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INTERVIEW – Toshiya[DIR EN GREY]

  • Interview:Koji Kano
  • Live Photo:Takao Ogata
  • Equipment Photo:Takashi Yashima

せっかくやるなら“誰でもない自分だけの音”を残したいなとは思っています。

――今作の録音で使用したベースを教えてもらえますか?

 前作からずっと、録音にはDINGWALLを使っています。DINGWALLのすごいところはピッチ感の安定度と“無個性”である部分。ジャズベやプレベ、リッケンバッカーって楽器特有の色があるし、それを求めて使う人も多いじゃないですか。でもDINGWALLにはそういうものがなくてまっさら。でもウチみたいなチューニングの低いバンドにもちゃんと対応する音が出せる。もう本当に素晴らしい楽器だと思います。

――ちなみに今作でのチューニングは?

 一番低い音でAまで下げています。低音弦をドロップして5弦からA/D/A/D/Gというチューニングですね。だからこそしっかりとしたピッチが必要なんです。DINGWALLを使う以前は、“さっきのフレーズしっかり録れたけど、ピッチがよくないからボツ”っていうこともたまにありましたから。DINGWALLを導入してからはそういうストレスは一切なくなりましたね。

――昨今におけるメタルやヘヴィロックにおけるベース・サウンドって、ある意味、定型化された部分もあると思うんです。でもToshiyaさんのサウンドは完全なる独自路線というか、そこに信念を感じるし、一音聴けばToshiyaさんの音だってわかるんですよね。

 正直、そこまで自分の音を極めるっていう意識はないんだけど、せっかくやるなら“誰でもない自分だけの音”を残したいなとは思っています。でもさ、何をやるにしてもそういうエゴがあってもいいと思うんですよね。もちろん引くことも大事ですけどね。それに別の誰かに収まるようなプレイはしたくないし、代役がいるようなプレイに思われるのもイヤなんですよね。年齢を重ねるとそういうエゴってだんだん発揮できなくなるし、ある意味、協調性を求められたり、悪く言えば流されたりすることもある。自分では気づけない部分を受け入れる柔軟性も重要だと思うけど、そのなかでそれを受け入れる/受け入れないは俺が決める。これでいいんじゃないかな。

Toshiyaのライヴにおけるメイン器のひとつである、Killer製KB-IMPULSS Animosity。35インチのスーパー・ロング・スケールの24フレット仕様で、ボディは2ピースのアルダー、ネックはメイプル/ウォルナットによる5ピースのラミネート、指板はメイプルという木材構成だ。ピックアップはLACE製ALUMITONE4.0が2基マウントしており、プリアンプにはEMG製BQSが搭載されている。
Toshiyaのその他の機材群は7月19日発売のベース・マガジン2022年8月号にて掲載予定!

――とても素晴らしいメッセージをありがとうございます!

 今の若い人たちって大変ですよね。少しでも外れたことをすると袋叩きみたいにされるし。もっといろいろな個性があってもいいと思うんだけどね。もちろん流行り廃りに柔軟に対応することも大事ですよ。でも決めるのは自分自身の意思でいいと思います。

――さて、DIR EN GREYは今年結成25周年になりますね。改めてバンドとして今後の未来をどう描いているか教えてもらえますか?

 25年を振り返ってみるとあっという間だったけど、ここまで来ると“どこまでやれるか”ってことを一番に考えます。だから自分たちがやりたいこと、やらなければいけないことをこれからもやっていきたいと思っているし、同時に長くやってきたことによって、それは自分たちだけのものではなくなったとも感じる。最初は5人で始めたことだけど、携わってくれているスタッフや、聴いて、観て、受け入れてくれるお客さんがいる。そう考えると決して自分たちだけの活動ではない。それを理解したうえで自分たちらしくどうエゴを貫けるか、それが今後の課題かなと思います。好きなことをやるためには何かを犠牲にしなきゃいけないですからね。

――最後に、いちベーシストとしてはいかがでしょうか?

 正直、ああなりたい、こうなりたいっていうのは自分にはあまりないんですよ。ただそのときに自分がいいなって思ったスタイルを貫ければいいかな。だからベース・スタイルがまた変わるかもしれないし、というか変わってもいいと思っているし、どんな風になっても自分のプレイに満足できればそれでいい。そこだけ。

◎Profile
3月31日生まれ、長野県出身。1997年にDIR EN GREYを結成。1998年にはインディーズ・バンドとして初の日本武道館公演を成功させ、1999年にメジャー・デビューする。2022年6月15日発表の『PHALARIS』までに11枚のオリジナル・アルバムなどを発表している。国内の活動に留まらず、2002年にはアジア、2005年にはヨーロッパ、2006年にはアメリカへと進出し、独自のヘヴィ・サウンドが高い評価を得ている。個人としては、2015年からファッション・ブランド“DIRT 100% Natural Dirty”のクリエイティブ・ディレクターとしても活動している。

◎Information
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