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INTERVIEW – YU-KI [NOISEMAKER]

  • Interview:Koji Kano
YU-KIのエフェクト・ボード。上段右から、ローディーが製作したバッファー、ZVEX製Mastotron(ファズ)、VITAL AUDIO製VA-08 MKII(パワー・サプライ)。中段右から、ボス製TU-2(チューナー)、WayHuge製SAUCY BOX(オーバードライブ)、デジテック製BASS SYNTH WAH(ベース・シンセ/ワウ)、ダークグラスエレクトロニクス製Vintage Deluxe(オーバードライブ)、フリーザトーン製PA-1QB(イコライザー)。下段右から、インナーバンブー製U-II(コンプレッサー)、ボス製ES-5(スイッチャー)、ダークグラスエレクトロニクス製Vintage Ultra(プリアンプ)。

――今作全体を通し、前半・後半でのベース・ラインの切り替えが印象に残りました。“同じフレーズは繰り返さない”というような思いもあるのでしょうか?

 俺らの曲は1番と2番で全体の印象が変わるものが多いので、それに合わせて自分もプレイを変えている部分はありますね。でも全部を変えているわけではなくて、ほかのパートの動きも見つつ調整しています。でもサビは一番耳に残る部分でもあるので余計なことはせずに、あくまでも全体をトータルで見た際の最善なアプローチにするようにしています。

――ちなみにシンベに負けず、エレベもかなり低い音が鳴っていると思うのですが、チューニングは?

 ドロップCチューニングで、4弦ベースに一般的な5弦ベースの2〜5弦を張っています。だからテンションは結構キツめなんですよね。ちなみに弦はDRのDDTを使っています。

――メイン・ベースはどういったものなのか教えてください。

 サンドバーグにオリジナルで作ってもらった専用のモデルで、サンドバーグはこれで2本目です。ボディ材はすごくキレイな木目のアルダーなんですけど、これは製作の途中で加工する前の木材の写真が3枚“どれがいい”って送られてきたんです。そのなかで一番派手なものを選んだんですよ。アルダーっぽくない感じがクールですよね。

――サンドバーグのベースを選んだ理由とは?

 ギブソンのサンダーバードも一本持っていて、めちゃくちゃいい音なのでレコーディングではよく使うんですけど、弾きづらいからライヴではちょっと使えなくて。それでサンダーバードと同じマホガニーの木を使っているベースを探していたら、サンドバーグにたどり着いたんです。その後マホガニーじゃないベースも欲しいなってことでアルダーでも作ってもらいました。サンドバーグはピックアップもすごく良くて、デラノとサンドバーグが共同開発したものなんですけど、パワフルだし、すごく抜けが良いのでバンドの音とも合っていますね。

YU-KIのメイン器である、サンドバーグ製のオリジナル・モデル。アルダー・ボディ、メイプル・ネック、ローズウッド指板という木材構成で、マスター・ヴォリュームのみというシンプルなコントロール・レイアウトとなっている。その理由をYU-KIは“トーンがあることで余計な気を取られてしまったり、ステージ上で誤って動いてしまうのがイヤなので、音の大小だけにしました。それだけこのベースを信用してるってことですね”と語る。

――シンベに負けない音を作るために、録音方法にも何かこだわりはありますか?

 キャビネットからマイクで録る音と、ラインで録る音は変えています。マイクの音はメサ・ブギーのアンプ・ヘッドで作った音で、ラインの音はアンプをスルーしてサンズアンプ・クラシックで音を作り込んでいます。サンズアンプ・クラシックはふくよかなローが出るので、ちょっとドンシャリ気味に作りつつ、アンプはミッド感を強くしてオイシイ混ぜ具合にしていますね。

――さて、待望の新作をリリースしたわけですが、今後の目標などあれば教えてください。

 バンドとしてもっとワールドワイドなバンドになっていきたいですね。世界中のロック・シーン、もっと言えば音楽シーンの先頭でぶち抜けるようなバンドになりたいと思っています。

――ベーシスト個人としてはいかがですか?

 安直ですけど、カッコいい人になりたいです。NOISEMAKERのベースを聴いてベースを始める人がいるかどうかはわかりませんけど、そういった意味でのカッコよさはもっと追求していきたいなって思います。正直、俺自身めちゃくちゃテクいことをやっているベーシストを好きになったことはないので、そういう方向性ではなくて、ベースと俺とで存在感を作れるようなプレイヤーになりたいと思っています。

――昨今、どうしてもテクニカル系のプレイヤーが目立ちがちですが、違うベース・ヒーロー像を提示すると。

 例えばJさんとかレイジのティムって特別速弾きとかするわけじゃないけど、超カッコいいじゃないですか。そういう存在になりたいなって思うんですよ。というより俺らの音楽スタイルとして、彼らのようなプレイを目指すべきなんだろうなって思います。

――次作への準備はもう始まっているんですか?

 今はこの作品をどうやって多くの人に届けていくかを考えて実行している最中ですね。現代って消費が早い時代でもあるからこそ、できるだけ長く聴いてほしいなって思いもあるし、もっと一曲が大切にされてもいいのかなって思うんです。何ていうか音楽が即席のカップラーメンみたいな感覚になってるようにも感じるので、そうじゃなくてちゃんとダシからとったやつを味わってほしいなって思います。もちろんカップラーメンも美味いですけどね!(笑)

◎Profile
ゆーき●1986年4月4日生まれ、北海道出身。小学生でベースを始める。高校卒業後に音楽専門学校へと進み、そこで知り合ったAG(vo)とHIDE(g)が結成したNOISEMAKERに加入。バンドは1stアルバム『The 6 matters of the 6』でデビューし、ラウド・シーンを中心に精力的に活動を展開、幅広い層から人気を獲得する。2015年には4thミニ・アルバム『NEO』でメジャー・デビューを果たしている。国内の大型フェスの常連であり、2018年からはバンド主宰のフェス“KITAKAZE ROCK FES”も。2022年2月16日にEP『AXIS』をリリースした。

◎Information
NOISEMAKER
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YU-KI
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