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Interview – 藤原美咲[そこに鳴る]

  • Interview:Koji Kano

まさに圧巻のサウンドとテクニック。
その情報量は想像を超える。

圧倒的なバンド・アンサンブルに目まぐるしく表情を変える曲展開。驚異的な情報量が詰め込まれた楽曲を3ピースという最小人数で鳴らすバンドが“そこに鳴る”だ。10月7日にリリースされたバンド初のフル・アルバム『超越』はそのタイトルが示すとおり、これまでのギター・ロックの概念をぶち壊すかのような想像のはるか上を行く衝撃的な一枚に仕上がっている。ベーシストの藤原美咲は極太の歪みサウンドで、随所にテクニカルかつ繊細なベース・プレイを展開し、無二の存在感を示している。このハイ・テクニカルなバンド・アンサンブルのなかで藤原はベーシストとして何を考え、今作にどのような思いで向き合ったのか。それを探るとともに楽曲制作の裏側も語ってもらった。

無意識に耳にガンッと入ってくる音をイメージしました。

━━これまでに5枚のミニ・アルバムを発表してきましたが、今作『超越』が初のフル・アルバムとなります。バンドとしてもデビューから“5年”ということもあり、ある意味これまでを総括する意味もあったのでしょうか?

 バンドとしてフル・アルバムをリリースするタイミングをずっと模索していたんです。そのなかでワンマン公演や全国ツアーなどを経てバンドの方向性が固まっていくなかで、“今だ!”となったのが今回のタイミングで。これまでを総括したというよりは、それがたまたま5年だったということですね。

━━近年はヨーロッパ・ツアーや台湾の大型フェスへの出演など、海外での活動も目立ちますね。

 海外公演の機会は増えましたね。ヨーロッパ・ツアーのきっかけとしては、ドイツのプロモーターの方から直接連絡をいただいてツアーのお誘いを受けたんです。いろいろと詳しい話を聞いてみたらおもしろそうだなと。それでツアーを回らせていただくことになりました。

━━ヨーロッパ・ツアーを回ってみていかがでしたか?

 海外のライヴはお客さんの反応だったり、ライヴそのものへの考え方が日本とは全然違っていて新鮮でした。日本だと“ライヴハウスはライヴを観る場所”という認識の方がほとんどだと思うんですけど、海外だとライヴハウスにたまたまお酒を飲みに来たら、そこでライヴをやっていた、みたいな捉え方のお客さんが多くて文化の違いも感じましたね。

━━それはおもしろいですね! では、そこに鳴るの音楽が海外で評価されている要因はなんだと思いますか?

 どういうとこなんやろ……(笑)。私が思うのは、私たちの特徴としてよく挙げられる“3ピースでテクニカルなギター・ロック・サウンド”というのは、世界的に見てもあまり多くないのかなと思うので、そういったところが受けているのかもしれないですね。例えばライヴでタッピングしながら歌う部分とかは、お客さんはみんなびっくりしたような反応をしてくれたりと、オーディエンスの反応はそういった部分でも違いを感じますね。

左から藤原美咲(b, vo)、鈴木重厚(g, vo)
『超越』
KOGA RECORDS/KOGA-222 

━━そこに鳴るの特徴として、劇的に変わる展開をはじめ、もはや変拍子の向こう側に行っているかのような、超絶テクの嵐が挙げられます。曲作りはどのように行なっているのですか?

 曲作りは鈴木(重厚/ g, vo)くんから、各パートのアレンジまで終わった状態のデモをもらって、各自それをコピーしながら自分のプレイに落とし込んでいく流れです。例えばドラムであれば、物理的に人間が叩けないようなフレーズが入っていたりするので、それを人間が演奏できるように落とし込んだりしますね。ベース・ラインはギターで1オクターヴ下で弾いたものが入っているので、ベースでも“こんなんどうやって弾くん!?”と言いたくなるフレーズもなかにはありますが、気合いで弾いています。

━━それは大変そうですね(笑)。藤原さんはベースではあまり入れないような、タッピングなどのテクニカルなプレイが印象的です。

 あらかじめそういったテクニカルなフレーズがデモに入っているので、それを表現するためにひたすら練習しています。ちなみに今作『超越』では、ほぼすべての曲でタッピングを入れています。タッピングはそこに鳴るを始めるまでやったことがなかったので、YouTubeなどを観ながら必死に練習しました。

━━プレイだけでなく、複数の歪みを使い分けたり、空間系の音色を使用したりとサウンドの幅も広いですね。

 ベースの音色に関しても、鈴木くんから渡されたデモの段階でいろいろな音色が入っているので、それを自分のサウンドに置き替えるイメージで音作りをしています。彼はギタリストの目線でベースの音色を考えているからこそ、こういったおもしろいサウンドの発想になるのかなと思います。

━━なるほど。そうなるとレコーディングの際など、音色の調整が大変そうですね。

 レコーディングはすべて宅録でベース・ラインを録ったあとに、レコーディング・スタジオでエフェクターをいじりながらリアンプで録っているんです。それもあって、フレーズごとに音色を変えたり、それぞれのフレーズに合った設定ができるんですよ。リアンプだとそういった細かい音作りができるのがいいですね!

M1.「Lament moment」Music Video

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