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Interview – 楢﨑誠[Official髭男dism]

  • Interview:Zine Hagihara
  • Photo:Ayumu Hashimoto

レコーディングに持って行って拒否されたら泣きます(笑)

――これまでは自分たちで編曲するパターンと、編曲家を迎えて共同制作する形もありました。今作に関しては自分たちで編曲するパターンでしたね。

 今作は自分たちだけで詰めたいというテンションでした。外部の方を入れる場合は、あまり時間をかけずに最短距離を走るような印象なんですけど、今回はわりとひとつひとつのタイアップ案件に対して内容を詰められる時間があったので、自分たちが経験として蓄えたものを今度はどんな感じで、どんな音を出したいのか、それを試しながら練っていきましたね。

――「HELLO」のイントロはシンベだと思うんですが、シンベは冒頭部分のみ登場しますよね?

 はい、そのあとは全部エレベですね。イントロで一発伸ばして鳴らしてみたんですよ。でも“これじゃないな”って。音が減衰してしまいますし。試してみてどっちがグッときたかを決めていくんですが、(藤原)聡(vo,p)のデモにもベースがあって、それに対するアプローチをひとつひとつ試してみます。そのなかでどの楽器を使うかも考えていって、この曲ではイントロの部分に関してはシンベが一番ハマったんですよね。まあ、音源ではこれが一番ハマったものの、ライヴでは場面によってはエレベで弾くのもありかな、と。

――その後のエレベはシンベに負けないぐらいの極太サウンドでかなりこだわりを感じましたし、「パラボラ」でのエレキ・ベースでも同じことを感じました。

 実はですね、1963年製のジャズ・ベースをゲットしまして、エンジニアさんにもいい楽器だなって評判の代物なんです。知り合いのベーシストが持っていたもので、ギラッとしたジャズベ感もありながら下の帯域がかなり太くて。プレベっぽさもある感じなのかな。61、62年製らへんのように枯れきった感じは少なくて、新しいジャズベみたいなハイの出方がするものをずっと探していたんですよ。そしたらこのベースに出会いました。

――状態はどうでしたか?

 かなりコンディションもよくて、かなりテンションが上がりましたよ。このベースをレコーディングに持って行って拒否されるようなことがあったら泣きます(笑)。一番自信があるベースですね。ハイもバキッと出るし、ローは鬼太い。今回の曲を聴いていただければわかると思います。

――今作は全体をとおして派手すぎないフレージングで、非常に機能的なアプローチをしているだけに、このベースのサウンドも際立っているのでしょうか。

 それはエンジニアさんとも話していて、“これは良い楽器だから、このサウンドを生かせるミキシングにしていこう”と。

「HELLO」「パラボラ」で使用された1963年製のフェンダー・ジャズ・ベース。miwaや関ジャニ∞などに参加するベーシストの宮本將行から購入したもの。コンディションもよく、パーツ類はオリジナルが全て残っている。

――「パラボラ」は歌メロに対するオブリが絶妙の近づき方で、見事なバランス感覚だと感じました。

 聡も共通認識でしたけど、単純なバンド・サウンドで攻めると聴いたことがある曲になってしまうな、と。それが怖いので何か組み合わせはないかと、まずはドラムを打ち込みで作りました。で、ギターもわりとシンプルなプレイが続いたので、ベースはオブリガードとしての立ち位置にいたほうがいいなという感覚になって、だからAメロやサビに関しては合間を縫うようにベースでメロディのアプローチをしています。

――Bメロでは大きく隙間を作って、合間の空ピッキングも強めにすることでノリが出ていて、Aメロやサビとでは違ったアプローチになっていますね。

 Bメロに関しては聡の希望だったんですよ。ゴーストノートで空間を作って、空ピッキングを使ってグルーヴを思いっきり変えてっていうのが僕らしいイメージらしくて、そのニュアンスで弾いてほしいと言われました。得意分野なのでスルッとできましたね。サビに行く前に一度グルーヴをガラッと変えたかったと思うんです。だからこそけっこう大げさに空ピッキングして、思い切りリズムを変えるイメージで弾いています。でもこれはみんなで話し合った結果ですね。僕だけの意見ではありません。

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