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    【Live Report】 Nothing’s Carved In Stone – 2022年2月25日(金)/東京・豊洲PIT

    • Report:Koji Kano
    • Photo:Taichi Nishimaki

    Nothing’s Carved In Stone
    BASSIST:日向秀和
    ●2022年2月25日(金)●東京・豊洲PIT

    緻密な音使いが生んだ、最高峰のアンサンブル体験

     昨年12月に11thアルバム『ANSWER』を発表したNothing’s Carved In Stone(以下、NCIS)。本作を引っさげ全国10ヵ所を回った“ANSWER TOUR”の千秋楽となる公演が、2月25日(金)に豊洲PITにて行なわれた。本誌でもお馴染みのベース・ヒーロー“ひなっち”こと日向秀和が見せた、スリリングかつ表情豊かなベース・プレイの数々、そしてロック・シーンの先頭を走り続ける4人が鳴らす極上のアンサンブルに酔いしれた一夜を振り返っていきたい。

     定刻より10分を過ぎた頃、暗転とともに豊洲PITに地鳴りのようなSEが鳴り響き、ひなっち、村松拓(vo,g)、生形真一(g)、大喜多崇規(d)の4人がステージに姿を現わす。SEを切り裂くかのように生形のバッキング・ギターが始まりを告げたのは『ANSWER』一曲目に収録の「Deeper,Deeper」。重厚なミクスチャー・サウンドのなかで、ひなっちは自身のシグネイチャー・モデルであるサンバースト・カラーのレイクランド製PBタイプをピック弾きでパワフルに弾きこなし、のっけからトップ・スピードにギアを回転させる。疾走感溢れる「Bloom in the Rain」では、NCISではお馴染みのブラック・カラーの同社製JBタイプに持ち替え、歯切れいいスラップを聴かせてくれた。新譜からの2曲に続き、ライヴ定番曲のキラー・チューン「Spirit Inspiration」、攻撃的なアッパー・ナンバー「白昼」を立て続けにドロップ。序盤からハイペースで展開されるステージ上で、ひなっちは全身を使ったパフォーマンスでオーディエンスを魅了した。

     鳴り止まぬ拍手のなか、“帰ってきましたNothing’s Carved In Stoneです。よろしくお願いします”と村松からひと言。加えて“ANSWER TOURファイナル、最後までついてきてください。行けるか豊洲!”というオーディエンスを煽る声に続き、ダンサブルなビートに攻撃的なサウンドを乗せた「Rendaman」を披露。ひなっちは代名詞でもある、振り回すかのような強靭なダウン・ピッキングでドライブ・ベースをかき鳴らす。「No Turning Back」では指弾きに切り替え、音源のイメージそのままに飛び道具系のエフェクトを巧みに操り会場をダンス・ホールへと一変させた。変拍子を駆使した特異なグルーヴを奏でる「(as if it’s) A Warning」では、ハジけんばかりの笑顔で村松と向き合い、心から演奏を楽しんでいる姿が印象的だった。続く「Wonderer」ではこの日初めてESP製“RED 極” Hinatch Customが登場。本器は主にセッションの現場で使用されるモデルだが、ハムバッキング・ピックアップ特有の分厚く温かみのある低音を会場に響かせていた。少々のブレイクを挟み、村松のハスキー・ヴォイスが映える壮大な世界観の「Flame」のあと、本公演で唯一登場したアコースティック・ギターのサウンドが心地いい「We’re Still Dreaming」では、各所で繰り出される休符を生かしたベース・リフに思わず体が揺れてしまう。スロー・テンポの2曲でしっとりとした空気が漂うも、「Milestone」での目の醒めるような“ひなっち節”スラップで雰囲気は一変。まるで後半戦の幕開けを示すかのように怒濤のスラップを響かせた。ベース一音で空気を一変させる、これこそが“ベース・ヒーロー日向秀和”であると改めて認識させられた瞬間だった。

    • 村松拓(vo,g)– 2022年2月25日(金)/東京・豊洲PIT

     ここでMC。松村の“豊洲で釣りをやろうと思っていたが、ライヴのことで頭がいっぱいで釣竿を忘れてきた”というコミカルなエピソードに続き、“よっしゃついて来いよ、いくぞ!”のかけ声を合図に、大喜多のパワフルなドラム・ソロから始まる「Beginning」、爽やかに疾走するギター・ロック・ナンバー「Recall」をドロップ。ライヴでの定番曲であり人気曲「Like a Shooting Star」では会場全体が一体となり手拍子が生まれる美しい光景に。会場のボルテージが最高潮に達した瞬間だった。白玉の攻撃的な歪みベースが鮮烈な印象を与えるサイケデリック・ナンバー「Impermanence」のあと、生形のピック・スクラッチとともにひなっちから“あの”名リフが繰り出さる。NCIS屈指のキラー・チューン「Out of Control」だ。ひなっちは激しいヘッド・バンキングに加え、ステージ上を動き回り、前方に身を乗り出すなどステージングでも楽しませてくれた。

     “『ANSWER』は最高傑作だと思っています。あと2曲みんなの名前を呼ぶつもりで歌います。ありがとうございました”という松村からの感謝のひと言でクライマックスに突入。PBタイプを柔らかいタッチのピック弾きで聴かせた「Beautiful Life」では、しっとりとした空気が会場を包み込む。本篇最後に披露された「Walk」では、“シンベの音をエフェクターで作る”というひなっちの言葉どおり、まるで同期音のようなシンベ風サウンドが響いた。“今を生きる、前を向いて”という歌詞のとおり、ここから彼らの新たな歩みが始まる気配を感じつつ本篇は幕を閉じ、4人は深々とオーディエンスに頭を下げステージをあとにした。

    • 大喜多崇規(d)- 2022年2月25日(金)/東京・豊洲PIT

     アンコールを待ち望むオーディエンスの手拍子に導かれて再度ステージに姿を現わした4人。生形の心地よいアルペジオから徐々に熱量を高めていく「Diachronic」では、ひなっちは音源にはない、アドリブの効いたハイ・ポジションでのエフェクティブなロング・フィルを聴かせてくれた。ここで村松より、コロナ禍でツアーを無事完走できたことへの思い、4月に控えた大阪城野外音楽堂と東京LINE CUBE SHIBUYA公演への意気込み、そして改めてオーディエンスへの感謝が述べられる。“みんなを引っ張っていけるようにおもしろいことをいっぱいやっていくので、これからもNothing’s Carved In Stoneをよろしくお願いします。また会いましょう”という言葉で締めくくったあと、本日最後に披露されたのは1st作『PARALLEL LIVES』収録の人気曲「November 15th」。ひなっちはときおり回転しながら激しいヘッド・バンキングでダウン・ピッキングを振り抜き、全20曲におよぶANSWER TOUR最終公演は幕を閉じた。

     『ANSWER』は多くの楽曲でひなっちがコンポーザーを担当するなど、曲作りの手順も改めたNCIS。貫禄すら感じさせる4人は現在進行形で確かに進化を続け、ロック・シーンに新たな一石を投じ続けている。次はどんな形でリスナーを驚かせてくれるのか期待に胸を膨らませつつ、彼らのサウンドをこれからも追いかけていきたい。

    2022年2月25日(金)@豊洲PIT「Impermanence」Official Live Video

    ■2022年2月25日(金)@東京・豊洲PIT
    セットリスト
    01.Deeper,Deeper
    02.Bloom in the Rain
    03.Spirit Inspiration
    04.白昼
    05.Rendaman
    06.No Turning Back
    07.(as if it’s)A Warnning
    08.Wonderer
    09.Flame
    10.We’re Still Dreaming
    11.Milestone
    12.Beginning
    13.Recall
    14.Like a Shooting Star
    15.Impermanence
    16.Out of Control
    17.Beautiful Life
    18.Walk
    ●アンコール
    19.Diachronic
    20.November 15th

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