SPECIAL
UP
【動画&誌面対応!】ULTIMATE SLAP SESSION 日野“JINO”賢二 × KenKen[SLAP THE WORLD]
- Interview:Zine Hagihara
- Photo:Yoshika Horita
- Shoot & Edit:MINORxU
- Sound Recording:Hozumi Suzuki
INTERVIEW
ギタリストのチョーキングみたいなもの。
スラップをやらないなんてもったいない━━JINO
──まずはふたりの出会いについて聞かせてください。
KenKen 最初に会ったのは、これ(アトリエZ Beta4 Custom)を作りに行ったときかな?
JINO そうだったっけ、あんま覚えてないね。
KenKen 俺も覚えてないけど、まだ工房が千駄ヶ谷のあたりにあった頃かな。このベースがアトリエZに作ってもらった1本目だったからね。17歳ぐらいの頃だったと思う。
JINO KenKenの噂は当時から聞いてたよ。まだ10代ですごいやつがいるってね。俺の叔母がジャズ・クラブを経営していて、そこでKenKenのママ(金子マリ)と演奏してさ。“うちの息子ふたりがベースとドラムやってんのよ〜”とかって言ってて、それであっくん(金子ノブアキ/d)とも知り合ってさ。そういったつながりでKenKenとつながっていったんだよな。あとさ、KenKenのパパ(ジョニー吉長/d)とCharと一緒に、ツイン・ベースでも演奏したね。
KenKen かれこれ20年ぐらい知り合いなわけですよ(笑)。
──そうだったんですね!
JINO KenKenのところはスーパー・ファミリー(笑)、ママもパパも兄貴もすごいよね。
KenKen You too, Right?(あなたもでしょ?)よく考えたら俺らってどっちもミュージック・ファミリーだね。
──ふたりは共通点も多いですが、特筆すべきは“スラップ”を積極的に演奏している点にあります。
KenKen 確かに。でも、通ってきている音楽が全然違うのに、おもしろいですよね。俺はもっとこう’90sのLAロックとか、どっちかっていうともっとリフっぽかったりする音楽かな。学も積んでないし、メジャーとマイナーもときどきわからなくなるタイプの俺と、本当にテクニックとアカデミックさを兼ね備えているタイプのJINO。
JINO KenKenのプレイ・スタイルがほかと違うのはやっぱりリズム。ハネ系の強さだよね。だいたいみんな16でいきたくなるじゃん。KenKenはもっとリズムの感じ方が大きくて、それがグルーヴになってる。本当、オンリーワンだよね。
KenKen ありがとう(笑)。まあね、スラップって勢いが出てわかりやすいからね。俺はベースそのものの存在を確立させないと、って思って頑張り始めたのが10代の頃からで、そういう意味ではスラップをバーッと派手にやるのはすごくわかりやすかったよね。それがやっぱり時代ともピコっとハマって、そういう印象を持たれたと思います。でも、このスラップ特集で言うのもなんだけど、実際は2フィンガーで弾いているのが楽しいっていうところはあります(笑)。だけどもやっぱり昔はベースのスラップ・ヒーローっていうのがいなかったから、そういうことがスラップでできたらいいなって思ってやってきましたね。
JINO あとさ、KenKenってほかの楽器もうまいじゃん。そうなるとベースを弾いているときに“ここはスラップだ!”っていうことがわかるよね。スラップでいくかどうか迷っちゃうときがあるじゃん? いろんな奏法ができちゃうベーシストだと迷っちゃうけど、KenKenみたいにちゃんと音楽をわかっている人だと、スラップもちゃんとうまく使えるんだよね。スラップが合うビートって絶対にあるし。
KenKen スラップはベースの良い表現方法のひとつで、ドラムとベースの間みたいなね。歌えるドラムみたいな感じ。
JINO スラップにダブル・ストップも加えたらギターっぽいことも混ぜられるしね。
KenKen スラップで音楽のおいしいところが全部できるのがいいよね。
──スラップはベーシストにとって便利なものであり、それと同時に花形の奏法でもあるというわけですね。
JINO 思うのが、ギタリストにとっての“歌うチョーキング”みたいなものな気がするんだよ。どんなに音数を多く弾けたりいろんなジャンルを弾けたりしても、ジミヘンみたいに弦をベンドして泣いてるみたいに歌うのができないともったいない気がする。スラップもそうで、パーカッシブで派手だし、メロディを弾いても目立つ。これはプレイしたほうがいいって思うよね。
KenKen そういう意味では、スラップはベースの弾き方のなかでも独特かもね。
▲対談インタビューの続きは、4月19日発売の『ベース・マガジン 2021年5月号 Spring』をチェック!▲
本記事は『ベース・マガジン 2021年5月号 Spring』の表紙巻頭特集“SLAP THE WORLD”と連動しています。巻頭特集では、日野“JINO”賢二×KenKenに加えて、鳴瀬喜博×フクダヒロム(Suspended 4th)、かわいしのぶ×上ちゃん(マキシマム ザ ホルモン)の豪華対談インタビューのほか、スラップ・ベーシストへのインタビューやアンケート、スラップに関するさまざまな知識、スラップのための機材・セッティング、世界のスラップ・ベーシストの奏法分析など、あらゆる角度から“スラップ奏法”をとことん追求します! ほかにも、フェンダーの最新シリーズ“Made In Japan Hybrid Ⅱ”の特集など、盛りだくさんの内容ですので、ぜひチェックしてみてください!
PROFILE
日野“JINO”賢二
ひの・じの・けんじ●ベーシスト、作詞作曲家、プロデューサー。NY育ち。さまざまな国内アーティストとの共演で知られ、西野カナ「君に会いたくなるから」は110万枚超えのミリオン・セラーを記録。リチャード・ボナ、ジャコ・パストリアスなど海外との交流も盛んで、2017年にはマーカス・ミラー・バンドのブルーノート東京公演にてゲスト出演を果たした。2019年春からは自身が校長を務める音楽スクール“JINO’s School of Music”が池袋Absolute Blueにて開校。現在、2021年の第三期生募集中だ。
◎https://jino-music.school
PROFILE
KenKen
けんけん●1985年12月30日、東京下北沢生まれ。小学3年生でベースを手にする。15歳からステージで演奏し、17歳で下北沢の都市伝説に。多様なバンドで活動し異様な存在感で話題となる。21歳で歌唱も含めた多彩な楽器をこなした作品を発表し、最年少で本誌の表紙を飾る。アンダーグラウンドの隅からメジャー最前線、テレビCMまで、本人すら数え切れないセッションをこなし、ベース界に革命を起こしたベース・ヒーロー。◎https://twitter.com/kenken_RIZE