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    【第42回】手が小さいけど指を広げたい人にお勧めのフォーム/石村順の低音よろず相談所 〜Jun’s Bass Clinic〜

    • Text:Jun Ishimura

    音が動く複雑なフレーズを弾きたいんだけど、左手の指が回らない、届かない、ぎこちない。こういうケースでは、左手のフォームが原因の場合がけっこうあります。

    前回は、指の付け根の状態に注目して左手のフォームの話をしたんですが、今回はそもそも全体的にどういうフォームなのか、っていう話ですね。

    左手のフォームには、ざっくり分けると2種類あります。
    握り込むフォーム
    クラシック・ギター式フォーム

    どっちのフォームがいいのか、っていうのは、ケース・バイ・ケースだし、いろんな条件によります。
    例えば

    ◉ジャンル/フレーズの内容

    ベースの音があまり動かない、ルートと5度中心とか、ペンタトニックがほとんど、という曲調やフレーズなら、握り込むフォームでほぼ対応できます。逆に、音が細かく動く、メロディックだったりメカニカルなフレーズなら、クラシック・ギター式のほうがいいです。

    ◉ネックの高さ/ストラップの長さ

    ネックの位置が低いと、握り込むフォーム一択かもしれません。腕を下に伸ばした状態でクラシック・ギター式フォー ムをやろうとしても、手首が曲がらなくて無理だと思います。 

    ただ、ストラップが長くても、ネックの角度を地面と平行じゃなく斜め上に向けて体に近づけて弾くのであれば、クラ シック・ギター式も使えます。 

    ◉手の大きさ

    ルイス・ジョンソンは握り込んだ親指で4弦のルートを押さえながら、その3フレット上の短3度の音に薬指が届くぐらい手が大きいらしいです(汗)。そこまで大きくないとしても、手が大きめの人なら握り込むフォームでもいろんなフレーズが弾けると思います。僕の場合は、その押さえ方だと薬指がギリギリ3弦に届くぐらいで、何も弾けません。親指で押さえるっていうのを諦めればこのフォームでも弾けるんですけど、まあ95%くらいはクラシック・ギター式で押さえてます。手が小さめの人はクラシック・ギター式で押さえた方が弾けるフレーズの幅が広がるので、お勧めです。 

    握り込むフォームは、親指がネックの上に出ます。指の付け根あたりがネックに触れます。

    メリットは
    ・握れば押さえられるので難しくないし楽
    ・親指で4弦をミュートできる

    デメリットは 
    ・小指を使えない場合が多い
    ・指が拡がらない
    ・守備範囲が狭い
    ・シフトが増える

    一方、クラシック・ギター式フォームは、親指をネックの裏側の真ん中あたりに置きます。

    指の付け根はネックにつけません。

    メリットは
    ・指が広がる
    ・指が4本使える
    ・守備範囲が広い
    ・握り込むフォームに比べて少ないシフトで弾ける

    デメリットは 
    ・身につけるのに時間がかかる+コツが要る
    ・ネックの位置が低いと無理
    ・親指をミュートに使えない

    身につけるには時間がかかるかもしれませんが、メリットが大きいので、特に手が小さい人で音がたくさん動く複雑なフレーズを弾きたい人はクラシック・ギター方式で弾くことをお勧めします。

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    石村順
    ◎Profile
    いしむらじゅん●元LOVE CIRCUS、元NEW PONTA BOX。日食なつこ、ポルノグラフィティ、東京エスムジカ、K、JUJU、すみれ、大江千里、松山千春、宇崎竜童、石川ひとみ、種ともこ、近藤房之助、豊永利行、Machico、紘毅、城南海、西田あい、つるの剛士、SUIKA、Le Velvets、葡萄畑など、多数のライヴや録音に参加している。ロングセラー『ベーシストのリズム感向上メカニズム グルーヴを鍛える10のコンセプトとトレーニング』の著者。Aloha Bass Coachingではベース・レッスンのほか全楽器対象のリズム・レッスンを行なっている。

    ◎Information
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