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    INTERVIEW – KenKen[ComplianS]

    • Interview:Shutaro Tsujimoto

    激動の時代にこそファンクを
    ベース・ヒーローの新章開幕

    カリスマ的な存在感と抜群のテクニックを誇るKenKenが、日本を代表するギタリスト/ヴォーカリストでシアターブルックのフロントマンを務める佐藤タイジと結成したユニット、ComplianS。KenKenがベーシストとして参加した佐藤タイジのソロ・ツアー中に意気投合し結成されたという同ユニットが、1stフル・アルバム『GLOBAL COMPLIANCE』をリリースした。ここでは、“コンプライアンス”という挑戦的なユニット名に込められた思いから、コロナ禍で感じたロック・シーンへの戸惑い、今作のテーマである“ファンク”への愛、そして“プレイがKenKenじゃなくて、金子賢輔になっている”と本人が振り返るファンク少年むき出しのベース・プレイについてまで、KenKenにじっくりと語ってもらった。“今が一番ど真ん中のことをやれている”と自負するベース・ヒーローの現在地を確かめてほしい。

    座って弾くとベースのことだけを
    9割5分で考えられる。

    ──今日はComplianSの1stアルバム『GLOBAL COMPLIANCE』についてじっくり聞いていきたいと思いますので、まずは佐藤タイジ(vo,g)さんとのユニット結成の経緯を教えてください。

     2019年に(佐藤)タイジがソロで出した『My Hero』っていうアルバムのレコーディングに俺がベースとドラムで参加したんだけど、そのあとにご存じのとおり俺が個人的にいろいろとありまして。でもそれから、戻ってきてすぐのタイミングですぐにタイジが“いろいろやったほうがいいよ!”みたいな感じで声をかけてくれて、俺をツアーに呼んでくれたんだよね。これは本当にありがたかった。その流れで、最初はベーシストとしてツアーに参加していたんだけど、“これすごい良くないか? このままユニットにしちゃう?”となりまして(笑)。そのツアーの後半にはユニット名が決まっていたね。

    ──ユニット名は“コンプライアンス”と、かなり皮肉の効いたものになりましたが、どういった思いがありましたか?

     これは、ライヴのMC中に“どうする?”みたいな話もしながら決めたんだけど、やっぱりちょうどその頃コロナ禍で音楽界もすごくいろんなことが変わった瞬間だったからね。モッシュやダイブができなくなって、ミュージシャン自体が“悪者”みたいな空気もあったし。でも何て言うんだろう、俺らは多分ライヴをやっていかないと生きていけないし、俺は30年くらいそれで生きてきた。みんなが思っているよりも“これが俺たちの生活なんだ”っていうことをわかってほしかったし、それに音楽って“やっちゃダメです”と言われて止められるものでもないと思ったんだよね。もちろん、状況によって、それに合った楽しみ方はあるだろうし、いろんなガイドラインを守ることでやれるんだったら、もちろんそれは守っていくべきだけど。ただ、一番大事な“音楽”というところをどう守るかみたいなところはすごく考えていたよね。

    ──この時期は世の中が激動の時代だったうえ、KenKenさん個人としても環境が大きく変わった時期だったと思いますが、この時期はどういうモードだったんですか?

     もう俺はここ2、3年マジでカオスだった(笑)。いろんなことがグワーっと変わったからね。でも、コロナ禍が始まった頃って、ちょうど自分自身にいろいろあったあとだったから、そもそも自分自身のマインドも変わっていて、次のステージに向かっている途中だったんだ。自分の人生を新しい角度から見つめ出したというかね。だから、コロナに対する見方もちょっとまわりの人とは感覚が違うところもあったと思うよ。

    『GLOBAL COMPLIANCE』
    The One Recordings
    ZRCS-01
    左から、佐藤タイジ(vo,g)、KenKen。

    ──KenKenさんとしてはコロナ禍の時期、何を感じていたんですか?

     俺が好きだったロック・シーンの感じって、もうあんまりないんだなっていうのが明確にわかってしまったというのは感じていたことのひとつかな。俺が10代の頃の20年くらい前のロック界隈の空気って、もっと海賊みたいだったなと思って。もっと無茶苦茶だったし、もっと荒れていたけど、もっと自由を求めたし、それがものすごいパワーになっていた。今はロックをたくさんの人が観に来るようになったし、それはすごくいい意味で世の中に認められたってことだよね。でも、そうなるとやっぱり世論のほうが大事になってしまっているような部分があって、それがすごく残念だし、もともとそうだったのがコロナでそれが余計に浮き彫りになったと感じた。自分たちで選んでここまで来れたのに、成功して大きくなった瞬間にそれが薄まるっていうのがめっちゃもったいないじゃんと思っていたし、そんななかで“じゃあ今、一番ロックな表現って何だろう?”とか、“この時代に何をするのが一番エモーショナルに心が動くか?”っていうことは考えていたかな。

    ──その“何が一番ロックか?”に対して出していった答えが、ComplianSでの活動に反映されていると。

     そうだね。まずComplianSのライヴでは俺は座ってベースを弾くんだけど、グッと入って演奏するみたいな感じで、とにかくそれがスゴいのよ(笑)。今までライヴでは半分がフィジカルで音楽を感じていて、ヘドバンとかしながら、全身を使って“バーン!”て爆発させていたんだけど、座って弾くとベースのことだけを9割5分で考えられる。そうなるとやっぱり出てくるものもやりたいことも全然変わってくるよね。俺は“我慢した状態でロックはできない”と思う派だから、だったら我慢じゃなくて、今までと全然違う楽しみ方をしようって考えたし、ある意味“ロックをしない”っていう選択が一番ロックなんじゃないかと思ってるわけ。そういう意味では、今はここ15年くらいで初めて自分のやりたいたことにど真ん中で向き合えている状態かもね。この感じってソロのアルバム出した20歳ぐらいぶりで、RIZEに入る前の自分ぐらいの感じというか。それが超おもしろいし、超楽しい。

    「I Would Die 4 U」のライヴ・パフォーマンス

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