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セッションマンたちの流儀 2020 “Another Edition”②-村山シベリウス達彦

  • Interview:Takahisa Kondoh

ベースは“頼れる兄貴的な存在”であってほしい。

──作曲や編曲も手がけるなかで、客観的に見てベース・パートに求めているものとは?

 僕は大前提として“安心できるベース”であってほしいって思っています。言うなれば“頼れる兄貴的な存在”といいますか。個人的には、派手すぎるベースはあまり好みではなくて。特に僕の場合、関わる音楽のほぼ8割は、いわゆる歌モノなんです。で、歌モノは“第一に歌、第二に歌、そして第三も歌”っていうぐらい(笑)、歌が大事だと考えていて。そこでベースを弾くとなると、ベース然としたベース、みたいなものが自然と求められると思うんです。

──曲作りはどういったプロセスで生まれるんですか?

 最初にサビのメロディを考えますね。歌モノの場合は、なるべくメロディと鍵盤だけで成立するような状態にしておきます。そこからベースとドラムを入れていく、みたいな感じです。なるべく良いメロディを生み出したいですし、歌モノの場合はメロディが命なので、なるべくメロディを生み出す段階に力を入れていますね。

──ちなみに、以前はバンドをやっていたそうですが、バンドマンになろうとは思わなかったんですか?

 先ほどお話しした、高校から21歳ぐらいまで3〜4年ぐらいやっていたバンド以来、バンドはやっていないですね。元も子もないこと言うようで恐縮なんですけど、やっぱりバンドって、いろいろと乗り越えないといけないことも多いじゃないですか(笑)。

──人間関係も関わってきますからね。

 そうなんですよね。加えて今の世界的な流れとしては、悲しいかな、やっぱりどうしてもバンド・サウンドは減ってきていて。なので、バンドを続けるのって本当に大変だなっていうのが一番の感想ですね。

──曲作りで心がけていることは?

 僕の場合は、なるべくオーダーに沿うようにっていうことが大前提にありますけど、そのなかで、自分の個性をどうやって入れられるかなっていうことを日々試行錯誤していますね。

──なるほど。そのなかで、曲作りにおいて印象的だった楽曲は?

 数年前から、海外でもコライトという作り方が増えていますが、人と共作した作品でいえば、秋元康さんが手がけている、ドラマ『俺のスカート、どこ行った?』の主題歌にもなったザ・コインロッカーズの楽曲「憂鬱な空が好きなんだ」が印象的でした。ほかの作家さんと作ることで、すごくいい結果になる手応えを感じましたね。

──作業を分担して、お互いの良いところを生かしながら楽曲を作るのは新鮮ですよね。

 場合によってやり方はさまざまだと思いますけど、僕がインストを作って、共作者がメロディを付けて、そこから肉付けしてどんどん形にしていくっていうような作業がおもしろくて。あと、メロディがなくても、いわゆるカラオケにあたる部分を最初に作って。そこにメロを乗せていったり。またそれに合わせて、楽器を重ねて録っていく。結果、自分も予想だにしない仕上がりになった曲は印象に残ります。やはり、自分で出てこないようなアイデアが出てきたり、自分の予想だにしないものが出来上がるということは大きいですね。

──自身のベース・プレイで印象に残っているものは?

 自分が弾いたものだと、2013年にリリースされたシクラメンの「ボルケーノ」という曲が思い出深いですね。シクラメンはご自身たちで作曲をされていて、アレンジャーさんも別にいらっしゃるなかでベースを弾かせてもらって。自分のなかでも良いものが弾けたかっていう手応えがあったのを覚えています。

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