録って聴いて、録って聴いて。
それを繰り返すだけなんですよね。

━━曲作りでは、どの段階でどの程度全体のアレンジのイメージがあるものですか？　例えば、「Eureka」Aメロのベースがコール＆レスポンス的になっているのは、アレンジのどの段階からイメージしたものですか？

　あの部分は曲を作るときからです。曲の作りとして、歌のメロディとセットみたいなものじゃないですか。だから最初に作ったときからですね。

━━「愛されんだぁ I Surrender」はグラムロック的なリフものですが、こういった曲でもやはりメロディから作るのですか？

　イントロやAメロはギターのリフから作っています。リフを先に考えて録音して、イントロと Aメロはそのリフで押し通したかったので、そのリフに合うメロディを録音して聴きながらメロディを乗せていった感じですね。サビはサビで、ほとんど歌詞も同時にメロディが出てきたので、それを合体させて1曲にしたんです。

━━サビはTETSUYAさんらしい高低差のあるベースライン。こういったフレーズは自然に浮かんでくるものなんですか？

　レコーディングって何度も試せるじゃないですか。録って聴いて、録って聴いてって。それを繰り返せばいいんですよね。しっくりこなかったら、しっくりくるまで録り直せばいいし。一発でライヴみたいに演奏しろっていうわけじゃないし、一瞬で考える必要もないですからね。ずっと納得いくまで考えればいいんだから。

━━「I WANNA BE WITH YOU」はキラキラとしたアッパーチューンで、Aメロはブリブリの音で直線的なベースラインです。こういった直線的だったり、疾走感のあるフレーズの演奏について、TETSUYAさんはわりと速いテンポでもダウンピッキングをしている印象があるのですが、そこにこだわったりはありますか？

　ある程度のテンポまではダウンで行くタイプですね。音色的にも、ある程度のテンポまではダウンのほうが粒は揃うじゃないですか。物理的にも同じ力で同じ角度でピックが弦に当たっているわけだから。あとライヴとかの場合、見た目的にも僕の好みとしてはダウンピッキングのほうがカッコいいなって思っているので、自分はそうしてきたんだろうなって思います。

━━ピッキングする位置も、ライヴだとネックエンド付近のことが多いですよね？

　ブリッジ寄りよりはあれくらいの位置のほうがちょっと温かみのある音になるので、固すぎない位置でライヴでは弾いていますね。調子が悪いと、どんどんネック寄りにいっちゃうので、ちょっとブリッジ側に戻すように心がけるときはあります。とはいっても、普通よりはネック寄りですけどね。レコーディングでは座って弾くので、ライヴよりはブリッジ寄りで弾いています。ふたつのピックアップがあったとして、その中間ぐらいだと思います。

━━「Make a Wish」Aメロのベースは1回目はルート弾き中心、2回目はその発展系、サビを経た3回目はコードが変わっても同じ音をうまく組み込んだリフ的と、セクションによって変化を与えています。

　これも試して弾いて聴いての繰り返しの結果です。1番と2番のAメロで変化をつけるのって、わりとやることじゃないですか。飽きさせないためというか、ひつまぶしみたいなものですよ（笑）。サビも同じサビが何回も来ると飽きるので、飽きないようにリズムを変えたり落としたり、「Eureka」だと後半にコード進行を変えたり。そうやって一生懸命頭を使って考えて、音楽を楽しんでもらうために長く愛してもらうために工夫を凝らしている感じです。

━━使用機材は？

　ベースは全部、ZONの5弦だったと思います。レコーディングのメインで使っている茶色のやつですね。アンプは峰さん（峰守一隆／テクニシャン）のスタジオでリアンプしてもらっていて、僕が録るときはスピーカーからは音を鳴らしていないんです。全部峰さんのスタジオで峰さんの機材でリアンプしてもらって、音が返ってきて、それに対して意見を言ってやりとりをするんです。

━━ボーナストラックとしてL’Arc～en～Ciel楽曲をセルフカバーしたライヴ音源が収録されています。ライヴではIKUOさんがベースを弾いているわけですが、そのプレイを聴いて、改めて自身がどういったベーシストだと感じますか？

　自分ではわからないですけど、IKUOさんと僕ではやっぱり違うなって思いますね。特に「瞳の住人」とかは、やっぱり僕が弾かないとあのラルクの感じにはならないんだなって思いました。ピックと指という違いもありますし。

━━さて、噂では、すぐにアルバム1枚を作れるほどのストック曲はあるとのことですが、今後のソロ活動の展望は？

　レコーディング、制作に取りかかりたいなって思っています。具体的なものは何も決まっていませんけど（笑）。

Profile
1994年にL’Arc〜en〜Cielのベーシストとしてメジャーデビュー。現在までに12枚のオリジナルアルバムをリリースし、日本を代表するバンドとしてワールドワイドな活躍を続けている。2001年にTETSU69として自身のレーベル“SPROUSE”を立ち上げソロ活動を開始。2002年に1st アルバム『Suite November』、2011年に2ndアルバム『COME ON！』をリリースしている。2021年10月6日に3rd アルバム『STEALTH』を発表した。

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