PLAYER

UP

INTERVIEW – RxYxO[coldrain]

  • Interview:Koji Kano
  • Photo:Masahiro Yamada(Live)

世界制覇への布石を打った、最新型ヘヴィ・サウンド

世界基準の重低音を武器に、ワールドワイドな活躍を見せるcoldrainが、約3年ぶりとなる7thアルバム『Nonnegative』を完成させた。今作でも名だたるヘヴィ・バンドを手がけてきた敏腕プロデューサー、マイケル・“エルヴィス”・バスケットとタッグを組み、世界の舞台を経験するなかで蓄積された、最新型ヘヴィ/ラウドロック・サウンドを展開。バラエティに富んだ圧巻の仕上がりとなっている。RxYxOの奏でるベース・プレイは攻撃的でありつつ、楽曲のキャラクターに合わせた的確なアプローチで、楽曲の“ヘヴィ感”をより一層際立たせている。“原点回帰した”と語る今作の制作の裏側と、RxYxOが鳴らした重低音の核に迫った。

どんな曲でも俺ら5人揃って音を出したら
“俺ら”になる自信がある。

――coldrainは今年結成15周年を迎えたわけですが、メモリアル・イヤーを結成当初から変わらぬオリジナル・メンバーで迎えることができた現状をどう捉えていますか?

 腐れ縁というか(笑)……まぁ、誰が抜けてもおかしくないときは何回もありましたよ。でも個人的に、誰も辞めずにここまで来れたことの要因として、海外に進出できたことが大きいと思っていて。“今までやってきたことが間違いじゃなかった”って確信に変わった部分でもあるし、海外ツアーを回っているとマジでメンバーしかいないタイミングがめちゃくちゃあるんですよ。日本だったらマネージャーとか事務所の人もいたりするけど、向こうだと外人のツアー・マネジャーとテックがたまにいるくらいで、ほぼメンバーだけのツアー・バス生活。寝て起きた瞬間からずっと一緒だから仲悪いとマジでやっていけないんですよ(笑)。そういうのを経て、いろいろな価値観を全員で共有できたのがデカいのかな。

――海外に行ったからこそ、初心に戻れたっていうことなのかもしれませんね。

 うん、もう一回初心に帰れたって部分では、すごく大きな意味があったと思います。そういう修行の場をもらったほうが根本的なスキルも上がるし、あの経験があったからこそライヴ力も上がったんですよね。

――この15年を振り返ってみると、coldrainはサウンドのトレンドの移り変わりが激しいヘヴィ/ラウド・シーンにおいて、常に進化を続け、最先端のサウンドを追い求める姿勢がうかがえます。そういった“進化を続けていく姿勢”はバンドとしても大切にしているのでしょうか?

 芯の部分はずっと変わっていないんですけど、やっぱり日本と海外の間にいるからこそやれているなって感覚はありますね。昨今のEDMとかヒップホップみたいなサウンドを取り入れているわけではないけど、どんな曲でも俺ら5人揃って音を出したら“俺ら”になる自信があるし、どポップな曲だろうが激しい曲だろうが、自分たちのものにできる自負がある。15年間で変わった部分もあるけど、音楽的な感性はあの頃のままなんですよね。だから狙ってサウンドを作っているというよりは、自然とこうなったって感覚ですね。

『Nonnegative』
ワーナー/WPCL-13394(通常盤)

――そんななか3年ぶりの新作『Nonnegative』がリリースされたわけですが、この3年間はcoldrainにとってどのような期間だったと振り返りますか?

 2020年2月に“BLARE FEST.”っていう主催フェスをやったんですけど、それがデカかったですね。コロナ前最後に国内でやれた2万人規模のイベントだと思うし、あの光景を見れたからこそ、コロナの足踏み期間も耐えられたというか、心が折れずに頑張ることができた。コロナ禍は個人的に体調を崩してしまったこともあって、しんどい時期ではあったんですけどね。まわりのサポートもあって乗り越えることができました。

――今作もアメリカでのレコーディングで、バンドのYouTubeチャンネルにもレコーディング風景が上がっていましたね。録音したスタジオについて教えてもらえますか?

 プロデューサーの(マイケル)エルヴィス(バスケット)の自宅兼スタジオで、パッと見、普通の家というか、プールもあるフロリダの豪邸です(笑)。ドラムはリビングで録ってるんですけど、ここで録る音はナチュラル・リヴァーブ感があって、めちゃくちゃ良いんですよ。

――エルヴィスはインキュバスやリンプ・ビズキット、ストーリー・オブ・ザ・イヤーなど、名だたるバンドを手がけてきた敏腕プロデューサーですが、そもそも彼との出会いとは?

 以前新しいプロデューサーを検討していたとき、FACTのAdam(vo,g)がエルヴィスを薦めてくれたんです。実際に会ってみたらめちゃくちゃいいヤツだし、とにかく耳がいい。そういうバンドを手がけてきたから、俺らみたいなサウンドも得意だし信用もある。もはや6人目のメンバーって感じで、気のつかえる思いやりのある男ですよ。

――エルヴィスは『FATELESS』(2017年)から起用していて、今回で3回目の共同作業になったわけですが、今回のレコーディングを振り返ってみていかがですか?

 3枚目ともなると気心も知れているので、めちゃくちゃスムーズでした。でも彼はすごく耳がいいので、いかんせん今回もチューニング地獄に陥りましたね(笑)。日本人も見習ったほうがいいくらい、チューニングにめちゃくちゃ厳しいんですよ。ずっとプラグインでチューナーのメーターを出していて、少しでもフラット/シャープした部分はもう一回録り直し。そこって日本人のほうが意外と大雑把で、一回合わせたらそこまでシビアにチェックしないじゃないですか。でもそれで録った音の濁りのなさ、拓ける感じは別格なんですよね。

7th FULL ALBUM RECORDING DIARIES(PART3/全4回)

▼ 続きは次ページへ ▼