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Interview – YUKKE [MUCC]

  • Interview:Kengo Nakamura
  • Photo:Seitaro Tanaka

“強い楽曲”を支え、あと押しし、先導する“強いベース”

ヘヴィロックとフォーク、歌謡曲を自己の核としつつも、時代の空気感も柔軟に取り込んだ振り幅の広い音楽性を提示してきたMUCC。2019年にリリースされた前作『壊れたピアノとリビングデッド』は、期間限定メンバーとして吉田トオル(k)を迎え入れ、全篇で鍵盤をフィーチャーした企画もの的コンセプト・アルバムであったが、オリジナル・フル・アルバムとしては約3年ぶりとなる新作『惡』は、今の彼らを存分に感じさせる生々しさがあり、メロディの立った“強い曲”が目白押し。全16曲というフル・ヴォリュームを一気に聴かせていく作品となった。ベースの主張も、これまで以上に明確に伝わってくる本作について、YUKKEに聞いた。

リーダーにやられる自分、ピンチを表現してます(笑)。

━━前作『壊れたピアノとリビングデッド』は明確なコンセプト・アルバムでしたが、本作『惡』にはどのように取り組んでいったのですか?

 前作の、ピアノ/オルガンをフィーチャーして、“リビング・デッド”“ホラー”っていうコンセプトからは離れて、何にも縛られていない感じでしたね。だから曲に関してもさまざまな曲が出てきたし。でも、それが“いつものMUCC”の感じではあるんですけど。

━━前作以前に発表されていた『時限爆弾』収録曲や、“デモ”として発表していた曲も入っていますし、収録曲のいくつかは“ライヴで育てた”という部分もあったりするんですか?

 「自己嫌惡」は特にそうですね。デモでリリースはしましたけど、ちゃんとした形にしたのはこのアルバムで。デモ・テープでは、よりシンプルな形だったんですけど、ライヴでやっていくうちに自然と変わってきたところもあって。構成や尺も変わったし、リズム・パターンも増えましたね。

━━今回収録された「自己嫌惡」は、間奏以前がシャッフルのリズムで、間奏以降はストレートなリズムになりますが、これはライヴが反映されているんですか?

 いや、このシャッフル部分に関しては、リーダー(ミヤ/g)がいつか音源でリリースすることを見据えて作っていた音源用の形なので、ライヴでシャッフルのリズムでやっていたわけではないんです。

━━ベースについては、シャッフル部分のサビはウォーキングなニュアンスで、ストレートなリズムの部分はシンプルに突き進む感じと、ただリズムのフィールを変えるだけではなくて、フレーズ自体を変えていますね? 

 デモで出してライヴでやっていたパターンが、自分のなかで一番シンプルなパターンなんですね。そこにちゃんとフレージングをつけたのが、今回の音源バージョンだったりするので、“デモと本チャン”っていう差別化はできたかなとは思っています。この曲ってライヴでは、ただ聴かせるだけじゃなくて、魅せる要素も強くなってきた曲なんです。表情の演技だったり、途中で寸劇みたいなものが始まったり(笑)。そっちに頭を寄せていきたい曲でもあったので、シンプルなパートはシンプルなままにしておきたい自分もいましたね。だから、後半のストレートなリズムのところはシンプルなままなんです。

━━間奏の歪みまくったベースは、フレーズになっているような、なっていないようなプレイですが、“ベース・ソロ”という認識?

 いや、全然。フレーズになってないですもん(笑)。あそこがさっきも言った、ライヴでの寸劇みたいなパートなんですよ。リーダーがギターで人を刺しまくるところ。なので、リーダーにやられる自分、ピンチを表現してます(笑)。ピンチっていうと超ハイポジな感じがするので、普段弾かないフレットのあたりで適当なことをやって、ヤバさを表現しています。あの歪みはCOMMUNEのSENTURION CRAZY BOOSTERですね。

左から、SATOち(d)、YUKKE、逹瑯(vo)、ミヤ(g)。
『惡』
朱/MSHN-077~8
(初回生産限定盤CD+DVD)
・特製スリーブケース仕様
『惡』
朱/MSHN-079
(通常盤CD ONLY)
MUCC『惡』全曲Trailer

━━初回プレス盤に付属のエムカードでダウンロードできる「例えば僕が居なかったら」は、YUKKEさんの作詞作曲ですね。エレピもおしゃれなポップスですが、これはどういう流れでできた曲ですか?

 これは、昨年の各メンバーの誕生日ライヴのときに、それぞれが作詞作曲した曲をシングルで限定発売するという企画があって、それ用に作った曲ですね。5、6曲デモを作ったんですけど、その最後にできた曲でした。順番的に自分が一番最後だったので、ほかのメンバーの曲の色やタイプも考えて、自分だったらこういうパターンもあるよなと。俺のなかでのオシャレな感じでは持って行ったんですけど、メンバーにアレンジをしてもらって吉田トオル(k)さんに弾いてもらって、さらにオシャレにブラッシュアップされましたね。

━━ベースもR&B的な雰囲気が漂っています。

 これまでもMUCCはファンクノリの曲ってやってきたし、その延長にある曲としてのフレーズでしたかね。わりとシンプルだと思うんですけど。普段、R&Bとかをそんなに聴いたりするわけではないですけど、いろんなポップスのバックって、そういうビートやリズムになっていることが多いじゃないですか。アイドルの曲を聴いていても、実は演奏しているのは黒人のファンクのベーシストだったりもするし。そういう意味では、こういったプレイも、自然と聴いていたりはしているんでしょうね。

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