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    INTERVIEW – MASAKI [DAIDA LAIDA]

    • Interview:Kengo Nakamura

    楽曲自体の作り方はもちろん、
    ベース・ラインでもクリエイティブなことを考えていく

    ━━楽曲に話が戻りますが、MASAKIさん作曲の「燎(かがりび)」はエンディングに強烈なユニゾンはありますが全体的にシンプルにまとまった曲ですね。

     これはけっこう80’sを意識したメロディアス・ハードロックな楽曲ですね。ソロは“十手奏法”で、“ウィーンウィーン”っていうサウンドを人工的に作っています。

    ━━人間が喋っているようなアーム奏法のような、不思議な音色ですね。

     金属の棒を弦にこすりつけてすべらせて動かしているだけで、アームは加えていないんですよ。音色自体も、そのほかのソロの音とはそんなに変えていないので、まさに“十手”の効果ですよね(笑)。

    ━━本作はギタリストがKENTAROさんに代わってからは2作目のアルバムとなります。前任者の白田(一秀)さんが“プレイヤー”に専念するタイプのギタリストだったのに対して、KENTAROさんは作曲面での貢献も大きいとのことですが、自分以外の人が作曲した楽曲へのベース・アプローチはDAIDA LAIDAではどのようにしているんですか?

     僕の作曲方法が完全に全部打ち込んで構築しちゃうもので、ギターもドラムもベースも何もかもが一旦MIDIになるんですけど、KENTAROくんはわりと僕のやり方に合わせてくれていて。だから彼のデモに入っているベースはMIDIがちゃんとあるんですけど、それを踏まえつつ自分の色を出していきます。今回KENTAROくんが作ってくれたインスト曲は“こことここにベース・ソロを入れてほしい”くらいの要望だったので、そこは信頼がなせる技でやっていますね。逆にNoBさんは全然MIDIに残さないタイプで、すごく感覚的に重ねて録っていくんです。なんならちょっとキー高すぎたからとか言って勝手にチェンジしたり、テンポも“1/4だけ下げたい!”とかがあって(笑)。今回も「哀(あい)」でありましたね。普通テンポって120、121、122……っていう風に1刻みじゃないですか。それを0.5下げる(笑)。そういうなかで色を加えていく感じなんですけど、僕はどんなパターンにも対応できるし、自分らしさは出していけますね。

    ━━KENTAROさん作曲の「雫(しずく)」のギター・ソロのうしろはスラップで、楽曲のなかでもここだけアプローチを変えていますよね。

     そうですね、こういった部分は全部自分発信のプレイです。ここは色付けとしてそういうものが欲しかった。

    『雫(しずく)』DAIDA LAIDA

    ━━同じく「楔(くさび)」の1番のAメロはローC弦のルート弾きで重厚な感じなのに対して、2番のAメロはちょっとファンキーなノリの休符を生かしたフレーズに変化させていますね。

     1番はわりとおとなしめにボトムに徹していて、2番は16分感のあるフレーズですね。同じ楽曲のなかでも1番、2番でアプローチを変えて終わりに向かって盛り上がっていくような工夫はしています。もちろん歌ありきのメロディ重視ではあるんですけど、DAIDA LAIDAらしさって何かって言ったら、やっぱり我々の熟練のテクニックもポイントだと思うんです。でもそれの発表会みたいな感じにはせず、うまく楽曲と調和を取りながら見せていくことを意識してますね。

    ━━DAIDA LAIDAはそのバランスが非常に良いですよね。ルートで重厚に支える場面もあれば、まさに“ギター殺し!”みたいな場面もある。「楔(くさび)」の最後のサビの後半でグッと前に出てくるフレージングがありますよね。ああいった部分も巧みなアプローチだと思います。

     1番2番3番で同じものをただ繰り返すのではなく、“3番はちょっとメロディを上げておこう”とかってあるじゃないですか。同じコード進行の繰り返しでも、どこかを変えていくことによって何か景色が違っていく……そこが大事だと思うんです。楽曲自体の作り方はもちろんだけど、ベース・ラインでもクリエイティブなことを考えていくっていうのは意識しているところですね。

    ━━この「楔(くさび)」の最後のサビの後半の部分は細かい音符でたたみかけるのではなく、長めの音符を効果的に使っていますね。最後のサビをベースで盛り上げる場合、ハイ・ポジションに行きつつ音数を多くするっていうのが常道だとしたら、ここは上の音域に行きつつも音数を抜いているのでメロディアスさが引き立っていますね。

     そうですね。ロング・トーンを使いつつ、着地をちゃんとルートにもっていっている。盛り上げる際に音を詰め込むこともありますけど、今回はほかに詰め込むところがたくさんあったので、ここではそんなに入れなくてもいいかなっていうのもあるんですけど(笑)。

    ━━引きの美学ですね。一般的なベーシストだと“ここぞ!”というときは“ここぞ!”しかないんですけど、MASAKIさんの場合“ここぞ!”が各曲にありますし(笑)、そのパターンもいろいろありますよね。

     DAIDA LAIDAは、ベースがここまでやれるバンドだっていうのが強みでもあるかな。別に“常に目立ってやろう!”って感じでもないんですけどね(笑)。

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