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    <祝!デビュー30周年&映画大ヒット>柏原譲 フィッシュマンズ時代のアーカイヴ・インタビューを特別公開

    • Photo:(C)2021 THE FISHMANS MOVIE

    柏原譲『King Master George』 リリース時インタビュー (1992年11月号)

    本誌での初インタビューは、2ndアルバム『King Master George』 リリース時の1992年11月号。本誌初登場ということで、話題はアルバム制作の裏側のみならず、バンド加入時のことから柏原のリズムのルーツの話にまで及んだ。

    “偶然は狙っちゃできないというのがコンセプトだったんです

    レゲエをベースにブリティッシュ・ポップ的なセンスも加え、ユニークなサウンドを作り出すフィッシュマンズ。重い音でボトムをグルーヴさせる柏原のベース・プレイはバンド・サウンドの要となっている。

    『King Master George』(1992年発表)

    ドラムとグルーヴのアクセントを一致させない。

    ━━加入した当時のフィッシュマンズの音楽性はどういうものだったんですか?

     当時出したインディーズのアルバムは“XTCにRCを足して、ミュート・ビートをかけたような音楽”って言われたんですよ(笑)。それ全然意味わかんなくて(笑)。

    ━━今回もリズムはレゲエありスカあり、いろいろですが……レゲエのなかでベースの占める役割ってすごく重要ですよね。

     僕の基本になってるのは、ロック・ステディっていうリズムなんですよ。同じフレーズでシーケンスしてグルーヴ作っていくっていう感じがすごく好きで。

    ━━そういうベースでポイントになっているのは、どういうところなんですか?

     まず、ドラムとグルーヴのアクセントを一致させない。ドラムが完璧にシャッフルでハネてたら、ベースはハネてないとか。わざとそうしてます。自然にやってたらハネちゃうと思うんですけど。僕の好きなドラマーっていうのは、切り込んでくるっていうか、譜割よりもすこし速いタイミングで来るほうが好きなんです。ドラムが切り込んでこっちが引っ張ると、少し長さができるじゃないですか。本当かどうかわからないですけど(笑)、そんな感じがする。

    ━━アルバムの作業の手順は?

     今回はダブの手法を取り入れまして。まずいわゆるスタンダードな形でアレンジを考えて、スタジオでザーっと録るんですよ。ダブ・ミックスで使えそうなシンドラとかそういう小モノを全部1回マルチで録る。そこで、今回はミキサーが3人いたんですよ。だから1曲を3回ミックス・ダウンする。3人が別々に“こういうダブどう?”って持ってくるのを明け方ぐらいに聴いて(笑)、どれが一番クルかという……基本的には僕らが作ったものを“好きにやってください”って渡しちゃうから、ミキサーもアーティストじゃないとダメで。“ここカットしたよ”と言われても文句は言えない(笑)。

    ━━インストの曲があるでしょ。あれはどんなやり方を?

     あれは4人が別の楽器をやって、ヴォーカルがベース弾いてるんです。何も決めてないセッションで、プロデューサーの窪田晴男さんの指令は“夜中過ぎに集合。とりあえず酒飲んどけ”と(笑)。とにかくだるい感じで来てくれって言われたんですよ。けっこうハイな気分のところへ、スタジオ入れって押し込まれて、“録り始めるから、好きなように何曲でもやってくれ”と。けっこう目配せバシバシ見たいな世界でしたねえ。レコーディングする前のコンセプトが“偶然は狙っちゃできない”という。今までできていたいいものっていうのはきっと偶然でできたものだろうという考えなんです。

    ━━アルバム全体に、ベースは音圧感がすごいですよねえ。

     アレンジ上、ああいう音じゃないと役割を果たさないから。キックよりもデカいかな? アタックとしてはベースとキックはまったく同じものとして考えてるんですよね。

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