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INTERVIEW – ナガイケジョー[SCOOBIE DO]
- Interview:Tomoya Zama
- Live Photo:HAL、Seiji Ishigaki
Funk-a-lismo!の根幹を担う
物語を引き立たせる低音
ファンクとロックの最高沸点=“Funk-a-lismo!”を標榜し、圧巻のライヴ・パフォーマンスでファンを魅了する日本屈指のライヴ・バンドSCOOBIE DOが、3年ぶりとなるニュー・アルバム『Tough Layer』をリリースした。メジャー・デビュー20周年となる記念すべき年に放たれた今作は、曲ごとにさまざまな表情を見せながら、4人の個性が重なり生み出される飽くなきライヴへの熱量を感じさせる仕上がりだ。コロナ禍でSCOOBIE DOなりのライヴの届け方を模索するなかで、音の伝え方、音を出すことへのこだわりと向き合ったと語るナガイケジョーに、デビューしてから今までについて、そして本作でのベース・プレイについて話を聞いた。
音を出すことへの謙虚さを
見つめ直すきっかけになった。
――メジャー・デビュー20周年おめでとうございます。20年という年月についての率直な感想は?
“20年”って言葉にするとすごく長く感じますけど、本当にあっという間だったなという感じはしますね。もちろん、しっかり振り返っていくといろんなことがあって、その都度思ったことはいっぱいあると思うんですけど、感覚としては“もう20年もやってんだな”ってどこか他人事のようで。すごく達成感があるっていう感じではなくて、“20年か”っていう、わりとあっさりした感じです。
――ナガイケさんは大学在学中にメジャー・デビューを迎えましたが、そのときはどういう感覚でしたか?
僕はバンドには途中参加で、しかも加入して1年もしないうちにメジャー・デビューの話が来て、トントンと決まっていったんです。僕としてはバンドでそれまで一緒に頑張ってきてようやくのメジャー・デビューっていう感じじゃなくて、ライヴもそんなに場数を踏んでいたわけじゃなかった。だからデビューする喜びというよりも、とりあえずメンバーとしてついていくことがやっとでした。感覚としてはしばらくそんな感じでしたね。
――では、活動を続けていくうえで、プロとしての実感はいつ頃に得ましたか?
アルバムを何枚かメジャーで出して、学校も卒業して、徐々に自覚が芽生えていったと思うんです。ただ、自分のやっていることに安心するというのは、いまだにない感じがします。当たり前だけれども、プロで活動しているまわりの人ってみんなウマいじゃないですか。そういう環境にいきなり飛び込んで、気持ちとしては全然敵うわけないみたいな感じでいたとしても、ステージに上がった時点でもう対等だし。覚悟みたいなものはずっと持っていたとは思うんですけどね。そうして徐々にわたり合えるようになってきたっていうのはあるのかもしれない。
――今作『Tough Layer』は3年ぶりのフル・アルバムとなりましたが、コロナ禍というのも含めて、バンドにとってこの3年間はどういう期間でしたか?
ライヴばっかりしてきたバンドがライヴできなくなるっていうのは、やっぱりツラい部分はありましたね。ただ、無観客の配信ライヴを2020年の夏以降にマンスリーでやったりして、自分たちでもいろんなコンセプト企画を考えたり、今までとは違ったライヴの届け方を模索して実施できたとは思います。ライヴの重要性を再確認するきっかけにもなりましたし、もっとちゃんと演奏だけで伝えられるような、単純に音を出すことへの謙虚さとか、そういうものを見つめ直すきっかけになった気がしますね。
――配信ライヴをするにあたって、ライヴ機材の再検討もしたんですか?
DIをちょっと変えてみたりはしました。ただ、個人的には機材の分析よりも、単純に指の当て方や弾くポイントの違いで音がどう変わるのかとか、聴こえやすくする弾き方はどういうものかとか、そっちのほうを考えたかもしれない。
――基礎的な弾き方やニュアンスなどを見直したと。
そうですね。ニュアンスやトーンは配信だと伝わりづらいと思うんですね。より空気感が出しづらいので。配信では自分が映像として抜かれているとき以外は、自分のプレイは音だけしか聴こえないわけじゃないですか。そういうときにその音だけを聴いて、ベースの音がヌルっとしてんなとか、案外大雑把だなと思ったんです。音だけでも自分がグッとくるようなポイントがいっぱい備わっていれば、別にそのカットで抜かれてなくてもいいと思う。だから、まだまだ足りてないのかなっていうのは、配信で突き付けられた気になりました。これまで、ライヴを観返すっていうことをそんなに頻繁にはしていなかったので、今回映像を観返して考えさせられましたね。
――そんななか作り上げた今作ですが、いつ頃から制作に着手したんでしょうか?
2020年から2曲ずつレコーディングして、両A面シングルとして会場限定や配信限定で3シリーズを出していて、その3作目が今回のアルバムにも入っている「スピード」と「荒野にて」なので、制作期間としては去年の秋ぐらいからですね。3作目を出した頃には夏ぐらいに向けてアルバムを出して、ツアーを計画しようとなったんです。ギターのマツキ(タイジロウ)がわりと完成されたデモを持ってきて2曲ずつ録っていったので、アルバムに向けて明確なきっかけがあったというよりは、デモが重なっていく感じで自然と制作に入りました。多分マツキも、アルバムにしようとなったところで全体のバランスを考えて、いろんな曲を持ってくるようになったんだと思います。
――もしコロナ禍がなかったら、もっとリリースが早かった可能性もありますか?
そうかもしれないですね。CHAMP RECORDSになってからはツアーを回るためにリリースするみたいな感じでコンスタントに出してきたので、もうちょっと早いタイミングだったかもしれない。マツキも“ツアーでやれないってなると、曲作りのモチベーションが上がらない”って言っていたので、SCOOBIE DOの曲を作るうえでは、ライヴで演奏するっていう姿ありきの作り方のほうがやりやすいんだと思います。
――前作は、デモの段階では骨組み程度まで作ってあって、その後にスタジオにて全員で合わせながら曲を仕上げていったそうですが、今回の制作過程はどうでしたか?
確かに、前作の『Have A Nice Day!』は1コーラスずつぐらいしかないところから、リハで昔のバンドっぽい作り方をした作品だったんです。今作は、マツキがデモの段階からちゃんと作り込んできた感じだったので、僕としてはリハで合わせていくなかで何かしらのエッセンスを加えられればなっていうスタンスではありました。今回のデモを聴いたとき、全体のギターのコード感や歌のメロディへのベース・ラインの当て方に関して、マツキがかなり時間をかけて作ったんじゃないかなって感じたんです。コード感が今までとちょっと違うというか、ベーシストが考えて当てる感じじゃなくて、そこも含めてマツキがトータルで自分の曲としてプレゼンしたいんだろうなって。そういう要素がどの曲にも入っていて、彼自身が作ったコード感にこの音を当てたいというのが、デモの時点でもう明確にあった印象なので、今回は音づかいをデモからあまり変えずに弾いています。
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