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INTERVIEW – ジョシュ・スミス[ヘイルストーム]

  • Question:Koji Kano
  • Translation:Tommy Morley
  • Photo:Jimmy Fontaine

俺はそのベースが得意とする使い方を探す“旅”を楽しみながら、
プレイしていきたいんだ。

――今作の録音で使用したベースを教えてください。  

 まずは前作と同様、ニックが所有している1970年代製のナチュラル・フィニッシュのプレシジョン・ベース。このベースは今まで弾いてきたなかで最もヘヴィなサウンドだ。自分のベースも持って行ったけど、このサウンドにはまったく歯が立たなかったよ(笑)。指板上にデッド・スポットがなくて、どの音も物語を伝えてくれるような説得力がある。ニックはゲディ・リー・モデルのジャズ・ベースも所有しているんだけど、このベースは特に何か改造を施しているわけじゃないのに、何でもできてしまうベース。俺はプレシジョン・ベースが好きだけど、昔はジャズ・ベースを弾いていたから、ジャズ・ベースをプレイするとノスタルジックな気分になるんだ(笑)。今作のレコーディングの4分の3はこのジャズ・ベースを使ったんじゃないかな。

――あなたは主にプレシジョン・ベースやサンダーバード、リッケンバッカーなど、パッシヴ・ベースを使いますね。ハードロックはダウン・チューニングなゆえ、アクティヴ・ベースを使うプレイヤーも多いですが、これらのベースを使うことにこだわりがあるのでしょうか?

 ヘイルストームに参加した当初は、アーニーボール・ミュージックマンのスティングレイの5弦ベースを使っていたけど、それ以降に集めてきたベースはパッシヴばかりだったね。特にリッケンバッカーを手に入れて以降はずっとパッシヴをプレイし続けている気がするよ。俺は個性的なサウンドのベースを手に取りがちで、それをどういったところで使えば最も魅力を引き出せるのかを考えているんだ。どのベースにも向いているチューニングや曲があって、それを探すことを楽しんでいるんだよ(笑)。1962年製モデルのリイシュー・プレシジョン・ベースはジェームス・ジェマーソンといった昔のソウル・ベーシストの影響で手に入れた一本で、どうしてかわからないけど、これはドロップBにチューニングしたときにとても素晴らしいサウンドが得られるんだ。アクティヴはベース本体でサウンドのキャラクターをコントロールできるから、自分の出したいサウンドを作りやすい利点もある。でも俺はそのベースが得意とする使い方を探す“旅”を楽しみながら、プレイしていきたいんだ。

――ツールとしてサウンド面にフォーカスしつつ、ベースを選んできたようですね。ジェームス・ジェマーソンの名前も挙がりましたが、フェイバリット・ベーシストたちの影響を受けてベースを選ぶことはありましたか? 例えばリッケンバッカーはレミー・キルミスターやクリス・スクワイアといったハードロック勢、そしてポール・マッカートニーも後期ビートルズのサウンドの要としていました。サンダーバードならニッキー・シックスやトム・ピーターソンも有名ですよね。

 おもしろい指摘だね。今挙げてくれた人たちがきっかけでこれらのベースを選んだわけじゃないけど、彼らはみんな俺に影響を与えてくれたよ。リッケンバッカーやサンダーバードはルックス/サウンドがクールだから選んだんだけど、同時にクールなルックスのベースにはユニークなトーン・キャラクターがあることにも気づいた。サンダーバードは2年前にピックアップをセイモア・ダンカンのものに換えたことで、もっとクールなサウンドになったよ。意図的ではないけど、サウンド・テイストがいつの間にか影響を受けたものに近付き、結果的に彼らと同じ楽器を選んでしまっていた、というのが正しいのかもね(笑)。

――さて、ヘイルストームは長年USハードロックのトップを走り続けています。トップランナーとして昨今のハードロック・シーンをどのように捉えていますか?

 これまでアルバムを出してきたなかで、“ハードロック”のカテゴリーとして気に入っているアルバムは何枚もある。だからハードロック・バンドとしてツアーに戻って、フェスに再び出られていることに本当に興奮しているんだ。こうやって長年やり続けられていることを嬉しく思うし、その陰には並々ならぬ努力もあった。幸運にも多くの人たちのサポートがあってやり続けることができたし、俺は最高のロックンロール・シンガー、ギタリスト、ドラマー、信じている仲間たちとバンドを組むことができた。最新のツアーはストーン・テンプル・パイロッツとまわることになっていて、かつてのバンド仲間たちも健在だね。ゴーストの新アルバムはヘヴィローテーションで聴いているし、ロックの素晴らしい時代が再びやってきていると感じるよ。素晴らしいバンドがたくさんいるし、ツアーのどこかで彼らと遭遇できたら嬉しいね。

――ヘイルストームは今年バンド結成25年を迎えました。今後バンドとして、どのような野望・目標を描いているか教えてください。

 この列車をこれからも走り続けさせるってことだね。俺たちは毎晩、夢の世界を生きるかのごとくプレイし続けてきた。パンデミックを経て強く思ったのは、これが自分のやりたいことであり、大切なことだということ。このパンデミックは俺たちの生活に大きな穴を空けたし、ファンにとってもライヴを観に行けないっていうのは同じくらい苦痛だったことだろう。だからバンドとしてギアを入れ直したし、こうやって再びプレイできることがどれだけ恵まれたことなのかを再認識したんだ。これからもいろいろなことにトライし続けながらオーディエンスの前でプレイしたいと思っているよ。パンデミックが明けてからのライヴには特別なものを感じるし、音楽には特別な“言語”としての力があるってバンドでも話し合っていたんだ。

――最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。来日公演も心待ちにしています!

 いつも本当にありがとう。俺たちは日本でプレイすることを楽しみにしているし、旅をして世界のさまざまな場所を知ることも楽しんでいるんだ。そして君たちなしではこれらの楽しみは得られないこともわかっているから、心の底から感謝を伝えたい。最後にそっちに訪れてからあまりにも長い時間が経過してしまったね。またみんなと同じ時間を共有したいと思っているよ!

◎Profile
じょしゅ・すみす●1997年、アメリカ・ペンシルベニア州レッド・ライオンにて、リジー・ヘイル(vo,g)とアージェイ・ヘイル(d)のヘイル姉弟を中心に結成されたヘイルストームに2004年に加入。これまでに5枚のオリジナル・アルバムをリリースし、重厚なハードロック・サウンドで世界中から支持を集め、USハードロックの“正統的後継者”としてシーンを牽引し続けている。2022年5月6日に約4年ぶりの5thアルバム『BACK FROM THE DEAD』をドロップした。

◎Information
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