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    【リード・ベース・ミーティング -Extra-】イガラシ(ヒトリエ )× 田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)

    • Interview:Koji Kano
    • Photo:Yoshika Horita

    現在発売中のベース・マガジン5月号【SPRING】では、『Special Program 鮮烈のロック・リード・ベース〜バンドを彩る旋律的低音』と題し、メロディアスに楽曲を彩り、リスナーの耳に鮮烈な印象を残す“リード・ベース”の特集を60ページのヴォリュームで展開している。

    同特集内では、表紙にも登場するイガラシ(ヒトリエ )と田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)によるスペシャル対談“リード・ベース・ミーティング”をお送りしているが、BM Webでは本誌とは別内容の特別篇“Extra”をお届けしよう。


    “Extra”では、プライベートでも親交があるという両者の、お互いのベース・プレイの印象などが語られ、長年ともに切磋琢磨し合ってきた“リスペクト”を感じさせる内容となっている。最後には読者へのメッセージも語られているので、ぜひ最後までチェックしてほしい。

    ベースがメロディを弾く行為は、
    コード感や帯域にも関わる、アレンジに深く踏み込む作業。
    ━━イガラシ

    ――今回(本誌2022年5月号)のテーマは“リード・ベース”になるのですが、お互いのプレイで印象に残っているリード・プレイはありますか?

    イガラシ:田淵くんはベーシストであると同時に作曲者でもあるので、楽曲とベース・ラインそれぞれの個性が密接だなって思っていたんです。でも「オリオンをなぞる」(2011年)くらいから一気にそれが別次元の段階に行ったような感じがしていて、「桜のあと (all quartets lead to the?)」(2013年)とかになるとベース・ラインが完全に“田淵シグネイチャー・フレーズ”みたいな、確固たる唯一無二のものになったような気がしています。

    UNISON SQUARE GARDEN「桜のあと (all quatets lead to the?)」MV

    ――“田淵シグネイチャー・フレーズ”とはどういったものでしょう?

    イガラシ:まず田淵くんはオクターヴの内側の音づかいでコードをつないでいくのがめちゃくちゃうまいと思っていて。楽曲にはコードの切り替わりも多いですけど、田淵くんのラインはその切り替わりをスムーズにつなぎつつ、印象的に動いていくんですよね。でもただ動いているだけじゃなくて、田淵くんのフレーズには“らしさ”が明確にあるのがすごいなって思います。あと落ちサビとかイントロに入ってくるハイポジでのフィルインみたいなのも本当に美しいですよね。

    田淵:何かそういうのを入れたがるんだよね。本当はあんまり目立ちたくないんだけど(笑)。

    イガラシ:あのフィルインはもう絶品だなって思いますね。

    田淵:イガラシくんのプレイだと、「モンタージュガール」を聴いたときはもう衝撃で、こんな面の強いずっと動いてるベース、アリなんだって思いました。っていうか、こんなの弾ける人いるんだっていう(笑)。そこから僕のなかでイガラシくんは一番うまい人っていうイメージなんですよね。

    イガラシ:(笑)

    田淵:だからヒトリエと初めて対バンしたときにも“あ、一番うまい人だ”って言った記憶がある(笑)。とにかくすごい人ってイメージで、極論、すべての曲をイガラシくんが弾けばいいのにって思いましたもん(笑)。

    ヒトリエ『モンタージュガール』MV

    ――すごい名言が出ました(笑)。

    田淵:それぐらいベース・ラインに個性があるんですよ。僕はわりとラインを書くことに執着してしまうタイプで、単純にプレイ自体にはまったく自信がないんですけど、イガラシくんはとにかくプレイ自体が“うまい”。それをTwitterとかでも全然隠さずに、“俺、ベースうまくなる”って言ってるし……もうヒーローだなと。

    イガラシ:え、そんなこと言ってたっけ!?

    田淵:言ってたよ! だから同い年なのもあって、僕のなかでのベース界の希望というか、この人がずっとうまい世の中であってくれって思いますね。

    イガラシ:もっと練習しないと……。

    ――話を聞いていると、お互いにリスペクトし合って切磋琢磨できる関係なんだなって感じます。

    田淵:おこがましいですけどね、私なんかが。

    イガラシ:いやいや。僕は田淵くんが提供する楽曲のレコーディングにベーシストとして呼んでもらう機会もあるんですけど、曲によってはデモの段階で大枠のベース・ラインを田淵くんが先に弾いていることもあるんです。そのとき、“もうこのままでいいじゃん”って思うくらい田淵印だったりするのを聴くと感動するし、それを弾かせてもらうと、何ていうか田淵くんにならせてもらったような感じもするんですよ。

    田淵:自分が書いたベース・ラインをイガラシくんがそのまま弾いてくれたら、俺一生ベース弾かなくてもいいかな(笑)。

    イガラシ:でもだからといって真似できるって感じではなくて、“あ、こうやれば田淵になれるんだ”っていう感動があるんですよね。

    ――なるほど。田淵さんはバンドにおけるメイン・コンポーザーでもありますよね。曲を作るのと同時進行でベース・ラインのイメージも作っていくのでしょうか?

    田淵:ベースで曲を作ることはほぼないので、ベース・ラインができあがるのはあとのほうですね。僕は1小節単位でコードを決めながらピアノで曲を作ることが多いんですけど、その場合だとメロディ→コード→ドラム・パターンの順に作っていくので、ベースは一番最後のほうに決まる形が多いんです。

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