルに持ち替え、サポート・ギタリストのyu-yaが所属していたvivid undress(2022年12月解散)の「ワンルームミッドナイト」をカバー。メロウなバラード曲に、やまもとの透き通るヴォーカルが映える。しっとりと歌い上げるその姿は、“ヴォーカリスト=やまもとひかる”としての大いなる可能性を感じさせた。続く2曲目となるカバー曲、木村カエラの「Yellow」では、過激に歪んだ16分での高速ピッキングのほか、ハイ・ポジションでのメロディアスなフレージングで楽曲を彩った。

    MCにてオーディエンス、対バンの眩暈SIREN、サポート・メンバーへの感謝を述べたあと、本公演のタイトル“AM Vol.1”の意味を解説してくれた。“これからよろしくお願いします”という思いから、挨拶=A、まわり=Mで“挨拶まわり”という意味が込められているとのことで、今年の4月か5月にはVol.2の開催も予定しているとのこと。“これからライヴをたくさんやって、カッコいいライヴができるようになりたいと思っているので、また気が向いたときにライヴに遊びに来てください。では、ここからラスト・スパート、よろしくお願いします!”という力強いひと言に続き、ダンスロック・ナンバー「NOISE」をドロップ。仄雲が奏でる軽快な4つ打ちビートと、高速スラップやランニング・フレーズといったやまもとの巧みなプレイが緻密にグルーヴし、終盤に向かって勢いを加速させていく。唯一シンベを使用した「ZERO」では、シンベ特有の図太い低音を響かせつつ、途中エレキ・ベースに切り替え、ピック弾きでの強烈なドライブ・ベース・ソロを繰り出した。こういった使用楽器を問わないプレイの多彩さも彼女の魅力のひとつだろう。“今日は本当にありがとうございました。最後に新曲をやって終わろうと思います。やまもとひかるでした!”という締めの挨拶に続いて披露された「horoscope」は、疾走感溢れる力強いギターロック・ナンバー。ドラム・ビートとがっちり噛み合った、どっしりとした2フィンガーで本篇を締めくくった。

    • やまもとひかる – 2023年1月20日(金)/東京・Veats Shibuya

    アンコールを待つオーディエンスの鳴り止まない手拍子によってステージに戻った3人。当初アンコールは予定されていなかったようだが、期待に応え「ナムネス」をもう一度披露。最後の一音まで全力で鳴らし切ったやまもとは、満点の笑顔でステージをあとにした。

    “やまもとひかる”としての新たなスタートとなった本公演。セッション・ベーシストとしてトップ・プレイヤーの仲間入りを果たした彼女の、ソロ・アーティストとしての覚悟を感じさせる圧巻のステージだった。本公演を皮切りに、以降はソロでのライヴ活動にも本格的に力を入れていくとのこと。続報に期待しつつ、今後の彼女の活躍に注目していきたい。

    ■2023年1月20日(金)●東京・Veats Shibuya

    【セットリスト】
    01.ナムネス
    02.DOGMA
    03.Belladonna
    04.ツキカケラ
    05.ワンルームミッドナイト
    06.Yellow
    07.NOISE
    08.ZERO
    09.horoscope
    ◎アンコール
    10.ナムネス

    【やまもとひかる公式ファンクラブ】
    やまひかデコ団( ^ω^ )
    https://fanicon.net/fancommunities/4742

    【Information】
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