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【ベースの日】IKUO×日向秀和 ブルーノート東京を熱狂させたダブル・ベース・ヒーローの共演
- Text:Zine Hagihara, Koji Kano
- Photo:Takashi Hoshino
続いては、今回のセッションでふたりが使用した機材を紹介していこう。普段とは少々勝手が異なる“ベース・セッション”に、ぞれぞれどのような機材で臨んだのだろうか。それでは、さっそくチェックしていこう!
IKUO’s BASS
IKUOのメイン器であるESP製のオリジナル・モデル。10月にはシグネイチャー・モデル“AMAZE-5-190”として数量限定で販売も開始された。ボディはバック材にアルダー、トップ材にフレイム・メイプルが使用された杢目の鮮やかな一本で、ネックにはヘヴィ・ローステッド・メイプル、指板には人工素材であるリッチライトが使用されている。この組み合わせは、“過酷な環境下でもネックの変化を最小限に抑え、常に安定したプレイが行なえるようにするため”の選択だ。ピックアップにはESP Custom LabによるIKUOカスタム・ピックアップが2基搭載されており、18Vの同社製シナモンのアクティヴ回路でパワフルかつ幅広い音作りが可能となる。5弦の位置でカットされているフィンガー・ランプなど、テクニカルなプレイを多用するIKUOならではの工夫が凝らされた一本だ。
主にセッション時に使用されるのがこちらのフレットレス・ベース。現在は生産終了となっているESP製WS-340SL5をフレットレスに改造したもので、IKUOが所有する唯一のフレットレス・ベースだ。“セッション時など、ジャコ・パストリアスのようなニュアンスを出したいときに使っている”とのこと。24フレット、35インチのスーパー・ロング・スケール仕様で、ボディはトップ材とバック材にブビンガ、センターにアルダーを挟んだ三層のボディ構造となっている。ネックはメイプル、指板にはウェンジ、ピックアップにはハムバッキング・タイプのセイモア・ダンカン製SMB-5Dが2基搭載されている。“今回のようなセッションだと音色が肝になるので、グルーヴとはまた違った世界観を出すにはフレットレスのほうがいいかなと、今朝家を出る前にふと思って持ってきました。”
IKUO’s EFFECTS
続いてはエフェクト・ボード。普段メインで使用しているボードが今回のセッションでも用いられたが、“今回のために各エフェクターのツマミを調整して、セッション用に音作りしてきました。”とのことだ。サウンドの中核を担うのは、SPI(Soul Power Instruments)製のオリジナル・プリアンプ190PREとMXR製M80 di+(SPIモディファイ)のふたつで、セッション時にはズーム製MS-60Bで空間系のエフェクトを演出した。今回は新たにスラップ用としてダークグラスエレクトロニクス製のHARMONIC BOOSTERがボードに加えられた。主にスラップ時のサウンドをギラつかせ、プラスアルファとして前面に押し出す際に用いられる。そのほか、コンプレッサーやヴォリューム・ペダルなども多彩なサウンドを演出するための重要な要素だ。
IKUO’s AMPLIFIER
アンプ・セットも普段と同様のメイン・セットが使用された。ヘッドは上がマークベースのTA503、下が同社Little Mark Vintageで、キャビネットも同じくマークベースのSTANDARD 104HRという組み合わせ。基本的にはLittle Mark Vintageがメイン、TA503はサブとして使用されている。Little Mark Vintageは昨年末に発売された、プリアンプに真空管を採用し、細かな調整が可能なリミッターが搭載されたマークベースのフラッグ・シップ・モデルだ。ラック上には、ルパート・ニーヴ・デザインのRNDI(DI)のほか、指板潤滑剤が置かれている。