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【Heavy Bassists Meeting】Sayaka(HAGANE)× 高畑治央(兀突骨)× HARU(BRIDEAR)

  • Interview:Koji Kano
  • Photo:Chika Suzuki

世代を超えた重低音の“流儀”

現在発売中のベース・マガジン8月号【SUMMER】では、『Special Program 2 ジャパニーズ・ヘヴィ・ベースの真髄』と題し、日本のヘヴィロックに在るベース・サウンドを21ページのヴォリュームで再考している。

同特集内では、日本発の文化として世界を魅了する“ガールズ・メタル・シーン”で活躍するSayaka(HAGANE)とHARU(BRIDEAR)、ハイ・テクニカルなヘヴィ・アンサンブルを奏でる“川越の残虐王”こと兀突骨の高畑治央によるスペシャル鼎談『Heavy Bassists Meeting』をお送りしているが、BM Webでは本誌とは別内容の特別篇をお届けしよう。

誌面では終始真面目に語り合っていた3人だが、Web版ではそれぞれのキャラが際立ったコミカルな内容に!? ぜひ最後までチェックしてほしい。

ベース単体で特定の帯域を弾くことでよりバンド感が出せる。
━━HARU

――BRIDEARとHAGANEは同じく5人編成であり、近いシーンで活動しているわけですが意識し合っている部分はありますか?

Sayaka:ギター、ベース、ドラムの各パートの役割とか、鳴らしているサウンドには近いものがあると思っています。でもBRIDEARはHARUさんのベースの存在感が大きくて、何より音がすごくカッコいい。そういうベースの立ち位置的な部分は私と違うのかなって。

HARU:いやいや、とんでもない! でも確かに似ているようでお互いに少し違うなって印象はありますね。

高畑:最近のBRIDEARの曲はそこまでメタルメタルしてないよね。だからおもしろいと思うし、ファンキーなギター・カッティングの裏でベースがボトムを支えるような刻みを入れるプレイとか、ちょっと嫉妬しちゃう。

HARU:ええー、そんな。褒められることに慣れていないので(笑)。

高畑:Sayakaさんのベース・プレイは忠実にローを支える“ベーシスト的なベーシスト”って印象ですね。アンサンブルにおけるベースってイメージで、ベーシストの役割を完璧にやっていて素晴らしいですよ。

Sayaka:そういう部分は意識しているところでもあるので嬉しいです! 兀突骨は……とにかくMCがおもしろいっていうイメージ(笑)。

一同:笑

高畑:そりゃ私も女の子バンドと共演するときはMCにめちゃくちゃ気をつかいますよ。まずウチらを目当てに観に来るお客さんはほぼいないから掴みが大事だし、何よりスベれない(笑)。まぁMCは中学2年からスベリ知らずですけどね!

――それぞれサウンド感やベースの役割は異なっているということですね。ちなみに各バンドのチューニングは?

高畑:ウチは5弦ベースと7弦ギターのレギュラー・チューニングですね。だから一番低い音でBになります。

Sayaka:HAGANEはベースが5弦でギターは6弦。レギュラーの曲とドロップC♯の2パターンがあります。

HARU:BRIDEARは基本的にドロップDかドロップCで、場合によってはローA♯まで下がることもあります。でもローA♯はライヴでは使っていなくて音源のみですね。ライヴだとギターはデジテックのDropっていうエフェクターで音を下げているんですけど、私はDropを使いたくないので、ベースを変則チューニングにしています。

高畑:俺とSayakaさんは5弦ベースだけど、HARUさんは4弦ベースに5〜2弦を張っていますもんね。そういう部分での違いもおもしろい部分ですな。5弦ベースが普及した背景にはEDMとかの同期音を取り入れたサウンドが普及したことで、より強いロー感が必要になったってこともあるけど、BRIDEARとHAGANEは積極的に同期音をバンドに取り入れているよね。

HARU:そうですね。でも同期でベースと同じ帯域を出されるとウッてなります(笑)。どう対処しようかなって考えるし、ベース単体で特定の帯域を弾くことでよりバンド感が出せるので、同期のウルトラ・ローを削ってもらったりすることもありますね。

高畑:そうだよね。ベースの帯域とカブっちゃうと、ボワついて聴こえることもあるからね。

Sayaka:HAGANEは基本的に高い音の同期を出しているので、キーボードとかギタリストのウワモノがもうひとり加わったっていう感覚です。だからベース・プレイへの影響はあまり感じないですね。バンド間でのそういう細かい部分の違いもおもしろいですよね。

――海外だとライヴ中ずっとシンベが鳴りっぱなしだったりと、機械的にエンド・ローを出すという考え方もありますよね。

高畑:近年は特にそういう方向性を感じますね。実際ドラムがサンプラーで出した低音とかもカッコいいし。でもベーシストとしてはちょっと肩身が狭いんですよね。

HARU:雰囲気作りとして必要だと思ったらもちろん入れるべきだし、そこはバンドごとにどんなイメージを作りたいかによる部分ですよね。

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