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セッションマンたちの流儀 2020 “Another Edition”②-村山シベリウス達彦

  • Interview:Takahisa Kondoh

いい曲だなって思ってもらいたい。その結果として賞を獲れれば、それを越す喜びはない。

──使用機材について教えてください。

 ベース本体はSpector Euro 5 LXという5弦ベースをメインで使ってますね。ほかにはジャズベも持っているんですが、Spectorを使うことがほとんどです。最近は5弦しか弾かないですね。やはりEより下のDの音が必要な場面が意外と多くて。昔は4弦ベースをドロップDにして弾くこともあったんですが、いちいちチューニングするのが面倒くさくなって、もう5弦でいいじゃんっていうことになって(笑)。もはや、5弦にしか手が伸びなくなっちゃいましたね。とはいえ、5弦開放のBの音は、歌モノだと重すぎるかなって思うこともあって。あまり頻繁に使うような音域ではないんですけど、一瞬に下に行ったりすることで、その音が効いて良いアクセントになるんです。

──エフェクターなどは?

 宅録では、Darkglass Electronics MICROTUBES B7K(プリアンプ/DI)を常に使っていて、あとMXRのM-108 Ten Band EQを噛ましてAVALON DESIGN のU5(DI)に突っ込んでオーディオ・インターフェイスにつなげています。MICROTUBES B7Kについては、バリバリに歪ませるという感じではなく、プリアンプとしてSpectorとの相性がいいなと感じていて。基本的な音作りに関する機材は以上で、そこからはもう、どれだけ歪ませるか、などを曲によって調整しています。MICROTUBES B7Kは本当に歪み量の幅が広くて。例えば、ディストーションの効いたギターがあるなかで、ある程度歪ませなきゃいけない場面など、音作りがしやすくて便利なんです。

──オーディオ・インターフェイスは何を使っているんですか?

 Universal AudioのApollo Twin X QUADですね。ギター・アンプなどをエミュレートしているUnison対応のUAD-2プラグインを使いたくて導入したんですけど、アコギや歌を録るときにも重宝しています。DAWはPro Toolsで、もう10年以上は使っています。

──やはり、これからの時代、ベーシストは自宅でレコーディングできることも必須になるのでしょうか?

 宅録をする機会はかなり増えましたよね。自分からデータを投げることもありますし、受け取ることも多いです。ベースやギター、鍵盤などを弾くプレイヤーにとっては、データのやり取りができることに越したことはないなとは思います。

──今の時代、これまで以上に宅録を行なう機会は増えたのでは?

 そうですね。ただ、人と会うことも少なくなりますよね。今の情勢的にはそれが正しいとは思いますが、少し味気ない感じはあります。それこそ、昔のセッション・ミュージシャンの方々のように、スタジオでああだこうだ言いながらコミュニケーションして作品を作ることも大事だなとは思っていて。データのやりとりで終わっちゃうのは簡潔でいいですけどね。

──では、クリエイターとしての今後の目標を聞かせてください。

 自作の楽曲でオリコン1位を取った経験がないので、それは具体的な目標としてひとつあります。あとはレコード大賞。そのいずれかは獲得したいです。そういったことは具体的な目標のひとつではありますけど、それとは別に、やはりクリエイターですので、聴いてくれる人にいい曲だなって思ってもらいたいっていうことを常日頃思っています。その結果として、オリコンだったりレコード大賞っていう流れになれば、それを越す喜びはないです。

──ベース・プレイについては?

 頼れる兄貴的な存在であってほしいっていうのは先ほど申し上げましたけど、それだけでも味気ないものだと思うので、緩急あるベースといいますか、どっしり構えつつも、ガシガシいくところはいくっていう差し引きができるといいですね。そういったベースを弾きたいなと思ってますし、楽曲が求めているところだと思いますね。

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