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Interview – AKi

  • Interview:Kengo Nakamura
  • Photo:Shun Uehara

自身のスタイルをブラッシュアップし続けた2ndソロ・アルバム

4人組ロック・バンド、シドのベーシストである明希。2015年から“AKi”としてソロ活動も展開している彼が、1stアルバムから実に5年5ヵ月ぶりとなるフル・アルバム『Collapsed Land』をダウンロード配信限定でリリースした。シドにおいては、自身が手がける楽曲としてメロディアスなポップ・ソングからアグレッシブなロックまで多彩な作風を聴かせているが、ソロではより自身のコアに迫った“ハードロック”な楽曲を軸に、ライヴ映えのする楽曲を展開。ベースも、5弦ベースを生かした重量感のあるプレイでボトムを支えつつ、楽曲によってはオルタナチックな和音プレイやドライブ感のあるベース・ソロも挿入するなど、ベーシストのソロ・アルバムらしい側面が頼もしい。まさにファン待望となったその最新作について聞いた。

イントロは“楽器のサビ”という気がしていますね。

━━1stアルバム『ARISE』から5年半という時間が経っていますが、シドでの活動もありますし、“気づいたら”という感じですか?

 まさにそのとおりですね。活動は継続的に続いているんですけど、主軸とはまた違うところで動いているプロジェクトだったりするので、時間軸っていうのはあまり気にしていなくて。アルバムは5年半ぶりですけど、楽曲はツアーごとに少なくとも1曲以上は必ず作ってライヴをやってきましたし。

━━2ndアルバムの内容についての構想もそんなになかった?

 ライヴやツアーごとに曲を出していくにあたって、どこかでそれらをちゃんとまとめないとなっていうのはあったんですよ。ただ、その出したものを単純にまとめただけだと、“アルバム”と呼べるものではなくなってしまう気がしたんです。せめて半分以上は新曲があって、そこにライヴで主戦力となっているものをまとめたら、“アルバム”としてみんなが聴きやすいかなと。充分に新しい自分も感じてもらえますし。それで、ここらへんでアルバムを出してもいいかなと思ったんですね。

『Collapsed Land』
Danger Crue Records
DCCA-1030

━━アルバム曲はいつ頃書いたものですか?

 今年に入ってすぐくらいですかね。シドの“承認欲求ツアー”の振替公演が終わってすぐか同時進行で。それで、2月の終わりから3月にかけてバ~っと録って。作詞も進めながら歌録りもしながらっていう感じでしたね。“アルバム”ということを考えながら作ったので、“この曲はアルバムのこのくらいの位置かな”とか“こういう曲が増えてきたから、次はこういう曲を書こう”という切り口で書いた曲もあります。そのなかで、実はアルバムに入れていない曲も1、2曲あるんですよ。今回のアルバムには入れなくてもいいかなって。

AKi『Collapsed Land』 -Trailer-

━━ソロでは5弦ベースをメインに使用していますが、それは作曲面で影響がありますか?

 ありますね。ベースのフレーズが変わると、いろんなメロディも変わってくるので。シドだと、レギュラーや半音下げのチューニングが多いので、Eより下がそんなに鳴らない。でも、5弦ベースだとそういった下の音階が広がるし、そうするとフレーズが新しい感じになるというか。もちろんソロでも4弦の曲はありますけどね。

━━「STORY」は疾走するロー・チューニング・ベースといった感じで、ラストのサビで動きをつける部分も、低域でウネりをあげる感じになっています。

 この曲はまさにローBを生かした感じで、わりとギターの塊の一部になっているベースというイメージでした。フレーズの合間を縫って動くというよりは、ある種、みんな団子になって刻んでいく感じ。

━━逆に「Monolith」は、サビで浮かび上がってくるベースのグリスのウネりが気持ちよくグルーヴを作っている印象です。

 この曲はフレーズを入れるには充分な隙間があったので、オクターヴ上へのグリスとかシンプルにいってますね。あとは言い方は語弊があるけど、ベースが歌の邪魔をしてもいいかなと思っているところもあって。引き算という形は美しいと思うんですけど、逆に飽和するのもいいなって瞬間が、曲によってあると思うんですよ。だから、ソロではシドのときほどは歌のことを意識していないかもしれない。シドの場合は、歌、メロディ、歌詞をちゃんと伝えるという4人で作り上げる世界観が“シド”だって思っているので。もちろんシドでも、飽和する瞬間はあるんですけどね。

━━「Monolith」はイントロからグイグイとベースも主張しています。

 イントロって、ある種のサビだと思っていて。やっぱり曲の最初に来る部分が、歌でいうサビと同じくらい良くないと、そのあとを聴いてもらえない。イントロがカッコよくないとアガらないし、そういう意味では、イントロは“楽器のサビ”という気がしていますね。

━━ライヴ映えのするロック・チューンが核にあるなかで、打ち込みのリズムでアンビエント感のあるエレクトロな「Diminish」は新鮮ですね。メロディの感じも今までとは違う気がします。

 この曲は、今の肌感の音楽というか、例えば、ハイブランド・ファッションのお店のBGMで流れているような、バンド・サウンドとは全然違う、わりとカチカチして隙間のある音像でリズムが延々ループしているような音楽ってあるじゃないですか。「Diminish」の場合は途中からギターとベースが入ってくるんですけど、そこまでの世界観って、そういう感じ、しません?(笑)

━━海外の最先端系の音楽というか。

 そういう風に聴こえていたらいいなって。こういうバランス感の音楽もキライじゃないですしね。ただ、最後までそういうオケを流して僕がカラオケをしても意味がわからないので(笑)、途中からギターとベースを入れて“バンド”を混ぜたんですよ。

━━ベースの音色もピッキングのニュアンスが出ていて、全体的なエレクトロな質感のなかに生感が生まれていますよね。

 そうですね。これは確かアンプの歪みだけで作ったかな。EQかまして何をかましてじゃなく、ほぼ直で録ったと思います。ドラムが打ち込みで薄々だから、あんまりローを出してもしょうがないし、頼り甲斐のあるローじゃなくて、中音がブリッとした感じ。イメージは、ボロボロのアンプにプレベをブスッと突っ込んだ音というか。何気なくアンプにベースをつないで適当に弾いたら、なんか気持ちいい音が出るときってあるじゃないですか。その感じですね。

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