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    INTERVIEW – 藤原美咲[そこに鳴る]

    • Interview:Koji Kano

    スマホのスピーカーとか、日常生活のなかで耳にしても
    インパクトを与えられるようなサウンドを狙いました。

    ━━今作『超越』のリード曲にもなっている1曲目「Lament moment」からバンドのらしさ”が全開ですね。イントロの歪んだベース・ソロのインパクトは絶大です。

     あのベース・ソロはガツガツと力強くピッキングすることを意識しました。音のイメージとしては、スマホのスピーカーとかカー・オーディオとか、そういった日常生活のなかで耳にしてもインパクトを与えられるようなサウンドを狙いました。

    ━━“カー・オーディオで聴いてもインパクトのある音”とは具体的にどういったサウンドでしょうか?

     正直、ベースの低音って意識しないと聴き取りにくい音だと思うんです。でもそのなかで、ぼーっと聴いていても無意識に耳にガンッと入ってくる音というか、誰にでもはっきりと聴き取ってもらえる音をイメージしました。

    ━━この曲からもわかるバンドの特徴として、ドラムの手数が異常です(笑)。ブラスト・ビートのようなドラム・プレイもあるなかで、ドラムのアタックと粒を揃えるのは大変な苦労なのでは?

     はい、めちゃめちゃ大変です(笑)。今作だとBPM300の6連符とかもあったりして……。ライヴだと特に難しいので、とにかくスタジオで何度も繰り返し練習して慣れるという感じです。ただ、今まではドラムだけがクリックを聴いてそこにギターとベースが合わせる形でやっていたのですが、先日初めて私たちもイヤモニを使ってみたところすごくやりやすかったので、今後正式に導入するかもしれません。

    ━━「complicated system -new system」のイントロや間奏でのベースはファズのような強烈な歪みが聴けます。どのようなサウンドをイメージしましたか?

     “ギターと張り合える音色”です。というのも、この曲はギターとベースの掛け合いのフレーズやツイン・リードでソロを弾いたりと、楽器同士のぶつかり合いが特徴的なので、ベース単体というより弦楽器同士で旋律を奏でているイメージなんです。簡単に言えば“ギターとベースのバトル感”みたいなものを表現したいと思ってサウンドメイクしました。ちなみにこの部分は鈴木くんからギター用の歪みエフェクターを借りて合計4つのエフェクターを同時に使用しています。

    ━━4つ同時は凄いですね(笑)。ただライヴでのサウンドの再現が難しそうです。

     そうなんです。ただ、ライヴでは音源のサウンドそのものを再現するわけではなくて、近いサウンドを狙って音作りしていますね。例えばこの曲であれば、サンズアンプをかけたまま、ボスのODB-3とNoah’s arkのGREENを同時に使うと音源にかなり近い音になるので、ライヴではこの音で演奏しています。

    ━━「天秤の上で」は藤原さんがメイン・ヴォーカルですね。ただ、楽曲の展開含めプレイは容赦ない。これを歌いながら弾けるのがすごい!

     この曲はまだスタジオで合わせていない曲なので、これからどうしようかなと思っているんですよ。ライヴでは歌も音源以上にしっかりと表現できるように練習していきたいです。ただこの曲はディレイを使ったりと音色も多彩で、エフェクターの切り替えも多いのでいろいろと慣れは必要ですね。

    ━━結成当初から歌いながらテクニカルなフレーズを弾く、というのは訓練されてきたのでしょうか?

     そうですね。特に自分がメイン・ヴォーカルの曲だと、ゆっくりのテンポから始めてどんどん速くしていく練習だったり、テレビを観ながら弾いてみたりを繰り返し行なって、体にフレーズを染み込ませるようにしていますね。その結果、無意識でも弾けるくらいのイメージになるまでひたすら練習しています。

    ━━「極限は刹那」は今作で最も速いBPMだと思いますが、そのなかでAメロでの指板を動き回るフレーズ、Bメロの3拍子でリズムをキープしたプレイ、そしてサビでの疾走感あふれるルート弾き、というフレーズの切り替えが見事です。

     この曲がさっき言ったBPM300の曲なんです。鈴木くんの使っているCubaseはBPMの上限が300らしいのですが、“一番速くしてみた”と言っていました。レコーディングのときはただ必死にこの“300”という数字に向き合いましたね……。ベース・プレイとしては基本オルタネイトでピッキングしつつ、サビとかは部分的にダウンにしてみたりと、メリハリのあるプレイを意識しました。スタジオで初めて演奏した日は腕がパンパンになったので、こういった速いテンポの曲でもできる限り脱力して弾けるようになりたいです。

    M6.極限は刹那Music Video

    ━━「white for」は2Aでのベースの和音が印象的で、楽曲に深みを与えていますね。

     この和音の部分は柔らかいサウンドを出すために指で弾いています。音作りは、サンズアンプをかけつつも極力歪みの成分が前面に出ないように設定して、アンプでローを持ち上げてナチュラルに聴けるサウンドにしています。

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