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FEATURED BASSIST-J

  • Interview:Kengo Nakamura

Interview

コロナ禍でも放ち続ける、音楽への不変の情熱

昨年、50歳という節目の年を迎えたJ。コロナ禍による影響はもちろん彼の活動も直撃し、さまざまなライヴの中止や延期を余儀なくされていたが、そんな逆境にあっても前を向き、自身の信じる音をそのときの最善の手段で鳴らし続けてきた。そんなJが、前作から約2年3ヵ月ぶりとなる12枚目のオリジナル・アルバム『LIGHTNING』をリリースした。極限まで削ぎ落としたソリッドな音像を聴かせた前作を経て、また、コロナ禍で改めて自身と音楽を見つめ直して生まれた楽曲は、さらに力強く、立体感と広がりを持って我々を鼓舞する。アルバム・タイトルが示す“稲妻”は、かつて我々が打たれた音楽の初期衝動そのものであり、また、このアルバムが新たに生み出すであろう誰かにとっての音楽の原体験となる衝撃だ。

自分自身と音楽っていうものの関係性をもう一度強く確認したい。

━━まず、Jさんはこのコロナ禍という状況をどうとらえていましたか?

 コロナウイルスの問題が始まったのが、ちょうどLUNA SEAの30周年ツアーが始まった直後だったから、世の中の混乱とシンクするようにこの問題を感じていたし、自分たちの活動にはダイレクトに変化があったね。ただ、そういった世界的な状況にともなってライヴがやれなくなったとしても、自分が表現しようとしている音楽というものは、そこで全部が氷漬けにされてしまうのではなくて、これからもずっと熱を放ち続けるようなイメージは持っていたね。とはいえ、一向に状況は良くならずにいろんな規制が入ってきたりもしたから、不思議な感覚ではいたかな。

━━“ライヴ”という部分では、ストリーミング・ライヴも一般的になりましたよね。これまでの“ライヴ”とは違うものの、新しいエンターテインメントとして可能性が広がった面もあると思います。

 そうだね。さっきも言ったように、状況的にライヴができなくなったからって、自分の音楽が止まってしまうっていうことではなくて、こういう状況で何がベストなのかを探していたし、そのベストな方法を使ってロックしていた感覚だったかな。こういう状況が起きなければオンラインでの無観客ライヴなんてものも味わえなかっただろうし。ライヴっていうのは、どこかの会場のなかで起こることなわけだけど、そこには地理的な問題がいつもある。だけどオンラインになったら、そういうものがとっぱらわれて、実際自分のライヴにも日本全国からアクセスがあったり、海外からもあったり、そういった広がり方みたいなものも同時に経験した。それは今までのライヴとは当然形は違うんだけど、新しい形として、自分たちの楽しみとして、うまくつなげていけるなっていうのはリアルに感じていたんだ。

『LIGHTNING』
エイベックス/CTCR-96046

(通常盤)

━━昨年の8月12日にシングル「MY HEAVEN/A Thousand Dreams」をリリースしました。この2曲はコロナ前から取り組んでいたものだったのですか?

 イメージとしてはあったんだ。ただ、LUNA SEAのツアーがストップして、ソロのプランやLUNA SEAとしてのプランが変わっていくなかで、音楽を作っていく時間や音楽に向かっていく時間というのが、パーソナルな意味では増えていったわけで、具体的には、そういったなかで作られていった曲かな。

━━どちらもEDM的なシンセが入っていたりして新たなサウンドを感じさせました。特に、「A Thousand Dreams」は80sっぽいとも言えるシンセ音がメインのミディアム曲で、ギター中心ではないサウンドになっています。

 今まで自分のスタイルとして、ベース、ギター、ドラムのせめぎ合いみたいなものをずっとやり続けてきて、そこで作り上げてきたものに対しては当然プライドもあるし、自信もある。そのなかで、その部分が枯れないように、日々刺激を求めていたりもするんだよね。コロナ禍で、ひとりでスタジオに入る機会も多くなったときに、シーケンスで何かを走らせてみたり、メロディ楽器で言えばギター以外のものを使ってみたりすることもあったんだけど、それがすごく刺激的だった。自分が作ってきたスタイルのなかで、こういったサウンドの変化、フックみたいなものがあってもいいんじゃないかなっていう流れだったね。自分としては、純粋に響きとして刺激をもらえたものだったし、しっくりきたっていうか。

━━80年代っぽい質感は、Jさんが多感な頃を過ごしたルーツ的な時代感でもあり、昨今のリバイバルによる現代感でもあり、今っぽさと懐かしさのミクスチャーな感じがありますよね。ちなみに、このコロナ禍で時間ができたことで、自分が昔好きだったものを改めて振り返ったという人も多いようなんです。

 まさに自分もそのひとりかな。世の中的に、音楽を取り巻く状況も変わったでしょう? そうなると必然的に、自分にとって音楽というものが果たしてなんなのかということを考えるよね。そのなかで、答えみたいなものを見つける作業は、この期間は特に多かったかもしれない。あるところでは音楽が“不要不急”と簡単に言われたりもしたしね。そこで、自分自身と音楽っていうものの関係性をもう一度強く確認したいって思ったのは事実かな。

━━「A Thousand Dreams」のベースのサウンドは良い意味で平べったく太く、シンベ的な質感がありますね?

 これは実際にシンベ的なサウンドも混ざっているんだ。そこに自分のベースをマッチさせていった。あれぐらいのテンポのビートなのでピックを使わず、親指弾きをしてね。ドラムとのマッチングやキックとの重なり合いで、自分の思い描いているイメージの正解を探っていった。最後に生のベースが乗るんだけれども、ドラムとシンベの両方の世界観をつなげていくような音色、それでいてあまりヤワにならないというイメージは追いかけていたかな。

━━シングル・リリースの時点ではアルバム全体の構想はあったのですか?

 実はまったくなかったんだ。この2曲がトリガーになって、アルバムはこういうような方向性でいくんだろうなっていうイメージは持っていたけれどね。そのイメージを持ったまま時間が過ぎていって、デモを作ったり曲を作っていくなかで、徐々に今回のアルバムを構成する曲たちができあがっていったんだ。

━━シングルの段階では、アルバムの楽曲にも生楽器じゃない要素が入ってくるのかなと思いましたが、実際には「Night Flame」最後のサビ前でシンセ・ストリングスが入っているくらいになっています。

 実際に曲を作り始めてみると、シングルの2曲がヒントとなって曲が生まれてはきたんだけど、生楽器以外のものを取り入れるという方向ではなくて、今までと変わらないアプローチではあるけど、各楽器の立ち位置が違うものをイメージできるようになったんだ。不思議だけどね。

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