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【Special Alternative Session -Another Edition-】中尾憲太郎(ナンバーガール)× 磯部寛之([Alexandros])

  • Interview:Koji Kano
  • Photo:Taichi Nishimaki
  • Photo Location:KOENJI HIGH

――アンプもベースと同じく使い分けするんですか?

磯部:そうですね。プレベのときはフェンダーのベースマンを使っています。贅沢に使い分けさせてもらってて、最初はSVT一台のみでベースを持ち替えるたびにベースの出力に合わせてツマミを微調整してたんですけど、曲間のつなぎとかライヴ全体演出の関係もあってやってられないなと。だからアンプも持ち替えたときに足下で踏み換えて切り替えられるようにしています。

――中尾さんのアンプ・ヘッドはギャリエン・クルーガーのFusion550ですよね。

中尾:上京したばかりの頃に使ってたスタジオにギャリエン・クルーガーの800RBが置いてあったんですよ。それを使ってたら気に入ったので、まず自分で800RBを買ったんです。たしか新大久保の中古の楽器店で買って、リュックに入れて持って帰りましたね(笑)。そのあと、ベーマガのギャリエン・クルーガーのアンプ弾き比べ企画に呼んでもらって、Fusion550を弾かせてもらったら、スイッチを入れた瞬間にキャビネットから“ドン、ボン”って鳴ったんです。その瞬間に“うわ、これいいやん”って思って買っちゃった。僕は昔からそういうところに惹かれちゃうんですよね(笑)。

磯部:何となくその感覚わかります(笑)。まさに運命の出会いですね。

――最後に、ナンバーガール、[Alexandros]が残してきた楽曲で最も“オルタナティブ”だと思う楽曲を教えてください。

中尾:えーと……ちょっと待ってね(笑)。

磯部:俺は1stアルバムに入ってる「Untitled」(『Where’s My Potato』収録)かな。選ぶのは難しいですけど、このアルバムには初期衝動みたいなものが一番詰まってるなって思うんです。もちろんアルバムごとに衝動はあるけど、やっぱり1stってある種特別というか、それまでのバンドの歴史が一気に詰め込まれるから、そういう意味でも1stは特別。なかでも「Untitled」は感情を爆発させてる曲で、俺らの歴史のなかでもいろんな局面を背負ってきた曲なんです。だから特別な感情がのる曲っていう意味で、それはオルタナと同義かなと。聡泰のラスト・ライヴのときも、あいつに一曲だけ何叩きたいかを聞いたら「Untitled」って答えましたし、そういうエモい話もありつつ、節目となる重要な局面を担ってきた曲であり、あの曲には相当なエネルギーが込められています。

中尾:ナンバーガールだと「URBAN GUITAR SAYONARA」(『SAPPUKEI』収録)かな。基本的にこの曲のベース・ラインは向井くんが作ったんだけど、この曲ができたとき向井くんが急にスタジオでピアノを弾き出したんです。その瞬間、それまでのナンバーガールの楽曲にない感じのリズム感と、ものすごいポスト・パンク感を感じて。それで向井くんに“この曲すげーカッコいい!”って言った記憶がある。僕らにはいろんなオルタナティブな楽曲があるけど、そういう衝動的な意味合いも含めてこの曲かな。

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誌面では本誌の特集『創成期オルタナティブの肖像 〜90年代オルタナ/グランジ・ベース論』に関連した、ふたりの“オルタナ観”についてなど、BM webとは別内容でお送りしています。

同号では、1990年代のUSオルタナティブ・ロックの特集を46ページで展開しているほか、一枚上手のピック弾き特集、昨年20周年を迎えたマークベース特集、ミッキー吉野×亀田誠治×ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)による鼎談などを掲載しています。ぜひチェックしてみてください!