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Interview – 日向秀和[Nothing’s Carved In Stone]

  • Interview:Takahisa Kondoh

進化したサウンドスケープで体現する、
ナッシングスの未来形。

新型コロナウィルスの影響で、数々のアーティストがライヴやツアーの延期を余儀なくされているなか、Nothing’s Carved In Stone(以下ナッシングス)は着々と作品作りを進めていたようだ。彼らは今年3月に配信シングル「NEW HORIZON」を発表。さらに6月には、同じく配信にてシングル「Dream in the Dark」をリリースした。今回は、日向秀和にシングル2曲のベース・プレイについて、そして近況について話を聞いた。

手数というよりも、
曲の雰囲気で攻めています。

──今現在(取材は2020年5月下旬、オンラインで行なわれた)、新型コロナウィルスの影響でライヴなどの興行を行なうことができませんが、日向さん自身の活動としては、無観客ライヴ配信“HH&MM(日向秀和×松下マサナオ)Free Session Live vol.2”などを行なっていましたよね。ライヴ配信という形態、やってみてどう感じましたか?

 すごく新鮮だし、テンションが上がりますね。コメントをリアルタイムで見ることができるから、“カッコいい!”っていうコメントがあると燃えてくる(笑)。普段のライヴだと、みんなが喜んでいるのは感じるんだけど、個々で話している内容まではわからないじゃないですか。でも、ライヴ配信だと、言ってることが全部伝わっちゃうっていう。

──なるほど。そのほかの活動としては、レコーディングなどをやっていたっていう感じですか?

 そうですね。今みたいな時代に突入する前から、今回のデモ作りなどは始めていて。6月に音源を出そうっていう話はしていたんで、想定内の動きではあったんですけどね。

──まずは今年3月にシングル「NEW HORIZON」を配信にてリリースしましたね。この曲はどのようにして生まれたんですか?

 この曲については僕がデモを作ったんですけど、作ったのは去年(2019年)の秋頃でしたね。で、まずはプリプロに入ろうっていう話になって。そのプリプロもわりと急なスケジュールだったんですけど、レコーディング前にウブ(生形真一/g)と僕でやり取りして、デモの精度を高めたうえで一気にレコーディングしました。

──どういったモチーフで曲を作ったんでしょう?

 デモを作るにあたっては、完全にノリで作っていましたね。その場で思い当たるフレーズを考えたり、ギターを手にして、そこで思い浮かぶようなものを入れたりして。実はデモ録りの当日までは完全には形になっていなくて、スタジオに入ってから、フレーズが降ってくるって感じでした。

──この「NEW HORIZON」は、音数の減らし方やサウンドのアプローチが洋楽っぽいっていうか、まさに今の時代の音だと思いました。

 そうそう。基本的には、バンドのサウンドのクオリティをアップデートするっていう感じはありましたね。あえて言うと、サビは白玉のシンベを使っていたりとか、手数というよりも曲の雰囲気を重視していて、そういうところで攻めています。

──バンド全体を見渡すなかで、アレンジについてはどのように考えていましたか? Aメロでたまにプルが入るフレーズのニュアンスがおもしろいですよね。

 やはり、今の洋楽のイメージに寄せていきたかったんですよね。そのなかで“サンプリングしたベース音”みたいなものを実際のプレイで再現したんです。例えば、不自然な符割で急にプルが入るとグッとくるみたいな。そういうことをあえてやっていこうと思ったんです。

──地を這うような低音も鳴っていますよね。

 シンベを重ねて入れています。シンベを鳴らしつつ、ベースを弾いて重ねているんですけど、そちらはサンプリングしたようなフレーズを弾いていて。それらを同時に出して、“今風”を演じています(笑)。

──シンベを混ぜるのは、最近の洋楽でもよく聴かれる手法ですよね。音作りはどのように?

 実際にベースを弾いたプレイもあるけど、そのトラックを差し替えてプログラマーにシンベで再現してもらったりもしています。「NEW HORIZON」では、pandaMidi SolutionsのFuture Impact I.(ベース・シンセサイザー)を使って弾きました。

──それによって、アンサンブルの重心がグッと低くなりますよね。

 ちゃんと底辺にローが鳴ってると“今っぽい”ですよね。僕のベースの音はもともと低域を少なくしているので、今回、初めてシンベと同時出しっていう手法を取り入れることで、すごくおもしろかったです。過去にもやったことはありましたけど、ここまで顕著に出しているのは初めてなんじゃないかな。

──それが曲のイメージに大きな影響を与えていると思いました。

 今のナッシングスの指向はそこなんですよね。もちろん、今後、急に超生っぽいサウンドになるかもしれないけど、今はこの感じがしっくりきてます。そうやって、みんなでひたすら何かを超えようとしていますよ。新しいものを常に求めているっていうか。

──そのベースの重低音がポイントである一方、サビでは広がりのある壮大なサウンドになりますね。

 そうそう。きたー!みたいな(笑)。そこにカタルシスを持っていきましたね。しかも、“ギターの歪みを足す”とかじゃない方法論で場面を変えていくっていうのがポイントなんです。あと、先ほども言ったように、この曲に関してはベースを重ねて、ステレオで振り分けて鳴らしているので、そういう意味での音の広がりが今っぽいのかな。実際、ベースをLチャンネルとRチャンネルで分けて録ると、今っぽくなりますね。逆に、ギターをステレオにすると古臭くなるんですよ。あえて“古臭いのをアップデートする”っていうテーマだったら、ギター・サウンドで音の壁を作るのもおもしろいと思うんですけどね。

左から大喜多崇規(d)、村松拓(vo,g)、生形真一(g)、日向。
NEW HORIZON
Digital Single
Dream in the Dark
Digital Single

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