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【本誌8月号連動】奏法特集特別版ー“ベース二重奏”の可能性①『ナガイケジョー×須長和広』
- Movie:Kenji Kawamura
- Photo:Hiroki Obara
- Interview:Koji Kano
7月19日発売のベース・マガジン2023年8月号【SUMMER】では、奏法特集の特別版として、2本のベースによる“重奏=アンサンブル”の魅力を検証する『“ベース二重奏”の可能性』を展開している。
本特集では、トップ・ベーシストが本企画のために特別ユニットを結成し、ベースの重奏を楽しめる完全新規の書き下ろし音源を制作。本誌では楽曲制作の裏側からプレイのポイントなどを語った対談のほか、楽曲の譜面も掲載しているが、BM Webでは『ナガイケジョー(SCOOBIE DO)×須長和広』が本特集のために制作した音源「流れる」に加え、演奏を再現したプレイスルー動画を公開。また、本誌には入り切らなかった対談の一部をお届けしよう。
本誌の対談/譜面と照らし合わせながら、“ベース二重奏”の世界を存分に堪能してほしい。
ナガイケジョー(SCOOBIE DO)×須長和広
「流れる」
●音源
●プレイスルー映像
Talk Session
ここでは両者の関係性のほか、お互いのベーシストとしての印象を語ってもらった。
━━今回はおふたりのユニット“ベースなふたり”として本企画にご参加いただいたわけですが、このユニットはいつから、どんなきっかけで始まったんですか?
ナガイケ もともとこの“ベースなふたり”はイベント名のつもりで、ユニット名というわけではないんですよ。だからこの名前で僕らを取り上げてもらえていることがおもしろいなと思っています。もともと僕は“ナガイケジョー独演会”という名前で定期的にソロ・ライヴをやっているんですけど、どうやら須長くんもひとりでライヴをやっているって情報を聞きつけまして。それでふたりでもライヴをやってみようということで、僕から須長くんに声をかけさせてもらったのが始まりですね。
須長 そうそう。僕はソロ・ライヴだとコントラバス以外にもピアノを弾いたりとか、いろいろな楽器を演奏しているんですけど、そもそもひとりでこういう活動しているベーシストって珍しいですからね。
ナガイケ だからこそふたりでライヴをやったらおもしろいだろうなって思ったんです。“ベースなふたり”としての初ライヴは2021年の4月でした。
須長 もともとジョーくんとは10年来の友人で、飲みに行ったりする仲だったんですよ。だから気の知れたふたりだからこそ生まれるものもあるだろうなって。
ナガイケ それでふたりで演奏するイベントの名前が“ベースなふたり”ってことですね。めちゃくちゃユルい名前ですけど、気に入ってますよ(笑)。
━━ナガイケさんはバンドマン、須長さんはセッションマンということで、活動しているフィールドはそれぞれ違うわけですが、お互いをどんなプレイヤーだと認識していますか?
ナガイケ 須長くんはもともとquasimodeで活動していたから、ジャズのイメージが強かったんですけど、aikoさんをはじめとしたポップ系のアーティストもやっているから、本当に多彩だと思います。いろいろなプレイができる多彩さがありながら、ウッド・ベースもエレキ・ベースも弾けるオールマイティさも兼ね備えている。楽器やジャンルを問わず何でも弾けちゃうって部分は尊敬しかないですね。
須長 いやいや、めちゃくちゃありがたいですね。ジョーくんはエレキ・ベースはもちろんなんだけど、ひとつのことをとことん追求するベーシストだなって思っています。ちなみにSCOOBIE DOは何年続けてるんだっけ?
ナガイケ バンド自体は28年、俺は加入して21年だね。
須長 21年、それすごいことだよ。ひとつのことにかけるっていう姿勢が素晴らしいと思います。ジョーくんが使用する長年の愛器(1974年製フェンダー・ジャズ・ベース)に関してもそうで、ひとつの楽器と音楽に誠実に向き合って、自分のオリジナリティを確かに作り出している。演奏を聴いてるだけでもそれが伝わってくるんですよ。
ナガイケ:ありがとうございます! そういう話をもっと聞きたいですね(笑)。
須長 “ナガイケジョーのベース”っていう個性が、フレーズと音から溢れていますよね。あと、ジョーくんは独演会のときだとベースを弾きながら歌も歌うんですよ。ベース・プレイもバッキングじゃなく、メロディとバッキングの間でコード感を出したり、フレーズで隙間を埋めるっていうスタイルを確立していて、こういうプレイヤーって日本にはほぼいないと思うんです。この凄さはライヴを観てもらわないとわからないと思うので、より多くの人にジョーくんのプレイを知ってほしいと思っています。
━━さて、形式的には初めての音源を発表したということになりますが、今回の楽曲「流れる」の制作を振り返ってみて率直にいかがでしたか?
ナガイケ 今回をきっかけに、今後もいろいろできそうだなって思いました。僕の提示したベース・プレイに対して須長くんは立体的に答えてくれたんですけど、そこは楽曲を作ったからこその発見でもあり、おもしろかった部分。“ベースなふたり”としての可能性が広げられたと思いました。
須長 今回の制作をとおして、ジョーくんはベーシストでありつつ“アーティスト”なんだなってことを強く感じました。これまでとは違うジョーくんの一面を感じられたし、僕らふたりのかけ合いはすごくおもしろいと思うので、ひとりでも多くの人に聴いてもらいたいですね。
ナガイケ 今回は僕が“墨絵”みたいなイメージで楽曲を描こうとしていることに対して、須長くんが紙や色を提示してくれた。だからこういう楽曲にまとまったと思うんです。すごくいいバランスに落ち着いた楽曲だと思いました。
須長 こんないいきっかけをくれたベース・マガジンに感謝したいです。音源を作るというのはいい経験になりましたから。
ナガイケ そうだね。正式な音源もいつか発表できるように頑張っていきたいと思います。
「流れる」の譜面のほか、制作背景やプレイの詳細を語った対談は本誌8月号にて掲載中!
“ベース二重奏”の可能性②
▼『兼子拓真×二家本亮介』のBM Web版記事はコチラから!▼
【お知らせ】
現在発売中のベース・マガジン8月号【SUMMER】でも、奏法特集特別版『“ベース二重奏”の可能性』を15ページで展開中!
本誌では『ナガイケジョー(SCOOBIE DO)×須長和広』のオリジナル楽曲「流れる」の譜面のほか、制作の裏側から両者のプレイのポイント、そしてコピーするプレイヤー読者へのメッセージなどを語った、BM Webとは別内容の対談を掲載しています。
その他、表紙巻頭特集では昨今のベース・シーンのトレンドでもあるエレキ・ベースとシンセ・ベースの“二刀流”に焦点を当てた『新時代の低音形式 エレベ/シンベ”二刀流”』を68ページで展開しているほか、セミアコ/フルアコ・ベースの魅力に迫った『セミアコ/フルアコis Cool! feat.武井優心』など、さまざまなコンテンツを掲載しています。ぜひチェックしてみてください!