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    INTERVIEW – 谷浩彰[UNCHAIN]

    • Interview:Koji Kano
    • Photo:Masahiro Yamada

    バンドとしてもベーシストとしても、新たなアプローチを提示できた

    ━━制作にあたってコンセプトはどんなものがあったんですか?

     3人に戻るっていうのが大前提にあるなかで、“野性味を出そう”っていうキーワードがありました。バンドをやり始めた頃の初期衝動を再現した、ある意味野生感あふれたアルバムに仕上げたいという思いがあったんです。

    ━━“野性感”とは具体的にどういったものでしょう?

     思ったことをそのままやるということですね。“カッコいいものはカッコいい”と自分たちが信じるものを本能的にそのまま表現した一枚になっています。

    ━━「Elephant Ship」は4つ打ちのドラム・ビートのなかで随所に入ったフィルが印象的で、部分ごとにプレイにも工夫が見られますね。

     これこそ本能のままプレイした一曲で、4小節がひとつのかたまりとしてあって、次のかたまりに行く際につながるフィルを入れようと思ったんです。フィルのパターンは2パターンのみで、それを組み合わせながら全体を作っていきました。

    ━━フィルの作り方はどのように?

     この曲に関してはほぼ手グセですね。学生時代にコピーしたバンドからさっき挙げたベーシストのフレーズまで、いろんな方のプレイが自分の手グセのひとつとして生かされていると思っています。

    「Elephant Ship」Music Video

    ━━「Like A Star」はエレクトロな世界観の楽曲で、PB特有のいなたい音がいいアクセントになってますね。

     この曲は唯一コンプレッサーをかけて録った曲で、PBのいい部分を出せた曲だと思っています。プレイ的にはオモテはほぼ弾かず、ウラのリズムのみを弾いているんですけど、“ウラで弾いているんだけどオモテでノってる感じ”を表現するのに苦戦しました。

    ━━となると、ドラムとの兼ね合いも重要になるのでは?

     それは阿吽の呼吸ですね(笑)。昔はビートを点でしか捉えられなかったんですけど、歳をとるに連れてメトロノームのような、流れる感覚でリズムを感じられるようになったんです。ある意味キャリアを重ねたことでの余裕から生まれたビートかもしれませんね。

    ━━いつ頃からそういったリズムの感じ方ができるようになったんですか?

     うーん……いつ頃っていうのは明確には言えないんですけど、以前あるキーボーディストの方に“リズムなんて30歳過ぎないと分かんねえよ”と当時僕が20代の頃に言われたことがあったんです。今になってみるとその意味がすごく分かるというか、やっぱり場数も重要なのかもしれないですね。

    ━━「Dear Jay」はハイ・ポジションでのフレーズが印象的で、歌うようなリフ的なフレージングが美しいです。この曲だけ少しベースの方向性が違うのでは?

     今までだったらやってなかったフレーズかなと。やっぱりギタリストが抜けて3人に戻ったことで、ギターじゃないメロディを弾く曲も欲しいと思ったので、中盤のリフ部分はギターやヴォーカル・メロとの絡みを意識しつつメロっぽいフレーズを作ったんです。

    ━━3人になったことでの新しい方向性のプレイということですね。

     そうですね。新たなアプローチをバンドとしてもベーシストとしても提示できたと思っています。ある意味ひとつの“挑戦”かもしれませんね。

    ━━ハイ・ポジションは音の詰まりやの抜けなどのデッド・ポイントもありますが、音作りはどのように?

     音作りはいたってシンプルというか、ほかの曲と同じ方向性なんですよ。なので意識したのは右手のタッチや力の入れ方といった弾き方ですね。これを気を付けることでかなりサウンドは変わってくると思います。

    ━━「Dive Into Deep」はアタマのディレイ・ベースのソロが印象的です。音作りはどのように?

     もともとディレイをかけるつもりはなかったんですけど、ミックスのときに試してみたら結構いいなと。なので、あとがけでディレイの深さを調整しながら音作りしていったんです。ベースを主役とするコンセプトの曲で、もともとギターを入れる予定はなかったんですけど、作っていくうちにやっぱギターも欲しいよねと(笑)。イメージ的にはベースだけじゃ足りない部分をギターで補っていった感覚ですね。

    ━━なるほど。フレーズとしてはどんなことを意識しましたか?

     フィルとか遊びを入れることも考えたんですけど、この曲は余計なことはせず、ソロも含めてしっかりベースとして土台を固めるベース・ラインを意識しました。

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