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FEATURED BASSIST-日向秀和[Nothing’s Carved In Stone]

  • Photo:Ryotaro Kawashima
  • Interview:Koji Kano

ナッシングスの“真価”を創出する
ひなっちのベース概念

屈指のアンサンブル力を武器に国内のロック・シーンを牽引するNothing’s Carved In Stoneが11thアルバム『ANSWER』を完成させた。前作より約2年2ヵ月というバンド史上最大のスパンをもって制作された本作は、より多彩さを増したサウンドに加え、スリリングかつ極上のグルーヴを味わうことができる。本誌でもお馴染みのベース・ヒーロー“ひなっち”こと日向秀和は、本作より作曲面にも大きく貢献し、よりバンドの中核を担う存在となった。多様なプロジェクトを抱えるなか、ひなっちは本作にどう向き合い、どんなベースを吹き込んだのか。ひなっちの“今”に踏み込んでいきたい。

Interview

ナッシングスの新しいステージというか、
新しい一面は見せれたかな。

――2021年はNothing’s Carved In Stone(以下、ナッシングス)にとってどんな年でしたか? コロナで延期したイベントを回収できたりと、本来の動きを取り戻せた一年だったようにも思います。

 そうだね。昨年延期したライヴの振替公演もできたけど、やっぱりツアーを再開できたことが大きかったかな。あとレコーディングに費やせる時間がたくさんあったから、従来のクオリティを超えていくようなレコーディングができたとも思っています。

――屈指のライヴ・バンドであるナッシングスにとってコロナ禍はどのような期間でしたか?

 意外とみんな前向きに考えてて、休むって選択肢はなかったですね。水面下で何ができるのかっていうのをみんなで逐一話し合って、配信ライヴをやったりと常に動いていく方法を模索してたように思います。あと作曲とかアレンジに時間をかけられたので、制作面にも時間を費やしましたね。

――今作『ANSWER』は前作から2年2ヵ月の期間が空きましたけど、コロナ禍であるがため制作に時間もかけられたと?

 “熟成させた”っていうのはあるかな。だから必然的にこのスパンになったっていうか、あまり意識せず、無理やりアルバム出すのも変だし、時間を有効に使うにはどうしたらいいかって考えた結果、このタイミングになったのかなって思うんですよね。

左から、日向秀和(b)、村松拓(vo,g)、生形真一(g)、大喜多崇規(d)。
『ANSWER』
Silver sun
DDCZ-9071(SSRA-2007/初回限定盤)
DDCZ-9072(SSRA-2008/通常盤)

――なるほど。2020年8月にはセルフ・カバー作『Futures』のリリースもありましたが、改めて自分たちを見つめ直す期間でもあったのでしょうか? 

 うん。だからこそ僕らが思ってる昔の名曲たちを今の技術とサウンド・クオリティでもう一回パッケージし直したいっていう思いがあって。やっぱり最新の技術で録った音が一番新しく聴こえるし、昔の曲たちも今の技術が必要だったんですよね。当時はみんなのタイム感もめちゃくちゃ前に行ってたから、そういうのも含めてようやく完成したなって思ってます。

――2018年には自主レーベル“Silver Sun Records”も設立されましたね。

 そういういろんな事情や思いも含めて録り直したって感じ。あとやっぱり独立したってことで“なんかしなきゃ”って思う部分もあったし、自分がもっとバンドに貢献できることってなんだろうって考えたんです。そのなかで作曲っていうのはまだナッシングスでは試せてなかったから、そういうことも独立してからはどんどんチャレンジしていってますね。

――2021年は上半期に3枚のデジタル・シングルの発売もありましたが、何というか、これはアルバムを出すための伏線だったようにも感じています。

 うん。曲はすごい前から作ってたし、今作でいうと「Bloom in the Rain」なんかめちゃくちゃ前にできてた曲なんですよ。だからアルバムをどんな内容にしようか考えていくなかで、期待感を込めて「Wonderer」を作ったし、ナッシングスの新しいステージというか、新しい一面は見せれたかなと思っています。

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