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INTERVIEW – ナガイケジョー[SCOOBIE DO]
- Interview:Tomoya Zama
- Live Photo:HAL、Seiji Ishigaki
音を鳴らしているところにいるのが
好きなんです。
――「GEKIJYO」はスラップ・リフで展開する曲です。デモの段階からスラップの指定だったんですか?
そうですね。あのスラップは僕個人的には斬新だなと思ったんです。デモをコピーしているときに一瞬、“あれ? どういう音を使っているんだろう”って。ここは、3拍目からルート→5度→3度→オクターヴっていう動きをしていて、その動きのまま平行移動したり、サビでもそのフレーズの音づかいが踏襲されていて、ベーシストが思いつくような感じじゃないなっていう印象ではあったんです。きっと僕があの曲を任されていても、あのフレーズにはならなかっただろうなって思いますね。
――1番のAメロはループする定型のリズムですが、2番では3、4拍目の動きやリズムに変化をつけていますね?
あれはもう勝手にやりましたね。今までずっと同じ歩幅で歩いてきていたのが、急に段差ができた感じになったり、ぴょんって跳んだような変化をつけられたりっていうのは、ああいうループしている曲ならではのおもしろさがありますね。
――ナガイケさんはベース・ラインを1、2番で変化を持たせることも多いですよね?
そうですね。変えたくなる。変えないほうがいい場合もあるし、でも変えてもおもしろいじゃんっていうぐらいの軽い気持ちなんですけどね。それもどれぐらいちりばめるかっていうバランスだとは思うんです。ずっと同じことを弾いているカッコよさをあえて変えるんだから、特に曲を作ってる側からすると、“変えるんだったら、良い方向に曲がいくような変え方しろよ”みたいな思いがあると思うんですよね。“変えなきゃいいのに”って思われるよりは、フレーズを変えて“今の良かったな”って思わせたいし。だからそこはエゴでもあり、曲が良くなったでしょってやっぱ言えるようにしたい部分でもある。いつもドキドキしながらやってます。
――「成し遂げざる者のブルース」は一貫して、泥臭いリフをユニゾンで支えるようなベースで展開していますが、ギターのリフが8分のところをベースは16分のフィールで弾いていて、2拍目の16分の最後から3拍目に向かう推進力を感じました。
同じようなフレーズを使う曲だから推進力を失わない辻褄の合わせ方というか。自分の気持ちがダルくならずに一定のフレーズを弾き続けるために、自分のなかでピンとした状態を維持する音の配置に自然としているんだと思うんです。こうだとカッコいいなっていう1個のリフのなかで、次につなげるために勢いを失わないように傾斜をつけるというか。例えば、一枚の板の上にボールを乗せて、その上でボールを転がすとして、ずっと板が水平だと止まってしまうじゃないですか。それを止まらず、かつ転がりすぎずに、転がし続けるための抑揚のつけ方っていうのを工夫しているんだと思います。曲って確かに気持ちを維持することが難しい部分もあるんですよ、きっと。似た曲はいっぱいやってるしなみたいな。だから、どう変化をつけていくかっていうところを、自分なりに考えているのかなって思います。
――「光の射す道へ」では最後のサビで、それまではE→A→F♯→Bと展開されていたラインを、最後はE→A→A♯→Bと半音ずつ上がってから2周目のメロディアスなフレーズにつなげていくのが、とても美しい流れだなと感じました。
ありがとうございます。デモの段階で、最後のサビはコード進行が半音ずつ上がっていく展開になっていたので、コードが変わってハッとなったところに、ベースのシルクみたいなイメージでフワッとまた上からカブせて終わるっていう場面にしたかったんです。リハで弾いたら、“ここは最後だから、気持ちが高ぶっちゃった感でいいんじゃない?”って感じでした。レコーディングのときまで、“やっぱり、それ変えよ”って言われるんじゃないかなと思っていたんですけどね(笑)。
――今回レコーディングで使用したベースは?
いつもの1974年製のフェンダーのジャズ・ベースがメインですが、「光の射す道へ」は1973年製のプレベを使っています。ずっと持ってはいたんですが、出番がそうない、ちょっとかわいそうなプレベだったんで。ライヴでも使ってないんですけど、『MIRACLES』(2011年)のアルバムの頃は、半々ぐらいで使ったりしていたんです。
――アンプやエフェクターに関しては、何を使用しましたか?
アンプは基本的に、スタジオにあったアンペグのB-15を使っていて、ニーヴのDIとShin’s Musicのプリアンプを使いました。曲によってまちまちなんですけど、スラップの曲とかではプリアンプのブーストをオンにして、若干ドライブ感を出したらいい感じに太く録れましたね。
――最後に、10月から始まるレコ発ツアーの“Funk-a-lismo! Vol.13”は久々のライヴ・ツアーになりますが、どんなツアーにしたいですか?
まずは無事にやりたいですよね。10月からなので、今(編註:取材は8月上旬に実施)の感じとまたどう変わっているかわかんないですけど。僕らの場合、アルバムの曲ってライヴでやっていくと意味合いがなんとなく変わってくるというか、お客さんを前にして演奏すると、“あ、こういう感じの曲だったんだ”って感じる部分がすごく大きいんです。どの曲もお客さんの前で演奏して、改めて“この曲ってこういう良さがあったんだな”とか、“いい曲いっぱいあるな”とか感じることが多いので、もちろんアルバムを買って、家で聴いてもらいたいっていうのは第一にありつつ、ライヴで鳴らされる音も聴きに来てもらいたいですね。やっぱり共有する部分があるのとないのだと、だいぶ音楽って変わってきますから。
――年間数多くのライヴをしているSCOOBIE DOだからこそ、そういった感覚が強いんでしょうね。
音を鳴らしているところにいるのが好きなんですよね。音源で聴く良い音っていうのもそれはそれで感動する部分は大きいですけど、ベースって空気感が大事だったりするので、ちょっと圧を感じたり、その空気が音で満たされているようなところでこそ、より魅力を発揮する気がするので、鳴らせる場所って大事だなってすごく思います。
◎Profile
ながいけじょー●1981年12月3日生まれ。ロックとファンクを融合した4人組バンド、SCOOBIE DO(スクービードゥー)に2001年より参加。60〜70’sのオールドな質感を持ったプレイが特徴で、熱いライヴ・パフォーマンスにも定評がある。2022年8月24日に3年ぶりのフル・アルバムとなる『Tough Layer』をリリース。10月より同アルバムのリリース・ツアーとなる“Funk-a-lismo! vol.13”を全17ヵ所で19公演を予定している。ナガイケ個人としては、ベース・マガジンでの連載コラムをまとめた書籍『ベーシストの名盤巡り 低音DO』を発表しているほか、イラスト制作なども行なっており、ゆびびき舎にてグッズ通販なども行なっている。
◎Information
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