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    INTERVIEW – 徳永暁人[doa]

    • Interview:Kengo Nakamura

    念願叶って、「ホテル・カリフォルニア」のリズムで
    「永遠」を歌わせていただきました(笑)。

    ━━シンプルというところでは、音価もより大事になりますよね。「TAKE ME TAKE ME」 (滴草由実)は、曲の根幹をなすイントロからAメロのメイン・フレーズは“ドゥッドゥッドゥッ”という4分音符での1音の3連打ですが、音価とグリスのニュアンスで非常にグルーヴィに聴かせます。これで引っ張るのはファンクの手法ですね。

     完全にファンク・ロックですね。同じファンクでも、もっとダカダカダカ弾いたり、チョッパーをバキバキやるパターンもあるんですけど、あの“ドゥッドゥッドゥッ”だけで踊れるみたいなものって、本当にカッコいいファンクだと思うんです。それをどうしてもやってみたくて。今回は全部トリオでの一発録りで、メンバーはいつもやってくれている車谷(啓介/d)くんとKEI(g)くんなんですけど、コード・ネームだけのメモみたいな譜面だけをわたして、“好きにやってみて”って言ったんですよ。デモ・アレンジを作っていかなかったから、ブースに入って、その場でテンポを出して“せーの”でやる。「TAKE ME TAKE ME」 も、車谷くんが叩き始めたビートに即興で合わせて僕が弾いたような感じだから、その場のミュージシャン同士の空気感みたいなものが出ていて。だから、ファンクのビートもふたりに影響されて出てきたものですよね。昔、アマチュア・バンドをやっていた頃、“はじめまして”で練習スタジオに入るときって、特に決まりもなく、なんかわからないけど楽器を弾き始めるじゃないですか、Em一発みたいなやつを(笑)。それをお互いに聴いて、“お、やるな”とか、“こいつはロック系で、こいつはフュージョン系だな”ってわかったりする。ああいう、ミュージシャン同士の瞬間の判断力みたいなものがけっこう出ていると思いますね。

    ━━ ZARDに提供した「永遠」は、もともとイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」にインスパイアされて作った曲だそうですが、今回のベース・ライン、特にAメロにはその匂いが出ていますね。

     そのままやってみました(笑)。スタジオに入って、車谷くんにまず「ホテル・カリフォルニア」を聴かせて、“俺がこのパターンでベース・ラインを弾いてみるから、このパターンを叩いてみて”って。そういう意味では、音楽的に遊びながら楽しみながらやってみたわけなんですけど、でもめちゃくちゃハマったのがおもしろくて。それに、最初はやっぱり、これは「ホテル・カリフォルニア」だなって思っちゃうんだけど、歌っていくと全然気にならなくなるので、すごくマッチしたアレンジになってよかったなって。

    ━━ちゃんと楽曲として「永遠」が確立されているからでしょうね。“パクリ”じゃなくて“オマージュ”になっているというか。

     ありがとうございます。まぁ、一回やってみたかったんですよね(笑)。どうなるんだろうって。本当に念願叶って、「ホテル・カリフォルニア」のリズムで「永遠」を歌わせていただきました(笑)。

    ━━音楽的な遊びという意味では、「Don’t let me down 」(BAND-MAID)はメイン・リフがレッド・ツェッペリンの「移民の歌」っぽいリズムに変化していますね?

     そうですね(笑)。これもミュージシャンシップというか、車谷くんに“ボンゾみたいにやってよ”って言ったら、“わかりました!”ってスタジオに入ってクリックが鳴った途端にあれを叩き出したから、僕がそういうリフを弾き始めて。もう瞬間で出てきたような感じでしたね。

    ━━その場のノリで音楽ができていったと。

     僕もそうですけど、最近は何でもDTMで作ってアレンジしまくって、それをスタジオに持って行って生演奏に差し替えるってことが多いと思うんです。だから、今作のようなこういう作り方って、今、本当にないですよね。そういう瞬間がパッケージされているのも、今作のおもしろいところだと思うんですよね。

    ━━「Don’t let me down 」の間奏にはスラップ・ベースのソロ。ここはフュージョンっぽい質感がありますね?

     やっぱり鳴瀬喜博さんの弟子としては、マーキングをしとかなきゃいけないかなと(笑)。実は、チョッパーだけをやっているような半分インストのオリジナル曲もあったりするので、ソロ・アルバムだし、そういう曲を入れてもいいんじゃないかみたいな声もあったんですけど、今回はそうじゃなくて、歌モノの提供曲に限るってことにしたかったんです。そうなると、歌モノでチョッパーだけをずっとやるっていうのもなかなか少ないですから、どこかに印をつけたいなって。ライヴでは、いきなり曲の途中で、なぜかチョッパー・ソロが入るっていうのもよくやっていたんです(笑)。それで、“あのコーナーみたいなものを挟ませて”ってふたりに言ったら笑ってましたね。ベース・ヴォーカルってギター・ヴォーカルに比べたら少ないと思うんです。そのなかでもいろんなベース・ヴォーカルの人がいて、チョッパーしながら歌う人もいれば、ポール・マッカートニーみたいにメロディックに弾きながら歌う人もいる。そういうところでひとつ、僕の場合は平歌のところはシンプルに弾いていて、ベース・ソロになったらいきなりチョッパーでバリバリに弾き始めるみたいなメリハリをつけるスタイルもおもしろいかなって。こういうのもアリだよみたいなね。まぁ、自分はそういうものしかできないんですけど(笑)。

    ━━チョッパーといえば、「Communication Break」 (上木彩矢)はオシャレなロックンロールで、サビ以外はプルのアクセントが効いた隙間の多いチョッパーでのアプローチになっていますが、ギター・ソロやエンディングでは、16分でたたみかけるゴーストノートを生かしたプッシュ感のあるチョッパーになり、一気にギアが変わる感じになります。チョッパーの効果的な使い方だなと。

     やっぱりミュート命ですね、チョッパーは。ゴーストノートについては、鳴瀬師匠に腕がつるまで鍛えていただきました。“おしんトレーニング”っていう、ひたすらゴーストノートだけを10分くらい弾くっていうトレーニングをやっていましたけど、“師匠、これ、普段あんまり使いませんよ”って思いつつ、それを使うのは今かなって(笑)。ずいぶん前に、B’zの「スイマーよ!!」っていう曲をアレンジしたとき以来かな(笑)。

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